マイク・ケリー展 DAY IS DONE 自由のための見世物小屋 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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ワタリウム美術館にて、マイク・ケリーの作品を紹介する展覧会シリーズ (不定期) がスタート!
その記念すべき第1弾を飾るのが、
現在開催中の “マイク・ケリー展 DAY IS DONE 自由のための見世物小屋” です。

マイク・ケリー (1954~2012) は、
ポップ・アートの 「裏の帝王」 とも評されるアメリカのアーティスト。
あの 『ニューヨーク・タイムズ』 では、

「過去四半世紀で最もアメリカ美術に影響を与えた1人であり、
アメリカにおける大衆文化と若者文化の代弁者」


と紹介されたこともあるそうです。


そんなマイク・ケリーが2005年に制作した 《デイ・イズ・ダーン》 が、今回の展覧会のメイン。



(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


写真にオブジェ、映像。
そのすべてが、《デイ・イズ・ダーン》 の一部なのだとか。

一体どんな作品なのでしょう??

さて、まず何と言っても気になるのは、
同じ写真のモノクロver.とカラーver.とがセットで展示されていること。





いや、よくよく見てみると、同じ写真ではないですね。
似てはいますが、間違いなく別人です。
実は、モノクロの写真のほうは、マイク・ケリーの住む地域の新聞や、
彼の高校のイヤーブック (日本でいう卒業アルバムのようなもの) に掲載されていたもの。
そして、カラー写真のほうは、それをマイク・ケリーが別の人を使って再現したものです。
高校時代のコスプレ写真という、
おそらく本人にとっては黒歴史かもしれないものを、アート作品としていじられる。
実にえげつない作品です (笑)

しかも、写真を再現するだけでなく・・・





歌やダンス付で映像化!
(ストーリー構成はもちろん、作詞作曲も振付もマイク・ケリーによるもの)

モノクロの写真の人物に同情を禁じ得ない。
なんとも容赦のない作品です。

肝心の映像は、相当にシュールなテイスト。




トラウマ必至。
心の奥底が、常にザワザワします。
しかし、内容といい、音楽といい、振付といい、妙に惹かれるものがあるのも事実。
映像は全部で30本以上、長いものでは20分くらいの尺のものもありましたが。
ついつい見てしまいました。
謎の中毒性があります。
星星
野生爆弾のくっきーの世界観に近い気がしました。


個人的にお気に入りなのは、「聖母マリアコンテスト」 をテーマにした作品です。
どこのどなたか存じませんが、
こんなダサいTシャツを着ていたばっかりに、写真で再現されるわ、




映像にされるわ、大量にTシャツを作られるわ。





挙句の果てには、ショップでも販売されるわ。




どこのどなたかが不憫でなりません。
でも、さすがに、このTシャツのセンスは・・・。
ないわぁ (笑)


ちなみに、展覧会には、大学卒業直後に制作したという、
マイク・ケリーの初期作品 《エクトプラズム#1~#4》 も出展されていました。




写真のモデルは、当時のマイク・ケリー自身。
鼻から出ているエクトプラズムは、もちろん本物ではなく。
白い布かなにかです。
おそらく、あえて狙っているのでしょうが、その再現のクオリティの低さたるや。
B級感がハンパない作品でした。




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