ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール・・・と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??
気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!
「工芸家が同時にそれ自身が画家でもあり、建築家、彫刻家でもある」
そんな言葉を残した“近代工芸の先駆者”藤井達吉(1881~1964)。
その故郷である愛知県碧南市には、
碧南市藤井達吉現代美術館が存在しています。
それゆえ、愛知県では知られた芸術家でありますが、
関東圏においては、2014年に渋谷区立松濤美術館にて、
大規模な回顧展が開催されてはいるものの、そこまで知名度は高くないような。
その藤井達吉の名に由来する蕎麦屋が、阿佐ヶ谷にあるらしい。
そんな気になる情報を聞きつけ、早速、お店に足を運んできました。
その名も、手打ち達吉です。
なぜ、藤井達吉の名を店名に付けたのか?
その答えは、お店の公式HPにちゃんと記載されていました。
当店の店名の由来は、
店主の曾祖父にあたる近代工芸の先駆者、
『藤井達吉』から頂いたものです。
一人でも多くの方に『藤井達吉』を知って頂くきっかけになればと思い店名にしました。
とのこと。
なんと、ひいおじいちゃん孝行なひ孫なのでしょう!
ちなみに。
工芸家としてマルチな才能を発揮した藤井達吉。
そのDNAは確実に受け継がれているようで。
「季節のおすすめ」を紹介する看板が、なんとも工芸的でした。
また、前衛的な活動を展開し、
「自由な工芸」を目指したという藤井達吉。
そのDNAも確実に受け継がれているようで。
メニュー表の『本日の蕎麦』のページには、
レゴで作られたと思われる日本地図が掲載されていました。
他の蕎麦屋とは一線を画した、「自由なメニュー表」です。
と、手打ち達吉の工芸(?)や、
グラフィックデザイン(?)の才能はわかりましたが、
肝心のお蕎麦の味は、どんなものなのでしょう?
数分後、注文した田舎そばが運ばれてきました。
見た目にも美しく、角がきっちり立っています。
まずは、そばつゆを3分の1だけつけて食べてみました。
「んまっ!」
蕎麦の香り、歯ごたえ、のど越し。
どれをとっても完璧です。
続いて、そばつゆをしっかりつけて食べてみます。
「最高っ!」
甘味のあるタイプではなく、
しっかりと辛味の効いたタイプのつゆ。
それだけ舐めると、若干塩辛かったですが、
お蕎麦と一緒に食べると、ちょうど絶妙な塩梅に。
蕎麦自身の甘さが引き立つそばつゆでした。
なお、お蕎麦を完食した後は、
そんなそばつゆに、蕎麦湯をイン。
「えっ!うま~っ!」
人生で飲んだ蕎麦湯で、一番美味しかったです。
なんなら、感動という意味では、
蕎麦よりも、蕎麦湯のほうが勝っていたかも。
ともあれ、美味しいお蕎麦をご馳走様でした。
ちなみに。
店内にはちゃんと、藤井達吉のものと思われる作品がありました。
展示ケースに入れられ、ちょっとした美術館のよう。
お蕎麦屋が同時にそれ自身が藤井達吉美術館でもある。
それが、手打ち達吉です。
<お店情報>
手打ち達吉
住所:東京都杉並区阿佐谷北2-15-4 大和阿佐谷ビル 1F
定休日:水曜日
営業時間:12:00~14:30、18:00~21:30
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