美術の遊びとこころⅨ 花と鳥 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

三井記念美術館が、古美術の入門編として、

毎年夏に定期的に企画している「美術の遊びとこころ」シリーズ。

これまでに『五感であじわう日本の美術』や、

『日本美術デザイン大辞展』や『大妖怪展』など、

さまざまな切り口で開催されてきました。

その最新版となる第9弾のタイトルは・・・・・

 

(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

シンプルもシンプルに、“花と鳥”

文字通り、「花」と「鳥」をテーマにした展覧会です。

三井記念美術館のコレクションの中から、

「花」や「鳥」をモチーフにした作品の数々が紹介されています。

 

 

 

あまりにもシンプルなタイトルゆえ、

タイトルを考えるのを放棄してしまうほどに、

見どころの少ない展覧会なのかと思いきや・・・(←失礼!)

出展作品の中には、重要文化財の《玳皮盞 鸞天目》はあるわ、

 

重要文化財《玳皮盞 鸞天目》 南宋時代 三井記念美術館蔵

 

 

同じく重要文化財の《日月松鶴図屏風》はあるわ、

 

重要文化財《日月松鶴図屏風》 室町時代 三井記念美術館蔵

 

 

さらには、国宝の《志野茶碗 銘卯花墻》もありました!

 

国宝《志野茶碗 銘卯花墻》 桃山時代 三井記念美術館蔵

 

 

なお、《志野茶碗 銘卯花墻》にいたっては、

国宝の茶室「如庵」の写しの中で展示されていました。

 

 

 

国宝in国宝。

三井記念美術館には、これまで幾度となく、

訪れていますが、初めて目にする光景でした。

他にも、コレクションの中核をなす茶道具の数々や、

豪華絢爛な刺繍が施された能装束などが紹介されています。

 

 

 

何ゆえ、これほどまでに贅沢な展覧会なのかといえば、

実は、三井記念美術館は今年開館20周年を迎えるとのこと。

そのため、奮発して(?)、いつも以上に贅沢に、

コレクションの中から名品ばかりを展示しているのだそうです。

なお、この次に控えているのは、20周年記念特別展となる円山応挙展。

それに先立ち、本展でも《蓬莱山・竹鶏図》を含む2点の応挙作品が出展されていました。

 

 

 

なるほど。

タイトルがシンプルなのは、

素材に絶対に自信があるからこそ、だったのですね。

今年で20周年を迎える風格のようなものを感じました。

何はともあれ、20周年おめでとうございます!

星星

 

 

ちなみに。

本展の出展作の中で、個人的に印象に残っているのは、

土佐派を代表する絵師・土佐光起による《水辺白菊図》です。

 

土佐光起《水辺白菊図》 江戸時代 三井記念美術館蔵

 

 

パッと見、ただ白い菊が描かれているだけの絵ですが、

よく観ると、右下に水面に映った白い菊がうっすら描かれています。

なんともシャレた絵ですね。

でもでも、さらによくよく観てみると、水面に向かって、

白い菊が不自然に伸びていっているようにも見えます。

まるで、自分の顔(花)を覗こうとしているかのように。

ナルキッソス?

ナルシストがすぎる菊なのかもしれません。

 

続いて印象的だったのが、《海辺群鶴図屏風》

 

 

 

描いたのは、三井高福(たかよし)

三井総領家にあたる北三井家の8代目で、

三井銀行や三井物産を創設して三井財閥の基礎を築いた人物です。

しかも、絵も得意だったそう。

天は何物、この人に与えたのでしょうか。

それはそうと、右隻には、

波打ち際に集う鶴たちが描かれています。

鶴のくせに、何だか青春していますね。

鶴のくせに、何だかエモい感じがしました。

 

最後に紹介したいのは、《百鳥図額》

円山応挙のひ孫にあたる国井応文によって描かれた額で、

ツバメやスズメ、メジロ、セキレイなど50羽超の鳥が描かれているそうです。

 

 

 

「100羽じゃないんかい!」

・・・・・というツッコミは置いておきまして。

何よりも気になったのは、やたらと白目の鳥がいたこと。

 

 

 

悪い何者かに操られて、

ビーストモードになっているのでしょうか。

こいつらが襲ってきたら、ひとたまりも無さそうです。

 

 

 ┃会期:2025年7月1日(火)~9月7日(日)

 ┃会場:三井記念美術館

 ┃https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/

 

 

~読者の皆様へのプレゼント~
“花と鳥”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は7月31日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 



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