癒やしの日本美術 ―ほのぼの若冲・なごみの土牛― | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、山種美術館で開催されているのは、

“癒やしの日本美術 ―ほのぼの若冲・なごみの土牛―”

「癒し」をテーマにした日本美術展です。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)

 

 

一口に「癒し」といっても、そのバリエーションはさまざま。

思わずほっこりする“ゆるかわ系”の作品もあれば、

 

小茂田青樹《雛》 1930(昭和 5)年頃 山種美術館

 

 

眺めているだけで、リラックスした気分になれる風景画の数々や、

 

山本丘人《風景》 1959(昭和 34)年 山種美術館

 

 

画家が自らを癒すために描いた、祈りのこもった絵画もありました。

 

 

 

こうして改めて観てみると、

日本美術には「癒し」のある作品が多いような。

西洋絵画にも無くはないですが、

日本美術ほどは多くないような気がします。

床の間や応接間に飾るには、

権威的なものよりも、癒し系のほうが好まれたから?

何はともあれ、難しいことは考えず、

頭を空っぽにして、ぽけ~っと楽しめる展覧会です。

星星

 

 

展覧会の見どころは何と言っても、若冲でしょうか。

山種美術館で若冲といえば、所蔵品の《伏見人形図》がお馴染みですが。

 

伊藤若冲《伏見人形図》 1799(寛政11)年 山種美術館蔵

 

 

本展ではそれ以外にも、

個人蔵の若冲作品が数点ほど特別出展されています。

 

 

 

中でも注目したいのは、こちらの《布袋図》

 

伊藤若冲《布袋図》 18世紀・江戸時代 個人蔵

 

 

これまでほとんど一般公開される機会のなかったというレア作品です。

パッと見は、ゆるキャラのようで可愛らしいですが、

よく見ると、胸毛や腹毛だけでなく、腕毛や肩毛も生えています。

なかなかのワイルドさ。

外国人プロレスラーのような布袋様です。

 

それと、本展では、先日まで大阪中之島美術館で、

大規模な回顧展が開催されていた長沢芦雪の作品も充実。

やはり個人蔵の作品が数点出展されています。

 

長沢芦雪《菊花子犬図》 18世紀(江戸時代) 個人蔵

 

 

それら芦雪の作品の中で一番印象に残っているのが、《獅子の子落とし図》

 

 

 

本展の出展作品の中で唯一、癒し感(?)の無かった作品です(笑)。

子落としした獅子の顔の怖さたるや!

顔がほぼ人間。人面獅子です。

 

 

《獅子の子落とし図》で、この記事を終えるのはなんなので。

最後に、カワイイ作品をいくつかご紹介いたしましょう。

まずは、小茂田青樹の《愛児座像》から。

 

小茂田青樹《愛児座像》 1931(昭和6)年 山種美術館蔵

 

 

子どもの姿ももちろん愛らしいですが、

それ以上に可愛かったのが、クマのぬいぐるみです。

 

 

 

色合い的には、くまのプーさんを彷彿とさせますが、

雰囲気的には、懐かしCMのファーファーのくまを彷彿とさせるものがあります。

その横で、お尻を向けている犬のぬいぐるみも地味に可愛らしいです。

 

 

続いて、奥村土牛の《枇杷と少女》

 

奥村土牛《枇杷と少女》 1930(昭和5)年 山種美術館蔵

 

 

決してセンターを陣取ることはなく、

端っこの方で、それもちょっと見切れている少女。

その控えめさがなんとも微笑ましいです。

しかも、リンゴや桃といったメジャーな果物でなく、

枇杷という控えめな果物(?)とセットというところにも好感が持てます。

インスタ映え、ならぬ、インスタ萎え。

これからもこの少女には、

キラキラ女子の真逆の道を進んでいってもらいたいものです。

 

 

最後に紹介したいのは、竹内栖鳳による一枚。

 

 

 

問答無用の可愛さ。

是非ともLINEスタンプにして頂きたい。

 

 

 ┃会期:2023年12月2日(土)~2024年2月4日(日)

 ┃会場:山種美術館 
 ┃https://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

 

 

 

 

 

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