No.227 MIOびわこ滋賀 キャプテン(MF14) 國領一平選手 | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

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「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

選手として、指導者として。子どもたちに、サッカーで「生きる力」を伝えたい

 

 

社会人サッカーの最高峰リーグ、JFLで滋賀唯一のチーム『MIOびわこ滋賀』。7月6日現在第14節まで終了し、4勝7敗3引き分け。序盤、苦戦が続いたが、シーズン折り返しを前に勝利が増えてきた。「少しずつチームの戦術も浸透してきて、チームとして形になってきたかなと思います。ここからが大事なのでブレずに戦っていきたいです」そう語るのは、キャプテンの國領一平選手。ゲームの流れを読むボランチを務める。「目立たないと思いますが、チームがうまく機能するように常に状況に応じたプレーを心がけています」。

 

 

「うまくいかないことだらけだった」と振り返る、自身のサッカー人生の中で『瞬間をプレーする』というモットーは、プロ1年目、京都サンガF・C・時代の指導者、元日本代表の森岡隆三氏の影響が大きい。「森岡さんからは『ボールを持っていない時が多いのがサッカー』だと教わりました。瞬時のチャンスを逃さないようにと。それまでの僕は、相手とぶつからないようなプレーを好むタイプ。プライドを捨て、プレースタイルをゼロから変えて苦労しましたが、がむしゃらにもがいたことが今も生きています」。

 

 

 昨年、滋賀に戻って感じたのは「滋賀県にJリーグチームを作りたい」という思いだった。「選手としてプレーで最大限の貢献をしたい」という一方で、國領選手は現在、県内5カ所で小学生対象のサッカースクール「JYUYON 14soccer school」を運営。『生きる力をサッカーで』をスクールのコンセプトに掲げ、東近江市唯一のJリーガーとして、自分の経験を後進に伝えている。「僕自身、サッカーから礼儀や人への接し方、自分がうまくいかない時の振る舞い方を学びました。サッカーはしんどいことが多い。それでも好きでいられるのは、社会に出ても生きる力を学ばせてもらったから。

 

 

小学生を対象としたのは、生涯サッカーを好きでいてほしいからというのもあります。小学生のサッカーはドリブルやパスが多い。ボールを持って人の間を抜けていくのは楽しいですからね。ただ、そのままサッカーを続けていくと、その判断はチームとして正しいのか…という視点も必要になってきます。中学生になると体格も違ってきて、今までのプレーが通用しなくなる。うちのスクールでは、今どういうプレーが一番ふさわしいのかという『認知』と『判断』を重点的に習得することを目的にしています」。 

スクールではもう一つ『上手い選手ではなく、いい選手に』ということも掲げている。「これまで上手い選手をいっぱい見てきましたが、プロで生き残っている選手は、チームに必要とされる選手なんですね。僕はチームの中で足が遅いんですが、それでもサッカーが続けられているのは、ゲームの流れを考えて相手が来る前に判断しているから。今求められていることがわかる洞察力は、社会でも求められる力。その大事さを伝えたいんです」。

今、サッカーや何かに取り組んでいる子どもたちに、そして、これから何かを始めたい子どもたちに、メッセージを送ってくれた。
「まずは楽しんでほしいですね。チャレンジし続けることで、できなかったことができるようになる。その一つひとつの成功体験が、自己肯定感を高められます。親御さんも、そのチャレンジを見守ってほしいし、しっかり褒めてあげてほしいと思います。まだ夢中になるものが見つかっていない子も、何事も全力でやってみると、得意なことが必ず見つかると思います。あとはそれを夢中になって取り組めばいい。やる前から決めずに取り組んでほしいです」。

【profile】
1993年
八日市市(現:東近江市)出身
兄の影響で八日市北小学校に入学後サッカーを始め、八日市北FCに所属

【所属経歴】
京都サンガF.C.U-15→京都サンガF.C.U-18→京都サンガF.C→佐川印刷SC→MIOびわこ滋賀→AC長野パルセイロ(J3)→ヴァンラーレ八戸(J3)→2021年よりMIO
2021年3月より、小学生対象のサッカースクール「JYUYON 14soccer school」を始動。