サカツ・コレクション 日本のポスター芸術:明治・大正・昭和の彩り | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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うらわ美術館で開催中の展覧会、
“サカツ・コレクション 日本のポスター芸術:明治・大正・昭和の彩り” に行ってきました。

こちらは、飲料・食品商社のサカツコーポレーションが、
長年かけて蒐集した明治末期から大正、昭和初期のポスターコレクション、
通称、サカツ・コレクションにスポットを当てた展覧会で、『マッサン』 でも話題になったポスターや、

マッサン
片岡敏郎・井上木它 赤玉ポートワインポスター 「グラスを持つ半裸の女性」 1922年


美人画の名手・伊藤深水が手掛けた 「味の素」 のポスターなど、

味の素
伊東深水 味の素ポスター 「口元を袖で隠す和服の女性」 1928年


貴重なポスターが85点ほど紹介されています。
そのうちの多くを占めていたのが、ビールのポスターでした。

蕪と
カブトビールポスター 「テーブルの上の薔薇と二人」 1915年

ビール
サクラビールポスター 「『桜ビール』文字入りの和服を着て給仕をする女性」 1916年


今も昔も、ビールのポスターには、女性が欠かせないようです。
描かれている女性は、当時のキャンギャルみたいな存在だったのかもしれません。

さてさて、ポスターは時系列に沿って紹介されていましたが、
印象的だったのは、大正時代に突入した途端、明らかに西洋の影響を受けたポスターが増えたこと。

ビール
キリンビールポスター 「グラスを持つドレスの女性」 1924年


大正2年に九州に誕生したというサクラビールのポスターなんて、どう見てもアール・ヌーヴォー風。
なんなら、モデルも西洋人です。

サクラビール
サクラビールポスター 「kambangビール」 1912-16年


ちなみに、ビールのポスターに限らず、
ほぼ全てのポスターに共通していたのが、商品が飲まれていないこと。
ある女性は、注ぎ役に徹し、

朝日
堤貞二 アサヒビールポスター 「酒場の棚の前の女性」 1932年頃


ある女性は、飲みの席からも距離を置き、

ユニオン
町田隆要 ユニオンビールポスター 「レストランのドレスの女性」 1926-33年


また、ある女性は、飲料を手にして確実にテンションを下げています。

カルピス
伊原宇三郎 カルピスポスター 「カルピスを持つ赤い洋服の女性」 1928年


こちらの女性に関しては、リアクションが意味不明。

キリンビール
多田北烏 キリンビールポスター 「テーブルの上のビールと女性」 1927年


「きゃっ!飲みかけラブラブ みたいな感じでしょうか。
・・・・・いや、どんな感じだよ?!


と、面白ポスターは数多く出会えた展覧会でしたが。
星
その中でも、特に印象に残っているのは、
明治45年の大日本麦酒ポスターの 「電車の中からビールを注文する女性たち」 です。

電車の中からビールを注文する女性たち


もちろん缶ビールなんて無いわけですから、
この時代は、電車でも瓶でビールを飲んでいたわけですね。
グラスとか無さそうですから、瓶からダイレクトで飲んでいたのでしょうか?
しかし、何より二人の女性の真顔っぷりが気になります。
「・・・・・・瓶で飲め、と?」
ちょっと怒ってますよね。


それから、1920年代半ばのエビスビールのポスター 「ビールを見る家族」 もパンチの効いた1枚。

恵比寿


何もそこまでガン見しなくても。。。
というか、女の子は完全にビールを見つめています。
若干、目がイッちゃってます。




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