“笑い”を生む仕事って、
ホントに素晴らしいと思います。
土曜日のお昼といえば、吉本新喜劇。関西人なら、小さい頃から誰もが毎週楽しんでいたはずだ。その新喜劇を支え続けるのがベテラン女優、末成由美さん。
「ごめんやしておくれやしてごめんやっしゃ~」「インガスンガスン」など、一度聞くと忘れられない(そして、つい口走りたくなる)フレーズで、独特の存在感を発揮。後輩女優たちも憧れる若々しさは芸能界でも有名で、今年3月に60歳(!)を迎えたとは思えない末成さんの見事なプロポーションに、取材班の女性スタッフも思わず“…カッコいい”とつぶやいたほどだ。
「若い劇団員も“由美姉は体型変わらへんなぁ…”って言いますけど、見えないところで地味に努力してますよ。やり続けてるからこそ元気でいられる。『継続は力なり』やね」。
春休みや夏休みになると、なんばグランド花月では吉本新喜劇の舞台を1日3~4回敢行。それが約1カ月続くというハードスケジュールをこなす。「おかしいでしょ、うちの会社(笑)。でも、笑いを提供する立場の者が不健康ではどうにもならないですから、常に元気で、健康でいることには気を使っています。ストレッチしたり、舞台の合間に1時間くらい歩いたり、毎日欠かさず体を動かしてます」。
7人姉弟の四女として山口県に生まれた末成さんが、膳所に移り住んだのは4歳のとき。6歳から日本舞踊を習い、高校卒業後は日舞の先生として生徒を指導。その後、歌をレッスンしたり、殺陣師・的場達雄氏主催の「的場剣友会」に入門し剣劇を学んだりと芸の才能を磨き、26歳で吉本新喜劇に入団した。
「本当は、吉本新喜劇って大嫌いだったんです(笑)。でも、笑わすことの難しさを感じたり、笑いをとったときの大きな快感を味わいながら、あっという間に34年経ちました。人間って、なかなか笑えないんですよね。泣くのはカンタンだけど、笑って暮らすというのは難しい。だから、笑いのある毎日っていうのはすごいこと。入団まで遠回りはしたけど、“笑い”を生む仕事はホントに素晴らしいと思います」。
今年3月に開催した『還暦お祝いイベント』には、満員の観客の前で女優がメインの新喜劇のほか、殺陣や歌も披露し大成功をおさめた。次なる目標は、NHKの大河ドラマに出ること。他にもリクエストがあれば、なんでもやってみたいと夢は尽きない。地元・滋賀でもイベントを企画中だそうだ。
「いつも、家を出る前に“今日も楽しく頼むわな”って仏壇に手を合わせるのが日課なんですけど、笑いのある時間がちょっとでも多いほうが幸せな人生だと思うんです。みなさんも悩みとか、クリアしたいこととか、いろいろ抱えてはると思います。そういうときって、なかなか笑顔になりにくいですよね。でも、そんなときこそ笑ってみる。ちょっとの、ほんのちょっとの心の切り替えで解決できると思うんです。笑う顔には幸せがよってくる。下ばっかり向いてたら、幸せ逃げてくよ!」
仕事も、プライベートも、いつも笑いを忘れない。
そんな末成さんが、これからもブラウン管の向こうから元気を与えてくれる。