画家 福村 真美さん(左) 山本 恵さん(右) FILE No.118 | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

思い通りにならないし、描くほどに課題が見える。

だから油絵は面白い。



 滋賀で活動をしているアーティストの作品と家具とのコラボレーション企画を行っているカリモク大津ショールームでは、現在、若手画家4人展『春を呼ぶ絵画 4人展』を開催している。参加者の福村真美さんと山本恵さんにお話をうかがったのは、展覧会場となっているこのショールーム。「展示はカリモクの方におまかせした」ということで、お二人はこの日初めて展示された状態を目にした。シンプルな雰囲気の部屋やヨーロピアン調の家具が映える部屋など、さまざまな生活空間を体感できる異色のギャラリー。お二人にはどう映ったのか、率直な感想を聞いてみた。
 「普段の(ギャラリーなどの)展覧会では白い空間に飾られるので、こういう生活空間に飾られると新しい魅力が出てきますね」(山本さん)、「この部屋にこの作品が来たか!と。第三者の目は本当に楽しいですね。自分の画がこんな部屋に旅立ってくれたらうれしいですね」(福村さん)。
 4人は、京都市立芸術大学院美術研究科で油画を専攻していた同窓生。山本さんは母校の大学や県立高校で非常勤講師を、福村さんは母校の高校で美術教諭をしながら創作活動を行っている。
 「前にこう言われたとか、ここを褒められたとか、いろいろ考えてしまいがちですけど、自分が(作品を描くときに)なにを目指していたのか。描く度に確認するようにしています」というお二人。学生時代に油画に出会い、今も描き続けられるその原動力はなんだろう。
「油絵具って、思い通りにならない素材なんです。だから面白いですね。描いても描いても、描けば描くほど、まだたりないと思います」とは山本さん。福村さんは、他者に観てもらったときの視点の多様さに刺激されるという。
「“この水面のところがいい”という人もいれば、“全体がいい”という人がいる。同じ画を観ても人によって感じることが違う。それが面白いし、本当に不思議ですよね」。
 ときに孤独を強いられる創作活動の中で、こうした作品展は心の拠りどころ。
「普段交流のない作家さんとも、画を通して意気投合できる。なかなか会えない友人も、直接会うことはできなくても、作品を観ることでまた会える。“あ、頑張ってるんやな”って思います」(山本さん)。作品展は、作家同士のエール交換の場にもなっているようだ。
「彼女のアトリエは、田園風景が広がる中にあるんですが、そこから見える風景のように、のびのびした作風が魅力ですね」とは、福村さんによる山本さんの作品評。山本さんは、水面をモチーフにした福村さんの作品について「高校時代の作品から観ていますが、変わらない部分がある。そういうものを私も見つけていきたいですね」と語る。2人の他に、繊細で静かな視点を感じる作風の木浦奇さん、シンプルな配色が観る者の想像力をかきたてる吉岡千尋さん、現代的な作風ながら個性が際立つ4人展は、5月6日(月・振休)まで開催中だ。


profile
(プロフィール)
【福村真美さん】
1982年  大津市生まれ
2006年 京都市立芸術大学院美術研究科 油画専攻修了
2006年 第21回ホルベイン スカラシップ奨学生
     ビエンナーレうしく(茨城)大賞受賞
2011年 第16回 湖国をえがく絵画展 京都新聞社賞受賞
2010〜2012年 個展 (京都/gallery morning kyoto)

【山本恵さん】
1981年 東近江市生まれ
2006年 京都市立芸術大学院美術研究科 油画専攻修了
2006〜2009年 山本恵展 (大阪/Gallery Den)
2010〜2012年 個展 (大阪/o gallery eyes)
2012年 4人展『うつろう』(滋賀/ギャラリー唐橋)
     信楽ACT (滋賀/信楽古民家) など


『春を呼ぶ絵画 4人展』木浦奇 福村真美 山本恵 吉岡千尋
カリモク大津ショールームにて
5月6日(月・振休)まで開催中



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