現在、東京国立博物館の平成館では、
“特別展「百万石!加賀前田家」”が絶賛開催中ですが。
本館2階のD室・E室では、特別企画として、
“アイルランド チェスター・ビーティー・コレクション 絵巻と絵本のたからばこ”が開催中です。
チェスター・ビーティーとは、アイルランドの首都ダブリンにある文化施設。
アメリカの鉱山開発で成功した実業家・・・・・
チェスター・ビーティー卿
アルフレッド・チェスター・ビーティー卿(1875~1968)が、
世界各地で蒐集した美術コレクションを収蔵・展示しています。
チェスター・ビーティーは、1917年に来日しており、
その際、日本の絵巻や絵本に強く関心を抱いたそうです。
以来、日本の絵巻や絵本を積極的に収集しました。
そのコレクションはヨーロッパにおいて随一とされています。
チェスター・ビーティーのコレクションを日本で紹介する展覧会は、
1988年から翌年にかけて、サントリー美術館を含む3館で開催されたようですが、
本展はそれ以来、国内では約40年ぶりとなるチェスター・ビーティーのコレクション展。
選りすぐられた日本の物語絵25件が来日しています。
それらの中でも本展の目玉と言えるのが、
奇想の絵師の一人に数えられる狩野山雪による《長恨歌絵巻》。
狩野山雪《長恨歌絵巻》(巻上、部分) 江戸時代・17世紀 チェスター・ビーティー蔵
(注:巻上の展示期間は4月27日~6月7日)
こちらの絵巻は、長年行方不明とされていましたが、
ビーティー卿の死後、コレクションから発見されました。
その際、かなり痛みが激しかったそう。
そこで、海外に所在する日本美術品を日本の修復技術を用いて修復する事業、
「在外日本古美術品保存修復協力事業」によって修復され、現在の状態を取り戻しました。
さてさて、《長恨歌絵巻》は、
中国唐の玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を詠んだ、
白楽天の漢詩『長恨歌』をもとに描かれた絵巻。
上下巻からなり、6月7日までは巻上、6月9日からは巻下が公開予定です。
巻上の前半では、玄宗皇帝と楊貴妃との出逢い、
そして、玄宗皇帝ののめり込みぶりが描かれています。
某小説家が「成就した恋ほど語るに値しないものはない」と記していますが、まさにそれ。
傍若無人の限りを尽くしたために、
源頼光とその家来によって退治された酒呑童子。
そのダークヒーロー的な魅力が支持され、
たくさんの《酒吞童子絵巻》が制作されてきました。
チェスター・ビーティー本の最大の特徴は、
同じ画面内に、異なる時間帯の場面を複数描く、
いわゆる「異時同図法」のクセがスゴイこと。
《乗興舟》は、和泉市久保惣記念美術館や京都国立博物館、
千葉市美術館など、国内にも所蔵されているため、目新しさはないかもしれません。
しかし、チェスター・ビーティー本は、
国内で確認されているものと比べて、
紙継ぎ周辺の処理や文字の位置などが改良されているのだそう。
つまり、若冲の目指す完成形に近いものと考えられているようです。
さてさて、本展の会場は、それら以外に、
金砂子がふんだんに散らされた豪華絢爛な《源氏物語絵巻》や
《源氏物語絵巻》(巻一、部分) 江戸時代・元禄元年(1688)頃 チェスター・ビーティー蔵
日本では類例が確認されていない《武蔵坊弁慶縁起絵巻》といった、
《武蔵坊弁慶縁起絵巻》(巻中、部分) 室町時代・16世紀 チェスター・ビーティー蔵
貴重な絵巻と絵本で埋め尽くされており、
思わず「絵巻と絵本のたからばこや~」と口走りそうになりました。


なお、どの絵巻も絵本も状態が良く、美しい姿ゆえ、
チェスター・“ビューティー”・コレクションと言ってしまいそうですが、
チェスター・ビーティー・コレクションなので、お間違えの無きように。
┃会期:2026年4月27日(月)~7月20日(月・祝)
┃※会期中展示替えあり
┃会場:東京国立博物館 本館D室・E室
┃https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2737











