よく言われるように、
建築家は鉄とガラスとコンクリートものを組み合わせて表現する。
古代からの石や木やレンガの延長である。
スティーブン・ホールの建築も基本的な構造体は
従来の素材ものと同様である。
しかし、中国、深圳市の大梅沙の「万科センター」(2012年)では、
生きて生活する形態をもう一度問い質して表現している。
人は日常で感じる事も忘れてしまった、今はやりのグラビティ・重力を
生活環境に組み込んで表現してみている。
ピロティで空中に浮いている床の下には宇宙飛行士のように空間がある。
そして、その反対に地下での環境は、上と周辺に地の圧力がある。
あるいは、プールの下に地下空間がある。常識で固まった世界に風穴を開ける。
北京の集合住宅「リンクしたハイブリッド」(2009年)は
世界がコンピューターと規則によって、身動きをとれない硬直した世界でも、
創造性と僅かな人間性があれば逆転できる事を見せる。
素材の物質性を極力避け、真っ白なキャンバスに
モンドリアン風の絵画を表現するかのような、スティーブン・ホールの建築は
ここでも展開している。
大中小のマンション群が
幼稚園の園児が遊戯をするかのようにブリッジで繋ぎ、
ブリッジやマンションのところどころの原色の色がリズミカルな表現に見せて
都市かをうっとおしい重さから、沢やかな軽さに転換した。