ティツィアーノとヴェネツィア派展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノに焦点を当てた日本初の大規模展、
“ティツィアーノとヴェネツィア派展” が、いよいよ東京都美術館で開幕いたしました。

ヴェネツィア
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


初期から円熟期まで7点のティツィアーノ作品 (うち2点はティツィアーノと工房による) と、
ベッリーニやティントレットらヴェネツィア派の画家の作品が、70点近く集結しています。

会場
左:ジョヴァンニ・ベッリーニ 《聖母子(フリッツォーニの聖母)》 1470年頃、テンペラ、板(カンヴァスに移し替え)、52.5×43.2cm、ヴェネツィア、コッレール美術館
右:ラッザロ・バスティアーニ 《統領フランチェスコ・フォスカリの肖像》 1460年頃、テンペラ、油彩、板、52×41cm、ヴェネツィア、コッレール美術館



作品1点1点がゆったりと、実に品よく展示されており、
会場は、まるでイタリアのオーセンティックな美術館のような雰囲気に。
(すいません。イタリア行ったことないですが。。。)
日本とイタリアの国交樹立150周年の記念イヤーのラストを飾るに相応しい展覧会でした。
星星


目玉は何と言っても、日本初公開となるティツィアーノの 《ダナエ》 です。

ダナエ
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《ダナエ》 1544-46年頃、油彩、カンヴァス、120×172cm、ナポリ、カポディモンテ美術館
© Museo e Real Bosco di Capodimonte per concessione del Ministero dei beni e delle attivita culturali e del turismo



父親によって塔に幽閉されてしまった美女ダナエ。
その美しさに一目ぼれしたユピテルが、金色の雨に姿を変えてダナエのもとを訪れる。
そんなギリシャ神話の有名な1シーンが描かれています。
ただ、よく見ると、画面右に思いっきり空が広がっています。
雨に変身せずとも、普通に入れば良かったのでは?
ちなみに、さらによく見ると、雨だけでなく、金色のコインも降り注いでいます。
女性と関係を持ちたいのであれば、ある程度のお金は必要ということですね。

ちなみに、ティツィアーノ最大のライバル・ミケランジェロは、
この絵を実際に目にした際に、その大胆な色遣いと様式に脱帽したのだとか。
ただ、「まぁ、でもデッサンがなってないね」 と、
負け惜しみ (?) を付け加えるのも忘れなかったようです。


そして、本国イタリアで人気の 《フローラ》 も見逃せない1枚。

フローラ
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《フローラ》 1515年頃、油彩、カンヴァス、79×63cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館
© Gabinetto Fotografico del Polo Museale Regionali della Toscana



描かれた花の女神フローラのゆるふわ感がハンパではありません。
『non・no』 とか 『Ray』 とか 『CanCam』 の表紙を飾っていてもおかしくないレベル。
「恋人にしたい美人画ランキング」 があれば、トップ5入りは確実です。
しかし、残念なことに、右手の薬指に指輪が光っています。。。
人妻かよ。


個人的に一番印象に残ったティツィアーノ作品は、《教皇パウルス3世の肖像》

教皇パウルス3世の肖像
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《教皇パウルス3世の肖像》 1543年、油彩、カンヴァス、113.7×88.8cm、ナポリ、カポディモンテ美術館
© Museo e Real Bosco di Capodimonte per concessione del Ministero dei beni e delle attivita culturali e del turismo



こちらも、右手の薬指に指輪が光っています。
・・・・・って、それはどうでもいいのですが。
とにもかくにも、ビロードの質感が衝撃的なくらいに完璧。
触ってみたくなる衝動と、しばし戦う羽目になりました。


ちなみに、ティツィアーノ作品以外で、
一番印象に残ったのは、パルマ・イル・ヴェッキオの 《ユディト》 です。

ユディト
パルマ・イル・ヴェッキオ 《ユディト》 1525年頃、油彩、板、90×71cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館
© 2016. Photo Scala, Florence - courtesy of the Ministero Beni e Att. Culturali



その美貌をもって、敵将ホロフェルネスを籠絡し、
酒で酔わせたところで、首を剣で切り落としたとされるユディト。
ただ、このユディトは、そこまで美人じゃないというか、、、(※個人の見解です)
ふっくら、いや、がっしりしすぎというか、、、(※個人の見解です)
ホロフェルネスの女性趣味を疑います。(※個人の見解です)
保険金殺人の女性犯人って、たいがいこんな感じですよね。(※あくまで個人の見解です)


最後に、告知を一つ。
この展覧会をより楽しむための予習トークショー、
“ティツィアーノ展どう楽しめばイーノ?” が、以下の日程で開催されます。

 ・2/2(木)  19時半~21時 代官山 蔦屋書店
 ・2/8(水)  19時~20時  蔦屋家電
 ・2/10(金)  19時~20時  浦和 蔦屋書店


2日の回は、担当学芸員さんと展覧会の裏話も交えたトークを繰り広げます。
そして、8日と10日の回は、ティツィアーノをテーマにしたネタライブをお届けします。
アートテラーとしてのネタライブは3ヶ月ぶりなので、今回もいろいろとネタを仕込んでいます。
どの回もご期待くださいませ♪
参加費は、なんと無料です!(ただし、展覧会前売りチケットの購入が必要となります)
それぞれの詳細は、こちらに↓
http://ameblo.jp/artony/entry-11201204360.html
皆様のご来場を心よりお待ちしております。




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