第四十一話 国宝ハンター、怒涛の7日間・・・散る。 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

前回までのあらすじ~
 月月火水木金金。
 今週は、国宝を毎日見続ける生活に挑んでいる国宝ハンター。
 上野 (トーハク) に、日光に、大宮に、表参道に、赤坂に。
 さすがに毎日国宝を見続ける生活をしていると、夢の中でも国宝ハンティングする始末。
 
 「もう国宝食べられないよ~ムニャムニャ」

 ・・・って、どんな夢を見ているんだか?!



~11月2日 国宝7Days 【6日目】の続き

迎賓館を後にし、鎌倉へ向かいました。
約1時間後、JR北鎌倉駅すぐの円覚寺に到着。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


国宝ハンター的には、でかでかと書かれた 『宝物風入』 の文字よりも。
その脇に、小さめに書かれた 『国宝円舎利殿同時特別公開』 の文字に釘付けです。

実は、数か月前にも、円覚寺を訪れているのですが。
第ニ十九話 国宝ハンター、鐘を鳴らす?
その時には、国宝の舎利殿は公開されていなかったのです。
国宝の舎利殿の近くまで行くことが出来るのは、1年間を通じて、秋の3日間だけ。
この時期を逃すと、来年まで、チャンスが巡ってこないのです。

さて、そんなお目当ての国宝建造物 《円覚寺舎利殿》 が、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


・・・イマイチ、全体像が写っていない写真で、すいません。
改めまして、 《円覚寺舎利殿》 は、こちらです↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-舎利殿


・・・・・本当は、皆様に全体写真をお見せしたいのですが。
写真撮影は禁止とのこと。
これらの写真で、ご容赦くださいませm(__)m

ちなみに、こんなよくわからない写真しか紹介できなくてなんですが。
この 《円覚寺舎利殿》 を観れたことで、関東にある国宝建造物はすべて観たことになりました!
おめでとう、国宝ハンター!!


さてさて、 《円覚寺舎利殿》 も無事に観れたことですし、
今日は寝てないことですし、もう帰ろう・・・そう考えたところで、ふと閃くものがありました。

「あれっ、円覚寺で宝物風入をしているってことは、近くの建長寺でも宝物風入をしてるんじゃね??」

もし宝物風入をしているならば、あと2つの国宝を観れることになります。
眠気はピークに差し掛かっていますが、
もし国宝が公開されているのに、逃してしまったら、あとで後悔するのは必至。
(注: “公開” と “後悔” を掛けたわけではありません)

眠い目をこすりつつ、建長寺へと向かうと・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-建長寺


宝物風入が行われているようです!
無駄足にならなくて良かったです!!

ところで、先ほどから、当たり前のように使っている 『宝物風入』 という単語。
一体、どういう意味なのかは、建長寺さんが端的に解説してくれていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宝物風入


↑そういうことです。


こちらの建長寺が所蔵している国宝は、2件。
宝物風入では、もちろん2件とも展示されていました。

1つは、建長寺の開山である蘭渓道隆を描いた 《絹本淡彩蘭溪道隆像》 (ジャンル:絵画)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-絹本淡彩蘭溪道隆像


そして、もう1つは、その蘭渓道隆の自筆による 《大覚禅師墨蹟〈法語規則/〉》 (ジャンル:書跡・典籍)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-書跡・典籍


文字だらけで何が書かれているのか、ちんぷんかんぷんだったのですが。
建長寺の方が、解説してくれたので、助かりました。
何でも、 《大覚禅師墨蹟〈法語規則/〉》 に書かれているのは、
この建長寺で修行する僧たちへの訓示や校則 (?) のようなもの。
ざっくりと言えば、 「指示待ち人間になるな!」 という戒めが書かれているのだそうです。
また、修行生活のルールを破った場合の罰も書かれています。
一番ポピュラーな罰として、 『罰油一斤』 という単語が、たびたび登場しています。
これは、油一斤の火が燃え尽きるまで、座禅をしていなくてはならない罰なのだとか。
バケツを持って廊下に立つ代わりに、建長寺では、こんな罰が待っていたのですね。



~11月3日 国宝7Days 【7日目】~

いよいよ、国宝7Daysも最終日。
短いようで長い7日間でした。
・・・って、まだ終わっていないですね。

本日は、千葉県にある法華経寺にやって来ました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-法華経寺


こちらは、日蓮宗の大本山。
当然のように、日蓮さんもいらっしゃいます。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-日蓮


こちらの法華経寺が所有する国宝は、2件。
日蓮さんが書いた 『観心本尊抄』 と 『立正安国論』 の原本があるのです。
貴重な原本のため、公開されるのは、なんと1年を通じて、11月3日の1日だけ。
しかも、11時から13時半の間だけ。

なんとも国宝7Daysの最終日を飾るに相応しい国宝ではないですか。
そう。この超貴重な国宝を観ようと、
実は、昨年の12月から、この日を待ちわびていたのです。

では、逸る気持ちを抑えつつ、いざ国宝のもとへ・・・・・って、ん?

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-門


なんか、門に張り紙がしてありますね。
なんか、嫌な予感がしますね。
(そして、こういう予感は当たるのです!)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-中止


「オーマイゴッド!!」

何、中止ですと?
そんなバカな。

「何かの間違いであってください!」

南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経・・・
一縷の望みを込めて、国宝があるとされる聖教殿へと足を進めます。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖教殿


「オーマイガッド!!」
(↑意味もなく、発音を良くしてみました)

関東地方よりも先に、僕の心に木枯らし1号が吹きました木枯らし


その後、傷心のまま、法華経寺を後にし、
気づいた時には、自然と足がトーハクへと向かっていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-トーハク


最終日に何にも国宝を観ないわけにはいきませんので、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-出雲-聖地の至宝-


開催中の特別展 “出雲-聖地の至宝-” を観賞。
こちらの展覧会で、以下の3件の国宝をゲットしました。

《秋野鹿蒔絵手箱》 (ジャンル:工芸品)

$アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-秋野鹿蒔絵手箱


《島根県加茂岩倉遺跡出土銅鐸》 (ジャンル:考古資料)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-銅鐸


《島根県荒神谷遺跡出土品》 (ジャンル:考古資料)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-島根県荒神谷遺跡出土品


どうにかこうにか、最後にトーハクに滑り込みで、
3件の国宝をゲットすることが出来たわけですが。
自分の中では、法華経寺が空振りに終わったことで、不完全燃焼な感じは否めません。
悔しいので、いつかまた国宝7Daysに挑戦したいと思います。


今現在の国宝ハンティング数 275/1085




国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ