No.235 マルチドッジボール日本代表/吉川辰哉選手 | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

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「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

ドッジボールは、投げる人も避ける人も、
みんながヒーローになれる。

 

 

昨年12月、エジプト・カイロで開催されたドッジボールワールドカップ。日本は女子が世界2位で銀メダル、男子と混合が世界3位で銅メダルを獲得した。「日本のスポーツ界に『世界一』をひとつ加えるという目標を掲げていただけに悔しい気持ちはありますが、W杯の大舞台で銅メダルを獲得できたことは素直にうれしいです」。そう語るのは男子日本代表の一人、大津市出身の吉川辰哉選手だ。ドッジボールを始めたのは小学3年生の時。6年生の強いアタックをキャッチし、みんなで喜んでくれた瞬間、ドッジボールにハマった。

ドッジボールといえばボール1つで敵陣にアタックし、当てればアウト、取ればセーフというイメージがあるが、実はこれ日本独自のルール。世界基準は、5つのボールを6対6の選手が投げ合いぶつけ合うなど、アタックがメイン。ボールを同時に投げるのでダブルアウトやトリプルアウトが起きたり、相手コートに飛び込むジャンピングアタックもあるなど、さらにダイナミックだ。練習は通常、日本のルールで行っているが、世界大会前にはマルチボールに慣れるための練習が行われるという。

 

 

「ドッジボールは日本語で「避球」と書きます。まさに世界のドッジボールは相手のボールをよく見て、どれだけ避けられるかが勝敗のポイント」と、吉川選手も語る。「今回のw杯で優勝したエジプトや準優勝のマレーシアは、両チームとも身長190㎝以上の選手ばかり。その選手たちがボールを振りかぶった時は、ジャングルでライオンに遭遇したような、初めての恐怖感を味わいました。香港やマレーシアの選手も華麗な避け方で会場を沸かせていたのも印象に残っています。私たちも激しい戦いの中で、ゲームの緊張感すら楽しむことができて、進化していく自分を実感しました」と、振り返る。

 吉川選手は現在、スポーツインストラクターとして全国各地でドッジボール教室や運動教室を開催している。「本人の思っているように身体が反応せず戸惑う子どもたちを見てきて、幼少期から指先を使うボール遊びが必要だと感じ、神経系を磨くコーディネーショントレーニングやリズム感を養うトレーニングを遊びと掛け合わせたかたちの教室を作りました」。

 

 

教室には2歳から小学低学年の子どもたちが参加。小学生を対象としたドッジボールクラブチームには、知的障がいや発達障がいの子たちも参加している。「人前で発表することや仲間とのコミュニケーションの中で、伝え方や受け取り方を学び、多くの成長や変化が生まれています。そんな姿を見ている大人も子どもに対する関わり方や考え方が変わっていきます。

環境が人を成長させ、変化させることを目の当たりにし、私も日々学んでいるところです」。吉川選手が感じる、ドッジボールの魅力とは。「一人のキャッチやアタックをみんなで喜び合えるところ。ラスト数秒で勝敗が決まることもあり、無駄なプレーがひとつもありません。アウトになったと思ったボールを仲間がアシストキャッチする、そこで生まれる一体感もドッジボールの醍醐味といえます。またドッジボールは、投げる人だけでなく、ボールを避けられる人がヒーローになることもあり、小さな成功体験を積みやすいスポーツでもあります」。

 プレーヤーとしての目標は、W杯で世界一を取ること。「忍者のように軽く素早い身のこなしで世界で戦えるスキルを磨き、見たこともない景色を見ようと思います。私が関わっている子どもたちがいろんな体験を通じて、社会で活躍する未来を想像しながら、喜びや感動を届けられるよう精進していきます」。
 

【profile】
吉川辰哉選手
大津市出身、甲賀市在住。スポーツインストラクター
2022年マルチドッジボール日本代表選手
WDAマルチボール男子日本代表 W杯出場権獲得
小学生ドッジボール 全日本選手権ベスト16
シニアドッジボール 全日本選手権第三位
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(一財)日本ドッジボール協会認定ドッジアドバイザー講師(第1号)
スポーツリズムトレーニング協会認定インストラクター
日本スポーツ協会公認コーチングアシスタント(ドッジボールコーチA級指導員
 NPO法人バルシューレジャパンC級指導資格保持者