髙田賢三 夢をかける | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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この夏、国際的に活躍したファッションデザイナー、

「世界のKENZO」こと高田賢三の大規模展”髙田賢三 夢をかける”が、

初台の東京オペラシティ アートギャラリーにて開催されています。

 

 

 

展覧会は大きく分けると、2つで構成されていました。

まず、前半は高田賢三の生涯を、

ルックや資料とともに、年表形式で紹介しています。

 

 

 

兵庫県淡路市に生まれたという高田賢三。

お姉さんの影響で若い頃より、少女雑誌『ひまわり』や、

中原淳一が創刊した雑誌『それいゆ』などを愛読していたそうです。

その影響で、ファッションへに深く興味を持つも、

当時は、男子で洋裁学校へ進学するという選択肢はほぼなく。

やむなく、神戸市外国語大学に進学したそうです。

しかし、ちょうどその頃、文化服装学院が、

男子生徒の募集を始めたということを知って、一念発起。

大学を辞め、上京資金を貯めて、上京を果たします。

こうして、晴れて文化服装学院の第9期生に。

 

 

 

その同級生に、ニコルを立ち上げた松田光弘さん、

ピンクハウスや自身の名を冠したカネコイサオで知られる金子功さん、

さらに、あのコシノジュンコさんもいたそうです。

その豊作ぶりにも驚きましたが、

それ以上に、コシノジュンコさんが、

この時からほぼ見た目が変わっていないという事実に驚きました(笑)。

 

なお、第7回の装苑賞を受賞したのが、コシノジュンコさん。

その翌年の第8回の装苑賞は、高田賢三が受賞したそうです。

本展では、その時の貴重な受賞作も展示されていました。

 

 

 

装苑賞を受賞し、学生時代からその実力は高く評価されていた彼が、

大きく転機を迎えるきっかけとなったのが、1964年の東京オリンピックです。

当時、既製服メーカーに就職しデザイナーとして働いていたそうですが、

東京オリンピックの開発のせいで、アパートを立ち退かなくてはならなくなったそう。

その際にまとまって入った立退料を元手に、パリへと渡りました。

そして、パリでデザイン画などを持ち込み、仕事を得ることに。

ここから「世界のKENZO」の快進撃がスタートするのです。

 

なお、ブランドを立ち上げた頃、まず世界に注目されたのが、

絞りや浴衣地といった日本の生地を使ったスタイルだったとか。

髙田は、あえて冬服にも木綿を使用し、素材としての新しい可能性を提唱しました。

 

 

 

そんな高田に付いた当時の異名が、「木綿の詩人」だったとか。

しかし、当の本人は、特に木綿にこだわることはなく、

その後は、ニットやツイード、ファーなどあらゆる素材を使用しました。

 

 

 

それゆえ、異名がいつしか「木綿の詩人」から、

無難に(?)、「色彩の魔術師」へとシフトした模様。

異名ってこんな風に、しれっと変わるパターンもあるのですね。

 

・・・・・とそれはさておき。

展覧会の後半では、髙田の代名詞ともいえる、

世界各地の民族衣装に着想を得たフォークロア作品をフィーチャー。

 

 

 

40体を超えるルックが立ち並ぶさまは、実に圧巻!

世界各地の民族衣装が勢ぞろいした様は、

大人の“イッツ・ア・スモールワールド”といった感じでした(←?)。

 

 

 

なお、本展では、この頃に制作された、

髙田の代表作ともいえるウエディングドレスも紹介されています。

 

 

 

一見すると、そういう柄の生地で仕立てた、

何の変哲もないドレスのようにも見えますが。

実は、髙田が20年かけて集めたリボンを、

約200mにわたって使用したとされる大作です。

なお、このドレスは1999年に行われたショーで、

日本を代表するトップモデル・山口小夜子が着用したとのこと。

日本のファッション史に残るウエディングドレスと言っても過言ではありません。

これが観れるだけでも、足を運ぶ価値はありました。

星星

 

 

ちなみに。

個人的に何よりも印象的だったのが、

全盛期の髙田賢三の人気のスゴさです。

ファッションショーを開けば、毎回超満員。

1978年には、なんと日本武道館でショーをしているほどです。

 

 

 

それも、2days。

入場料は、昭和53年にして3000円!

なお、その後、このショーは、2週間をかけて、

大阪、名古屋、福岡、札幌を巡回したそうです。

平成や令和の時代に、日本において、

それに匹敵するファッションデザイナーはいるでしょうか?

いや、マジで一人も思い浮かびません!

ポスターの左上に書かれた・・・・・

 

 

 

「ケンゾーさんの世界にあるメロウなロマンに資生堂は拍手します。」

 

というコピーも味わい深いです。

拍手って何よ。

 

 

 

 

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