あそびのじかん | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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先日、東京都現代美術館を訪れた時のこと。
「えっ?キッザニア?!」 と、
勘違いしそうになるほどに、館内が家族連れで賑わっていました。
夏休み期間の真っ最中であるとはいえ、想定外のファミリーの多さにビックリです。
どうやら皆さまのお目当ては、企画展示室で開催中の “あそびのじかん” である模様。




こちらは、タイトルずばり、「遊び」 をテーマにした展覧会で、
6組のアーティストによる子どもも大人も楽しめる作品が紹介されています。
星
まず最初に紹介されていたのは、開発好明さんによるこちらの作品です。




全3段。壁のように積み上げられたタンス・タンス・タンス。
その表面をよく見ると、ボルダリングのホールドが取り付けられています。




こちらの作品は、実際に登って楽しむことも可能です。
(ただし、安全面のため、登ってよいのは1段目のみ)
実は、この作品は、市原湖畔美術館での開発好明さんの個展でも展示されていました。
その際も登ってオッケーだったのですが、
やはり僕を含めた大人の観客は、基本的に観ているだけ。
実際に遊ぶ人の姿は、ほとんどありませんでした。
が、今展では、会場がマックスに混んでいた14時ごろは、壁一面にビッシリと子どもたちの姿が。
どの子も全力でこの壁に挑んでいました。
まさか、こんなにも子どもたちに刺さる作品だったとは。
ちなみに、作品のタイトルは、《受験の壁》
何も知らず (?) 無邪気に、《受験の壁》 に挑む子どもたちと、それを見つめる親たち。
その様を見ていたら、なんとも複雑な気持ちになりました (笑)

なお、システム上、《受験の壁》 を超えることはできません。
会場の先に進むには、壁に一か所だけ空いている扉をくぐって行かなくてはなりません。
ちなみに、その扉の名は、「裏口入学の扉」。
いたいけな子どもたちが親とともに、次々と 「裏口入学の扉」 を通っていく。
その様を見て、再びなんとも複雑な気持ちになりました (笑)


さてさて、続いて展示されていたのは、野村和弘さんの 《笑う祭壇》 という作品。
森美術館での “六本木クロッシング2016展” でも出展されていた観客参加型の作品です。




ルールは、シンプル。
一般の方から無償で提供してもらったボタンを投げ、
床に設置された祭壇を思わせるオブジェの上に乗せるという作品です。
しかし、ボタンをオブジェの上に乗せるのは至難の業。
当然、ボタンは床に散らばり、刻一刻と変化するその様子を楽しむというものです。
大人はボタンを2、3個投げたら、飽きてしまうのでしょう。
森美術館で展示されていた際は、ボタンはそんなに散乱していませんでしたが。
子どもは祭壇にボタンが乗るまで、何度もチャレンジしたくなるのでしょう。





床がとんでもないことになっていました (笑)
子どもにとって遊びは、真剣そのもの。
それは大いに素晴らしいことですが、
後片付けするスタッフさんは、大変でしょうねぇ。。。


ちなみに。
今回出展されていた作品の中で、個人的に一番あそべたのは、
ヴァーバル・アート・ユニットTOLTAによる 《ポジティブな呪いのつみき》




さまざまなフレーズが書かれた積み重ねて、
オリジナルの文章を作るというシンプルな作品です。




組み合わせを自分で作り出すのも楽しいですが、
すでに積みあがっている文章を読むのも楽しかったです。
お気に入りは、こちら↓




かつての 『発掘!あるある大事典』 のように、信じてしまう人がいるかもしれません。
たい焼きには、そんな効果は無いですよ。念のため。

あと、おそらく子どもではなく、
お母さんが作成したと思われるこちらのフレーズがグッときました。




最後に。
もっともインパクトがあった作品をご紹介。
タノタイガによる 《タノニマス》 という作品です。




壁一面に展示されているのは、大量のお面。
これらのお面を手に取って実際に被ることが可能。
さらに、お面に自由にカスタマイズすることも可能です。




しかし、これらのお面、どう見てもバイきんぐの小峠。

なんて面だ!!




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