No.231 滋賀県「やまの健康」推進プロジェクト | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

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「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

疲れている「やま」も、私たちも元気になれる。
その一歩は、つながること。

 

滋賀県の県土は、約半分を森林が占める。しかし、入る人が少なくなった森林は適切な管理がなされず、その界隈の農山村でも耕作されない田畑が多くなり、さまざまな悪循環が生まれている。“やまに人が関わることで、人もやまも健康になる”。そんな思いを掲げて発足したのが、滋賀県「やまの健康」推進プロジェクトだ。

 

ここでいう「やま」とは、森林をはじめ、森林を守り育て木材を生 産する林業、そして農山村をまとめた総称。なぜ、「山」そのものではないのか。森林政策課 やまの健康推進係 主査の田中孝佳さんに話を聞いた。「やまの健康の方向性を議論する中で「農山村の困りごとを助けてもらうという一方的な発想ではなく、多くの都市部の方が困っていることを、やまの資源や魅力を活かして解決するというスタンスが大切だ」 という意見をいただきました。そうした議論を踏まえて“やまで(人が)健康になる、やまを健康にする”というコンセプトで推進しています」。

 

 

  山林整備、コミュニティの再生、農山村の新たな仕事づくりなど、やまを活かした活動に取り組む地域をモデル地域に選定し、県が支援。リンドウ栽培を新規事業にはじめた地域や、間伐材から製造したアロマオイルを商品化する事業者たちが誕生した他、様々なイベントを通じて都市との交流がうまれるなど、やまと人が関わるアクションが起こっている。「県でも『伐って、使って、植える』というサイクルの促進に取り組んでいます。

 

木を伐ってはいけないと思っている人もいますが、森を健全に保つためには間伐等の手入れが必要ですし、伐採の適齢期を迎えている現状では伐ることが大切。伐った木を使うことはCO2の固定にもつながります」(田中さん)。琵琶湖は母なる湖、その水源となる滋賀のやまは、いわば「ファザーフォレスト」。滋賀のやまが疲れていれば、私たちにもたらされる恵みも豊かではなくなるはず。県発行の『県民アクションガイド』では、都市に暮らしながらやまに関われる方法を12項目にまとめ、提案している。

 

 

「滋賀県の特徴は、住んでいるところから少し行けば「やま」がある点や、琵琶湖の水源であること。興味を持ったものや楽しそうと思ったアクションから始めて、滋賀のやまとつながり、心も体もリフレッシュする『ファザーフォレストライフ』を一緒に楽しみましょう」。プロジェクトの最終目標は、「やまで健康になる、やまを健康にする」。やまの健康は、滋賀の人々の健やかな未来にもつながっている。

 

【profile】

2019年度から滋賀県が進めるプロジェクト。同年、森林政策課に「やまの健康推進係」が設置され、農業・農村振興や観光、移住・関係人口(移住や観光ではないいろいろなスタイルで、継続的に地域と関わる人々のこと)など、幅広い分野の庁内8所属と連携。都市とやまの間の人や経済の循環を促進することを目指し、取り組みが進められている。