60年代、狂おしい渦巻で日本の淡泊な美術シーンに
現代美術の生々しいエネルギーで洗礼を浴びせたフンデルトヴァッサー。
株シバヤマ http://www.shibayama-co-ltd.co.jp より
その後、その激しい表現と自然回帰とも見える「共存の仕方」は
ウィーンの市営住宅やフンデルトヴァッサー美術館が
最終的にはブルマウのリゾート開発にどのように繋がっているのだろうか。
かつての心の中の迷宮をひたすら探求する絵画の中で、
心の窓的な外部への道、つまり解放は自然だったのだろう。
全くの人工的な表現でも、意識する、しないに関わらず、
自然が通底しており、後に合体した表現になったと思える。
植物との共存はウィーンの建築群でよく分かったが、
大地との共存は、ウィーンから南150㎞ほどのイタリアのミラノに向かう
鉄道の無人駅「バード・ブルマウ」近くの
リゾートホテル:ログナー・バード・ブルマウで大規模に展開している。
(参考:樋口正一郎「地球に抱かれる夢と高層ビルに対する疑義の建築」龍生華道会/龍生2011年2月号 )
駅にはプラットホームなどなく、緩い丘に囲まれた畑の真ん中で、
臨時停車と思いきや、バード・ブルマウ駅と記された駅名ボードに気づき、
慌てて列車から飛び降りた。畑中の農道の向こうの方に見えるホテルに行こうにも、
タクシーもなくトボトボと歩く。
アニメのジブリが参考にしたというが、狐か狸の風呂を思い出すほど、
こんなところにリゾートホテルがあるなんて想像もつかない驚くことばかりだった。
プールを中心に小さな丘が囲んでいる。
その小さな丘を歩いていると、大きな穴が開いていて、
なんのことはないカッパドキヤの如く、草で覆われた丘の下は客室というわけだ。
ホテルのロビーには大きな開発模型があり、オランダのように運河で巡り、
丘でのハイキング、波のあるビーチでバカンスを楽しむ。
フンデルトヴァッサーの当てどない迷走した旅が
明るい太陽の下、フンデルトヴァッサーの自然とアートへの異次元の旅を実感する。


