陶と模様のものがたり 菊池コレクション | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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先日まで、竹工芸に特化した展覧会を開催していた菊池寛実記念 智美術館。
すっかり会場を模様替えし、現在は、“陶と模様のものがたり 菊池コレクション” が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、「模様」 をキーワードにした展覧会で、
美術館の現代陶芸コレクションの中から、模様が特徴的な作品を厳選して紹介するものです。
星
描いたり、彫ったり、押したり、貼ったり、と作品によって、模様の付け方はさまざま。
「どんな模様なのか?」 だけでなく、
「どうやって付けられた模様なのか?」 にも注目しながら楽しむ展覧会です。




印象に残った作品はいくつもありましたが。
特に強く印象に残った作品は、
49歳という若さでこの世を去った20世紀陶芸界の鬼才・加守田章二の 《曲線彫文壷》 です。




ISSEY MIYAKEのアイテムのようにも見えますし、
ウルトラセブンに出てきたナントカ星人の顔のようにも見えます。
縄文土器のようにも、地層のようにも見えます。
一見すると、色味もなくて地味なのですが、
見れば見るほど、いろんな表情に見えてくる、飽きの来ない作品でした。


一見地味な作品と言えば、前田正博さんの 《色絵金銀彩鉢》 も。
タイトルは、かなり地味なのですが・・・・・




作品そのものは、めちゃファンシー!
外側はスイカみたいなのが描かれているし、
内側にはゆるい鳥 (←しかも、飛べ無さそうな) がいっぱい描かれているし。
LOFTあたりで販売されていそうな感じです。
《色絵金銀彩鉢》 感” は皆無。
名前と作風とのギャップにやられました (←?)。


続いて紹介したいのは、松井康成の 《練上瑠璃光壺 銘 「幽華」》 です。




どことなく、キャスキッドソン感があります。
さて、この模様は、表面に絵付けされているのではありません。
松井康成といえば、「練上手」 の人間国宝。
もちろん、この作品も 「練上手」 で作られています。
「練上手」(ねりあげで) とは、色の異なる土を組み合わせて焼き上げた陶器です。
それゆえ、表面も内側も同じ模様となっています。
絶対にやってはいけませんが、削っても当然同じ模様です。
金太郎飴のようなものを想像して頂くと、イメージしやすいでしょうか。
可愛いらしい見た目ですが、決して、表面だけ取り繕った可愛さではない作品です。


それから、こちらの作品も印象的でした。
酒井田柿右衛門(十三代)の 《濁手昆虫文花瓶》《濁手花文花瓶》 です。




崎陽軒のシウマイ弁当に入ってる醤油差しみたいな形の花瓶に、
まるでパソコンのアイコンのような感じで、花や昆虫が描かれています。
気になったのは、昆虫のチョイス。
チョウチョやテントウムシといったポップな虫は描かれず。
カミキリムシだとかコオロギだとか、‟いかにも” な虫が多く描かれています。
色合いはポップなのですが、ちょっとだけゾワっとしました。
不思議と動きが感じられるので、なおさらゾワっとしました。


最後に紹介したいのは、伊藤東彦さんの作品です。




皿の表面には、たくさんのタケノコ。
それも、ポップなテイストのタケノコが描かれています。
「たけのこの里」 派の僕には、どストライクの作品でした。
一目でお気に入りに。
が、タイトルを見て、愕然。。。
《布目杉林文長皿》 だそうです。
タケノコでなく、杉の木だったのですね。
どんな絵柄だよ!
それを知った瞬間、花粉症の僕の目と鼻はムズムズとしてきました。




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