第3回 私の代表作展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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“写実の殿堂” ホキ美術館。
そのハイライトとも言える 「私の代表作」 コーナーが、3年ぶりに一新しました!
ホキ美術館を代表する画家14人が描きおろした最新 「私の代表作」 が集結。
今、美術界でもっとも注目を集めている写実絵画の、まさに “最前線” がここにあります。
ホキ美術館に行ったことがない方は、是非この機会に!
ホキ美術館に行ったことがある方も、改めて是非この機会に!
星星


「私の代表作」 は、どれも100号を超す超大作。
館内には他にも120点近くの作品が展示されていましたが、
この 「私の代表作」 コーナーだけでも、十分に見ごたえがあります。
ノーベル化学賞を受賞した野依良治さんをモデルにした野田弘志さんの作品や、

崇高なるもの
野田弘志 《「崇高なるもの」OP.6》 2016年 ホキ美術館


今最も注目を集める若手イケメン写実画家・塩谷亮さんが竹林を題材にした意欲作、

月洸
塩谷亮 《月洸》 2017年 ホキ美術館


島村信之さんの 「標本箱」 シリーズの現時点での集大成ともいうべき作品など、

夢の箱
島村信之 《夢の箱》 2017年 ホキ美術館


どれも素敵な作品ではありましたが。
全部を紹介していると記事が長~くなってしまいますので、
ここからは 「私のオススメ作」 に絞ってご紹介いたしましょう。
まず紹介したいのは、原雅幸さんの 《薄氷の日》 です。

薄氷の日
原雅幸 《薄氷の日》 2017年 ホキ美術館


描かれているのは、イギリスのとある運河の風景。
イギリス在住の原雅幸さんにとっては、
娘の送り迎えの関係で、かれこれ12年間通っているという日常の風景です。
そんな何気ない風景なのに、心をグッと捉えて離さないものがありました。
どこかフェルメールの 《デルフトの眺望》 を彷彿とさせます。
ちなみに、画面手前の水鳥は、今にもこちらに振り向きそうですね。
どこかフェルメールの 《真珠の耳飾りの少女》 も彷彿とさせます。


続いては、小尾修さんの 《静寂の声》

小尾
小尾修 《静寂の声》 2017年 ホキ美術館



小尾修さんと言えば、木の床。
木の床と言えば、小尾修さん・・・というくらいに、木の床へのにこだわりが特に強い小尾修さん。
その最新作には、木の床はもちろん、たくさんの木の幹が描きこまれていました。
方向性は不明ですが、何かしら進化していることは確実です。
センターのモデルさんの堂々した姿が、なんとも印象的。
たくさんの木の幹をバックに、こんなにも堂々と、
しかも、ナチュラルにしてられる女性はそうそういないでしょう。
木の幹たちを従えているようにすら見えます。
チーム木の幹の女総長。


毎回、新しい試みにチャレンジする五味文彦さんの新作は、《像にそうて容に泣く》

左
右
五味文彦 《像にそうて容に泣く》 2017年 ホキ美術館


五味さんには珍しく、裸体をテーマにした作品です。
パッと見は、普通のヌード画のようです。
他の写実画家が描くヌード画と、そう違いはないように思えます。
が、五味さん曰く、“この作品は空間を浅くしてみました” とのこと。
一瞬何のことかよくわかりませんでしたが、
しばらく眺めていると、五味さんの言わんとすることが朧げながらわかってきました。
なんとなく、あくまで、なんとなくのイメージですが。
自分が透明なアクリルの板に立っていて、
そのすぐ下で眠っている女性モデルを見下ろしているような感じがするのです。
もしくは、女性モデルは棺のような空間にいて、
それを透視した光景を描いたもののような感じがするのです。
今までの絵画鑑賞では味わったことのない不思議な奥行きを感じました。


最後にご紹介するのは、毎回、五味さん以上に、
新しい (とんでもない?) 試みにチャレンジする石黒賢一郎さんの新作。
その名も、《Injection Device 2017》 です。

石黒賢一郎
石黒賢一郎 《Injection Device 2017》 2017年 ホキ美術館


時は、2047年。
世界各地でウィルステロが発生。
そのウィルスに感染し、死を免れたものは異形化してしたという。
ウィルスに感染したものの、
科学者である父が開発したワクチンにより、かろうじて一命を取り留めた少女がいた。
その名は、ユウキ。
彼女は首に装着した “Injection Device” から、定期的にワクチンを注入し続けている。
そして、その副作用として驚異的な力を手に入れた。
さらに、父が開発したナノマシンを全身にまとい、
より強靭な力を得たユウキは、異形化した人々や独裁国家の戦闘兵器から人類を守る戦いに挑む!


・・・・・という石黒さん完全オリジナルのSFチックな設定を下敷きにした一枚。
こちらを見つめている少女が、ユウキです。
カーディガンの繊維1本1本まで描き切ったような執念の描写力はさすがの一言。
廃墟に漂う空気感や静寂さも、リアルに再現されています。

さてさて、この絵の横には、不気味な立体模型が置かれていました。
体はロボット。顔はオジサン(=ユウキの父)。
なんでも、そのロボットにも、ちゃんと設定があるようです。

激しい戦闘の末、命を落としてしまったユウキの父。
しかし、彼は死の直前に自身の意識をスキャニングしAIに移植していた。
そのAIは、ユウキが搭乗して戦うグルアビペダに埋め込まれ
・・・・・って、すいません。
さすがに、ちょっと何言ってるか分からなくなってきました (笑)

ちなみに、ユウキのモデルは石黒さんの実の娘さんとのこと。
つまり、ユウキの父のモデルは、石黒さん本人。
そう、グルアビペダは石黒さんの顔なのです。
石黒先生何やってんすか (笑)




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