ってことでtakです
ダウンロードレポの途中ですが、興味深い作品に出会えたので再び筆を取ってみます
ハーモニックメタルサウンドを標榜するガールズメタルバンド、HAGANEの1stアルバム「Code:0921」です
日本の誇るスーパーメタルガールよしださくらが率いるメタルバンド、HAGANE
ご存じない方は是非下記の動画をご覧下さい
いや、凄すぎかよ
ガールズとかその手の冠は一切必要なし
荒々しさと繊細さが共存するギタープレイは天下一品
純粋に一ギタリストとして素晴らしすぎる
インペリテリタイプのフルピッキング速弾きスタイルで間違いなく界隈最強ギター弾きの彼女
若さ漲るエネルギッシュなプレイに世界中から注目が集まっています
そんな彼女が中心となって編まれたのが、先日上梓されたばかりのこのアルバム
HAGANEは初デモ音源が2018年10月に出てるはずなので、ここに至るまでにほぼ4年の歳月を掛けた事になります
合間にミニやシングルをリリースしてきてはいますが、初アルバムまで4年
DVDを3枚リリースした後に1stアルバムってパターンのバンドは世にも珍しい存在でしょう
流れの速い界隈に於いては、かなりスローペースと言えそうなこの作品
果たしてどんな仕上がりに。。。と興味津々で聞いてみました
結論から書くと、彼女達の4年の歳月がまるっとそのまま詰め込まれたアルバムです
ロングスパンで成長が克明に刻まれている為、曲調(さくらちゃんの嗜好?)にもプレイにも曲によってかなり違いを感じます
GunRockやBlackCult等の最初期から存在し、ライブでも頻繁に演奏されていた曲群と未発表曲(おそらく最新曲)の「Sword Of Judgement」「ZERO」までの飛距離が凄い
軽く「MISSA」と「DUM SPIRO SPERO」のディルくらいあります
あまりにも長い期間の道程を1枚に収めているので、アルバムとしてのまとまりには欠けますが、彼女達の足跡とこれからを一度に体験できます
ベスト盤と言うよりは文字通りレコード(記録)って意味合いを強く感じる1枚
初期の集大成を前半に集め、後半に未来を提示する未発表曲を畳みかける構成は、彼女達の音旅のモニュメントとも言える仕上がりと言えると思います
それでは曲毎にざっくりと感想を書いてみたいと思います
1曲目 「Fly infinity」
4つ打ちで始まり、ロングトーンのギターが高らかに鳴り響くSE的インスト
標榜する「ハーモニックメタル」の名に相応しい、いきなりのハモリングギター
2曲目 「GunRock」
正統派メタルな刻みリフが唸る荒々しさ満点の1曲
サビのキャッチ-な掛け合いコーラスが若干80’sっぽい
ギターソロはさくら独壇場って感じでグレンティプトン直系な漢気満点の力強いソロが聞ける
3曲目 「BlackCult」
リフから何から至る所でハーモニックしているよしださくら全部乗せな若さ溢れる疾走曲
歌メロのバックに入るオブリが一切容赦無く、鬼のように音が重なっており、voはさぞ歌いづらいだろうといらぬ心配をしてしまう
そんな音の嵐を突き進むかのようなvo Uyuちゃんの突き抜けるハイトーン
彼女の高音の強さが最も出た曲でライブでは盛り上がり必至
ギターの掛け合いからハモったテーマソロに収束していくギターソロはカタルシスに満ち溢れており、BRIDEARの世紀の名曲「Thread Of The Light」の最強ソロを思い出す
4曲目「Super Villan」
シングルでリリースされ、HAGANEおじさん達の度肝を抜いた同期バリバリのヘヴィ路線曲
同期やサビの歌メロを聞いていると中期Gacharic Spinをめちゃ思い出す
プレイ的にはKanakoちゃんのモダンなドラムパターン(特にキック)が兎に角カッコ良い
おそらくこの4年間で最も伸びたのは彼女ではないかと思うのだが、この曲でのプレイもご多分に漏れず実に見事
この路線で攻めるかと思いきや、このアルバムではこれ1曲に止め、最新曲はまた違った方向に枝葉を伸ばしている
全力でヒロアカ死柄木を思い出す歌詞も印象深い
Uyuちゃんの高らかな笑いにソロが被さり曲はエンディングへ
5曲目「Flying Circus」
ライブでは頻繁に演奏されていた曲
派手な曲の多いこのアルバムではいぶし銀的な役割か
サビはメロといいバッキングといいメタルというかエモロック感満載で解放感アリ
全編英語詞
6曲目「Train」
1曲目に続きインスト
ピロることなく、直球なリフと剛直なピッキングで突進する様は正に「Train」
よしださくらの荒々しく雄々しいギタースタイルが堪能できる1曲
7曲目「GoGoKart」
俺の記憶が正しければ、最初期から存在する曲
「Flying Circus」同様メタルというよりはエモロック感が強くかなりストレートエッジ
共に4分弱のこの2曲は姉妹曲と言えるように思うし、Trainを挟んで対照の存在としてアルバムを縁の下で支えてくる感じ
8曲目「Memories」
DEMO2収録のバラードの再録
スケール感アップエグい
クリーントーンのよしださくら(Maytoさんかもしれない)のプレイはHAGANEでは珍しい
かなり大陸的なノリがある曲なのだがUKともUSともつかない独特の匂いがあり、それが彼女の個性なのかもしれない
9曲目「Undersea Paranoia」
再び短尺のインスト
打ち込みのドラムをバックにストリングスや鍵盤もめちゃ絡んでくるDTMerな1曲
ゲーム音楽好きさくらが前面に出た曲だと感じるが、クリエイター然としつつも最後はやっぱり弾き倒しちゃうところがお茶目で良き
10曲目「Sword Of Judgement」
ハイキタスーパーキラーチューン
イントロから細部に至るまで彼女達流のサイジェラか!ってな趣の超劇的な疾走チューンなのだが作っているのは林でなく吉田
「WowWow」コーラスもあり一見メロスピってるのだが麦踏2バスじゃなく、速弾きも飽くまでインペリテリスタイルなので、類を見ない個性を創ることに成功している
長尺の掛け合いギターソロも最高にスリリング
よしださくらは勿論すごいんだが、それにしっかり並走するMaytoちゃんも相当に凄い
この爆カッコいいソロを聞いているとゴリゴリにそう感じる
Kanakoちゃんのドラムパターンが超モダンでめちゃカッコいいし、Uyuちゃんもハイトーン一辺倒でなく艶と説得力のある歌で曲の良さを超引き出している。
ラストにぽんっと飛び込んできてフェードアウトしていく鍵盤のアレンジまで含めて一部の隙もない完璧な曲
久々に音楽で鳥肌が立った
すげぇ
この曲聞いた瞬間O-WESTのチケ買いました(演らなかったら哭く)
11曲目「Labradorite」
シングルとして既発であり、標榜する「ハーモニック」な一面が最も出ている名曲
まずは女性ならではの嫋やかさを称えたビブラートを絡めたリフの独創性、これが鬼カッコいい
竿隊が何層にも重ね紡ぐこの緻密なリフ、101回以上は聞いて欲しい
彼女達にしか作り得ないスタイルと言う意味に於いて「Soulbeats」と並んで代表曲だと思っている
Sayakaちゃんのちょいパーカッシブなベースプレイも非常に光る曲で、ギターと並ぶほどの存在感を見せている点も見逃せない
構造上、当然よしださくらが前面に出てくるHAGANEだが、Sayakaちゃんのベースプレイは非常に上手くセンスがある(フレーズメイクがさくらちゃんなのかSayakaちゃんなのか気になる)。裏番長的存在であり、HAGANEサウンドのボトムをしっかりと支えていると感じる
個性的なサビもUyuちゃんの良いトコロをしっかりとらえた良い歌メロ
ギターソロはスロー&ムーディからテンポアップして疾走するという技アリの一撃で痺れるほどカッコ良い
リミックスしてギターの音がより目の前に現れるような仕上がりに
そして、ラスト「ZERO」
哭きまくりなハモリロングトーンの荘厳なイントロからネオクラ/スパニッシュ風のギターリフを携える新機軸曲
8分弱ある長尺曲でもある
鍵盤とストリングスを絡めながらロールしていくこの曲は~風と例えるのが非常に難しい全く類型的でない曲なのだが兎に角どちゃくそカッコいい
物悲しくも力強いという非常に複雑な感情を実に見事に表現している
後半繰り広げられるギターソロの一大パノラマはMetal Safari Hiroさんの伝説的「How to die」ソロを思わず思い出したほど
そのソロとくっつき離れながら突き進むUyuちゃんの歌は時に「ドキッ」とするような凄みがあって、確実に一皮むけた感がある
また鳥肌が立った
すげぇ杉る
マジですしざんまい
そんな超名曲の余韻をUyuちゃんの多重録音のコーラスが締めくくり、このアルバムは静かに幕を閉じます
勢いに満ちた前半~中盤も良いのですが、兎に角終盤の畳みかけが凄いアルバムです
比較的最近作られたであろうこの曲群が圧倒的なクオリティである事、それは即ち彼女達の未来への期待と展望にそのまま直結します。実に良き
あと、日本語曲が圧倒的に良い
直近曲はほぼ日本語オンリーである事から彼女達自身もそう感じているのかもしれませんが、その方がHAGANEの楽曲が活きるように感じました
全作詞作曲アレンジに至るまでさくらちゃんがやっていることから、当然彼女の色が濃い作品に仕上がってますが、各メンバーの存在感もしっかり感じられ、ばっちりバンドしてます
Li-sa-Xと並んで間違いなく界隈の未来であるよしださくら、既に完成された実力の持ち主かと思ってましたが、まだまだ伸びしろがある素晴らしい逸材でした。予想よりとんでもねぇモンスターでした
才能もあるでしょうが、弛まぬ努力でそれを「磨いている」からこそ、彼女の今があると感じます
この成長の足跡を見て、「磨き続けることの出来る」才能こそ彼女の真髄であり、それ故に他の追随を許さないギタリストとなり得たのだ、と感じた1枚でした
ウサギとカメでウサギが全力で走ったら圧勝じゃん、て話
実は私はHAGANEのライブは今まで一度も見た事がありません
チャンスは何度もあり、対バンイベントも何度か行ってるんですが、結果的に見られてない
ですが、この1枚を、「Sword Of Judgement」を聞いて、彼女達のO-WESTに行くと決めました
それだけ強力なアルバムに仕上がっているので、是非皆様お手に取って聞いてみて欲しいです。既に在庫過小という噂もあるのでお早めに
そしてバンドとして今、劇的右肩上がり渦中にいる彼女達の「今の姿」を焼きつけに、9月10月ツアーを是非皆で見届けましょう
そんなこんなで
tak