貴族趣味と小柄。身体に対する劣等感から武道で鍛える。
プーチンは特に、ロシアの熊のような大男どものKGBの中で柔道などで強さをアピール。
そして鍛錬した筋力の裸体を見せるナルシストである。
樋口正一郎 「花盛りのプーチン」 紙 1090x790mm(B全判)、アクリル絵具、木炭 2022
三島は「楯の会」をつくり、「宇宙戦艦ヤマト」の制服のような、
あるいは近衛兵を思わす気取ったコスチュームの隊員の動きは
非日常の映画かパーフォーマンスに見えた。
作家である三島は非日常のイマジネーションの世界に遊ぶのは当然であり、
しかし、段々、非日常から日常に変っていったのだろう。
「ヤマト」を数名の隊員で運行し、敵をやっつける誇大妄想が、
三島の夢と自衛隊が重なり一体化したと考えられないか。
プーチンは世界第二の軍事大国の軍隊が自分の手の中にあり、
自分が世界の中で忘れられ、無視されるのを我慢ができず、
堪忍袋の緒が切れた。ナルシストの本領が発揮されたというわけだ。
樋口正一郎 「プーチンのエルドラド」 紙 1090x790mm(B全判)、アクリル絵具、木炭 2022
三島は市ヶ谷の自衛隊駐屯基地でクーデターの檄を飛ばしたが、
トップから末端の自衛官まで、映画か演劇などの撮影風景と思われ、
現実には全く意図は通じなかった。
切腹も介錯も1人芝居だった。
武士道も現実社会に対しても、間違った認識で突き進んだのである。
プーチンはクレムリンの中で、
テレビゲームや戦争ゲームをするように、兵士や戦車を動かす。
しかし、モスクワにはウクライナ兵が攻め入ることのない
絶対的な安心感で楽しんでいるのだろう。
樋口正一郎 「プリズンの男」紙 1090x790mm(B全判)、アクリル絵具、木炭 2022
プーチンは三島のような武士道の美学などとは
無縁であるばかりでなく、
大量殺人鬼を野放しにしているロシア国民も同様の人種という
レッテルが世界中で固定されることになる。


