青空は、太陽の反対側にある | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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1年ぶりに、原美術館ARCに行ってきました。

 

 

 

1年ぶりに訪れたら、かつて品川の原美術館にあった、

多田美波さんの立体作品が入り口脇に設置されていました。

 

 

 

1年ぶりに訪れたら、三島喜美代さんの作品が、

館内の廊下スペース(?)に移設されていました。

 

 

 

そして何より。

1年ぶりに訪れたら、桜が咲き乱れていました。

 

 

 

これでもまだ7部咲きとのこと。

原美術館ARCは群馬にあるため、

東京よりも桜の開花は遅いそうで、
ソメイヨシノは例年4月上旬、八重桜は4月下旬が見頃だとか。

せっかく訪れるのならば、桜が満開の時に訪れたいものですね。

 

 

さて、今年でリニューアル3年目を迎えた原美術館ARC。

1年目には“虹をかける”、2年目には“雲をつかむ”という、

キーフレーズで原美術館と原六郎コレクションを紹介してきました。

3年目となる今年のキーフレーズは、“青空は、太陽の反対側にある”です。

 

 

 

そのスピッツの歌詞のような詩的なフレーズとは裏腹に(?)、

出展されていた作品の多くは、常識や既存の価値観に抗ったものや、

社会や美術の潮流に背を向けたものなど、パンクでロックな作風のものでした。

 

「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

今回出展されていたコレクション作品の中で、

特に印象に残っているのは、《ポートフォリオ:ボイスのために》

1986年に他界したヨーゼフ・ボイスを追悼する目的で、翌年に制作された版画集です。

 

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「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

この版画集には、生前のボイスと面識のあった作家や、

ボイスに直接学んだ作家、間接的に影響を受けた作家ら30人が参加。

そのメンバーの中には、アンディ・ウォーホルやナム・ジュン・パイク、

荒川修作、シンディ・シャーマンといった美術界のカリスマたちが多く含まれています。

版画の中には、ボイスを直接連想させるものもあれば、ボイス感のまったくないものも。

トニー・クラッグの作品(写真右)に関しては、

パッと見、ボイス感がないどころか、版画感すらありませんでした。

 

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「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

なんでも、パレットの表面をビッシリと覆っているのは、いわゆる海洋プラスチックとのこと。

1986年の時点で海洋プラスチックに着目していたのには、先見の明を感じずにはいられません。

同じトニーの名を持つものとして、誇らしい気持ちになりました(←?)。

 

それから、《ポートフォリオ:ボイスのために》の中で、

とりわけインパクトがあったのが、キース・へリングによる版画(写真左)です。

ボイスと言えば、7000本の樫の木を植えたプロジェクトが有名ですね。

おそらく、そのイメージから着想を得たのでしょう。

 

「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

ボイス自身が、木と化していました。

人面樹というか、ボイス面樹。

ボイスへの追悼の意を込めた作品であるはずなのに、

仕上がりが随分とシュールなものになってしまっていました。

 

 

さて、原美術館の現代美術コレクションも見逃せませんが、

特別展示室・観海庵で展示中の原六郎コレクションも見逃せません。

 

「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

本阿弥光悦によるこちらの希少な古活字本『謡本』は、今回が初公開!

 

「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

さらに、青空繋がりで、普段はトーハクに寄託されている、

国宝《青磁下蕪花瓶》が4月26日までの期間限定で里帰りしています。

 

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「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

さらにさらに、トーハクから《青磁袴腰香炉》も併せて里帰り中(こちらも4月26日まで)

 

「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

こちらはなんと、明治45年に東京帝室博物館で展示されて以来の公開とのこと!

つまり、大正・昭和・平成と、3つの元号を越えての公開です!!

思いがけず、あまりにも貴重な瞬間に立ち会えて、いい意味で青褪めました。

星星

 

 

最後に、余談も余談ですが。

《青磁下蕪花瓶》を観ていた時のこと、

胴の下部に開いた小さなくぼみを見つけました。

 

「青空は、太陽の反対側にある」展 展示風景

 

 

なんとなく、お尻の穴みたいだなァと思っていたら、

美術館の広報さんが「そのえくぼもチャームポイントの一つなんです」と教えてくれました。

「へー、えくぼって例え、可愛いですね!」と答えながらも、

内心では、“うわー、お尻の穴って言わなくて良かったー”とホッとしていました。

素敵な例えができる。

サウイフモノニワタシハナリタイ。

 

 

 

 

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