しばらくコンビニに行きたくなくなるかも。

 現在公開中の映画『チルド』を観てきました。

 コンビニエンスストア。そこは誰もが通り過ぎ留まることのない場所。そこでは時に現実が「裏返る」という。

 この映画は一応ホラー映画です。ホラー映画らしい惨劇も起こります。しかし本当に恐ろしいのは惨劇そのものよりも人間の表情です。あるいは無表情です。言い換えれば登場人物の顔芸が空恐ろしいのです。

 ドラッカーは仕事と労働は別だと説きました。仕事とは向こう側から人間の都合おかまいなしにやってくるものです。一方、労働は人間のやることです。人間には休息も睡眠も食事も必要です。仕事と労働は必ずしもマッチしません。

 コンビニエンスストアはその仕事が24時間365日続きます。そこで働く人々はもとより、そこに来店する人々もまたその仕事にマッチしないこともあるでしょう。その時、人は人でなくなります。人間性を失った人間の表情、無表情こそ本作のホラーです。

 タイトルの「チルド」についても触れておきましょう。チルドとは0℃から3℃ぐらいまでの凍るか凍らないかぐらいの温度を指します。それは生きているか死んでいるかわからないぐらいの状態の例えと考えられます。仕事と労働の間では私たちはしばしば生きている実感を得られなくなることがあります。この映画で起こった出来事は、決して他人事ではありません。私たちの身近でもすでに起こっているか、あるいは私たち自身のことを描いているのかもしれません。

 毎度邦画は女優で選ぶ私ですが、本作のお目当ては染谷将太さんです。染谷さんと言えば出る映画出る映画で怪演をされています。本作でもクライマックスの表情が見ものです。

 あとコンビニの同僚を演じた唐田えりかさんにも触れておくべきでしょう。唐田さんもまた「モブ子の恋」や「禍禍女」などであれ唐田さんだったんだ、という出演をされていました。本作で改めて拝見して、美形で実力もあるなと思いました。ぜひ主演作をまた拝見したいものです。
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