最初はただの落書きでした。
現在渋谷ストリームホールで開催中の『ストリートアートの進化と革命展』を観てきました。本展は国内外のアーティスト50名約100点の作品で振り返るストリートアートの軌跡を紹介する展覧会です。
ストリートアートがいつどこで始まったのかは特定しずらいそうです。1960年代にはマンハッタンで公共スペースにライティング、つまり落書きが観られるようになりました。この「頃はまだ「絵」というよりは「文字」主体です。
言ってみれば「いたずら書き」であり「落書き」です。公共スペースを汚す行為でもあります。そんな反社会的行為を芸術的に認められる、あるいは認めざる得ないようにしたのは70年代のキース・ヘリングとジャン=ミシェル・バスキアの力でした。ヘリングは社会へのメッセージ性を加えることで人々の共感を呼びました。
マンハッタンで生まれたストリートアートは世界に広がり、ヨーロッパにも飛び火します。2000年代にはバンクシーが活動をはじめます。
バンクシーはキース・ヘリングからさらに一歩踏み込み、社会批判や政治批判、あるいは芸術批判を鋭くしました。彼はストリートに絵を描くだけでなく、さまざまな手段で世の中の不条理を指摘し続けています。
ここまで簡単にストリートアートの歴史と振り返ってみました。私は正直言って、ストリートアートをもともと描かれた場所から引き剥がして額縁に収めて展示することには否定的です。ストリートアートは、その時、その場所にあるからこそ意味をなすと思うからです。
また少なくとも公共の場所に書く以上、バンクシーが描こうが誰が描こうが犯罪行為であるとも思います。それは本来消されてもやむを得ないものなのです。
一方でストリートアートで街を活性化しようという取り組みもあります。香港の中環エリアや台湾台北がいい例でしょう。できればこのようにアートと街がけんかしない姿が望ましいかなと思います。
渋谷ストリームホール
『ストリートアートの進化と革命展』
は3月23日まで開催中です。
250321