驚きの明治工芸 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京藝術大学大学美術館で開催中の “驚きの明治工芸” に行ってきました。
会場に入るや否や・・・

入口


《自在龍》 がお出迎え。
こんな “驚き” からスタートする展覧会です。

出展されている超絶技巧が駆使された明治の工芸品は、約130点。
これらすべてが、漢方の薬剤師・宋培安さんのコレクションであるというから、さらに “驚き” です。
(一部、東京芸術大学蔵のものがあります)


さてさて、これまでに何度か、明治工芸をテーマにした展覧会を訪れているので。
ちょっとやそっとのモノじゃ驚かない自信があった僕ですが。
今回の展覧会でも、まんまと (?) 驚かされました。

例えば、根付。

根付


いろいろな根付があった中で、僕が推したいのは、こちらの根付です。

根付
《蜆(しじみ)根付》 平井汲哉


何この無駄なクオリティの高さwww

スゴすぎて、笑ってしまうレベルです。
本物の蜆と全く区別がつきません。
ということは、これを根付として使っていたら、
道行く人に、「あの人、腰に蜆がついているんだけど・・・」 と不思議がられたはず (←?)。
作った人もスゴイし。
使った人もスゴイ。


(いい意味で) 無駄なクオリティの高さと言ったら、二代橋本市蔵の 《竹塗花入》 も。

竹塗花入


どう見ても、竹にしか見えませんが。
実は、木。
・・・・・・・竹で作ったら、よろしいがな。


離れて目にしたなら絵画にしか見えない、こちらの作品たち。

絵画?


近づいてみると、“驚き” が・・・。

絵画?  
《大文字焼図壁掛》 無銘


もっと近づいてみましょう。

ビロード


実は、これらは ビロード友禅と呼ばれる友禅染を施したビロード。
まさに超絶技巧です。


さてさて、今回最も衝撃を受けた超絶技巧の工芸品はこちら↓

山田宗美


一見すると地味です。
いや、二度見、三度見しても地味です。
これらの作者は、「鉄打出の名匠」 と呼ばれる山田宗美 (やまだそうび)
鉄打出とは、金槌でトントンカンカンして、
一枚の薄い鉄板 (厚さ約0.3mm!) を立体物に仕上げる技術のこと。
上の写真の3点は、決して鋳物で作られたわけではないのです!
ちなみに、鉄打出は、山田宗美が開発し、現在は誰も再現できない謎の技術なのだとか。
日本には、まだまだ知られざるスゴイ技術があったものですね。



タイトル通り、“驚き” の明治工芸の数々には出会えましたが。
会場自体は、ごくシンプルで、ボリュームも腹七分といった感じ。
意外とあっさりした印象の展覧会でした。
星
予想に反していたので、ちょっと “驚き”。


最後に個人的にお気に入りの作品をご紹介いたしましょう。
藻晃の 《指月猿香合》 です。

指月猿香合


きっと、ゴムゴムの実を食べたのでしょう。




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