高橋士郎 古事記 展 神話芸術テクノロジー | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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先日は、緊急事態宣言が解除されて以来に、川崎市岡本太郎美術館へ。

久しぶりに訪れたら、太郎さんのパネルがマスクをしていました。

「感染が爆発だ!」 とならないよう、最大限の注意を払ってくれているようです。

 

 

 

そんな太郎さんのパネルとともに、

入口で来館者を迎えてくれたのが、何とも怪しげな手と・・・・・・

 

 

 

アマビエらしきキャラクターとカブトムシ。

 

 

 

これらはすべて、造形作家の高橋士郎さんの手によるものです。

1960年から70年代にかけては、

当時先進的であったコンピューター制御によるアート作品を制作していた高橋氏。

80年代からは作風がガラッと一転して、

風船を素材とした 『空気膜造形』 シリーズを手掛けているようです。

ちなみに、作家として活動する一方で、

2003~2007年には、多摩美術大学の学長として、多くの後進を育てていたとのこと。

少々、いや、かなりぶっ飛んだ学長だったらしく。

こんな感じで、当時の生徒たちによるエピソードがまとめられていました(笑)↓

 

 

 

さてさて、現在、川崎市岡本太郎美術館の企画展示室では、

そんな高橋氏による個展 “高橋士郎 古事記 展 神話芸術テクノロジー” が開催中です。

高橋氏がこれまでに制作してきた 『空気膜造形』 シリーズの数々を、

高橋氏が最近ハマっているという 『古事記』 の世界に置き換えて紹介するというもの。

その会場には、控えめに言って、カオスな空間が広がっていました。

 

 

 

例えば、こちらはイザナギとイザナミが交わっている姿を現しているとのこと。

 

 

 

例えば、こちらは黄泉比良坂とのこと。

 

 

 

いい意味で、あたおか (=頭がおかしい)。

いい意味で、悪夢を見てるようでした (笑)

 

 

 

しかも、作品の中には、「こいつ……動くぞ!」 なものも。

 

 

 

 

 

カオスっぷりに拍車をかけていました。

ちなみに、会場の中央に1点だけ、

岡本太郎の作品 (=《神話》) が飾ってあります。

 

 

 

これまでどんな作品と一緒に飾られても、

常にパワーで圧倒していた太郎作品ですが。

今回に限っては、まるで借りてきた猫のように大人しい印象を受けました。

あの太郎さんを抑え込む。

高橋士郎、恐るべしです。

星星

 

 

なお、何より恐ろしいのは、これらの複雑な形をした作品を、

高橋氏は特にコンピューターを使うことなく、感覚だけで設計してしまっていること。

(↑かつてはコンピューターアートを制作していたのに!)

 

 

 

青い生地。紫の生地。オレンジの生地。柄のある生地。

それらの生地をパッチワークのように貼り合わせて、作品が形作られているわけですが。

空気を中に送り込んでいるため、当然少しでも穴が開いていたら、このようには膨らみません。

つまりすべてのパーツが寸分狂わずつなぎ合わせられているのです。

平面のパッチワークでも難しいですが、

この作品は、それが立体になっている上に、とりわけ複雑な形状をしています。

カオスっぷりばかりが目立ってしまいますが、実は超絶技巧な作品なのです。

 

 

ちなみに。

会場のラストで、謎の動きをしていたのは・・・・・・・

 

 

 

《免疫の神様》 とのこと。

新型コロナウィルスを抑え込んでくだされ。





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