自然と共存するアート/フンデルトヴァッサー | 私の好きなアートと建築

私の好きなアートと建築

50年に亘り、世界中の野外彫刻と建築を見てきています。その中から、わたくしの好きな「作品」を紹介していきたいと思っています

                   60年代、狂おしい渦巻で日本の淡泊な美術シーンに

現代美術の生々しいエネルギーで洗礼を浴びせたフンデルトヴァッサー。

 株シバヤマ http://www.shibayama-co-ltd.co.jp  より

 

その後、その激しい表現と自然回帰とも見える「共存の仕方」は

ウィーンの市営住宅やフンデルトヴァッサー美術館が

最終的にはブルマウのリゾート開発にどのように繋がっているのだろうか。

 

                   かつての心の中の迷宮をひたすら探求する絵画の中で、

心の窓的な外部への道、つまり解放は自然だったのだろう。

                 全くの人工的な表現でも、意識する、しないに関わらず、

自然が通底しており、後に合体した表現になったと思える。

植物との共存はウィーンの建築群でよく分かったが、

大地との共存は、ウィーンから南150㎞ほどのイタリアのミラノに向かう

鉄道の無人駅「バード・ブルマウ」近くの

リゾートホテル:ログナー・バード・ブルマウで大規模に展開している。

(参考:樋口正一郎「地球に抱かれる夢と高層ビルに対する疑義の建築」龍生華道会/龍生2011年2月号 )

 

                 駅にはプラットホームなどなく、緩い丘に囲まれた畑の真ん中で、

臨時停車と思いきや、バード・ブルマウ駅と記された駅名ボードに気づき、

慌てて列車から飛び降りた。畑中の農道の向こうの方に見えるホテルに行こうにも、

タクシーもなくトボトボと歩く。

               アニメのジブリが参考にしたというが、狐か狸の風呂を思い出すほど、

こんなところにリゾートホテルがあるなんて想像もつかない驚くことばかりだった。

 

                プールを中心に小さな丘が囲んでいる。

その小さな丘を歩いていると、大きな穴が開いていて、

なんのことはないカッパドキヤの如く、草で覆われた丘の下は客室というわけだ。

ホテルのロビーには大きな開発模型があり、オランダのように運河で巡り、

丘でのハイキング、波のあるビーチでバカンスを楽しむ。

フンデルトヴァッサーの当てどない迷走した旅が

明るい太陽の下、フンデルトヴァッサーの自然とアートへの異次元の旅を実感する。