布を愛した人たちのものがたり展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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昨年11月1日にオープンしたばかりの出来たてホヤホヤの美術館へと行ってまいりました。


場所は、浅草。

浅草寺のすぐそばです。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アミューズミュージアム



浅草寺で参拝した後、右手に進んで行けば、

そこにあるのが、アミューズミュージアム。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アミューズミュージアム



全6階建ての立派な建物です。

ここは、歴史と芸能の街・浅草で、日本の文化、

「和」 、そして、その 「美」 を新たな切り口で紹介するライブミュージアムなのだそうです。


…と、ここで一つ疑問が。

日本文化がテーマな美術館なのに、

名前が、アミューズミュージアムと横文字なのは、これいかに??



実は、ここ。

サザンオールスターズやら福山雅治やらPerfumeやら…が、

所属するあの大手芸能プロダクションのアミューズが手掛ける美術館。

芸能プロダクションが手掛ける美術館なんて、

おそらくここ以外に無いのではないでしょうか!

どうにか近くて、よしもとおもしろ水族館くらいなものです (笑)



さて、そんなアミューズミュージアムのオープニングを飾る企画展が、

2月28日まで開催中の “布を愛した人たちのものがたり展” です。


実は、今回、理由あって、

館長さん直々に、美術館を案内してもらえることに。

無知で行くのも失礼かなと、

HPにて企画展の概要を確認してから向かうことに致しました。


  世界初公開展示となる国指定重要有形民俗文化財「津軽刺し子着物」や、

  テキスタイル・アートコレクション 「BORO」 を紹介しますー


と、概要にはありましたが。

正直、これを読んだ時の感想は、


“ふむふむ。

 国指定重要有形民俗文化財の 「津軽刺し子着物」 ってのは、何だかスゴそうな気がするなぁ。

 だけど、 「BORO」 ってねぇ…(苦笑)

 ローマ字表記にして、カッコイイ感じにしてるけど、実際は、継ぎはぎだらけのボロ着物のことでしょ”


と、まぁ、 「BORO」 に関しては、ほとんど期待はしていませんでした。

ただ、心の中で、いくらそう思っても、

館長さんの前で、それを出すわけにはいきません。

“ボロが出ないようにせねば!” と、気合いを入れて会場へ。

(↑これが言いたかっただけw)



ところが、会場に入って、しばし思考停止状態に…。


“えっ、これが 「BORO」 の展示会場…??めちゃめちゃオシャレじゃん!”

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-BORO


一瞬、パルコかと思いました。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-boro  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-boro


TAKEO KIKUCHI291295=HOMMEかと思いました。

ディスプレイもさることながら、

会場内には、ボサノバのBGMも流れ、ミュージアムとは思えない洒脱さ。

さすが、アミューズのミュージアム。

お客さんを楽しませるツボを心得ています。


ただ、アミューズミュージアムのこだわりは、

まだまだこんなものではありませんでした。


まず、一つは会場のアテンダントさんが、積極的に話しかけてきてくれる点。

そんなところもパルコっぽいですが (笑) 、

服屋のショップ店員と違って、何かを買わなきゃいけない空気にはさせられないので、ご心配なく。

懇切丁寧に、展示作品の解説をしてくれるのです。


そして、もう一つ。

今回の展示品は、布がテーマ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ボロ  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ボロ



こうした展示物を観ていると、

つい触り心地を、確かめてみたくなりませんか?

はい。では、大いに触ってみて下さいませ。


布は触ってナンボ。

ということで、今回の展示品は、

こちらの国指定重要有形民俗文化財の 《津軽刺し子着物》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-津軽刺し子着物  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-津軽刺し子着物



を除いて、全て触ってOKなのです。

このように観賞者の立場になって展示を考えているのも、

アミューズならではという感じで、非常に、感銘を受けました。


さらに、もう一つ付け加えるならば、写真撮影もOK。

もうアミューズミュージアムさん、最高!

僕の理想とするミュージアムの形が、ここにありました♪

吉本興業でなく、アミューズに入れば良かったです (←?)

星星星

3ツ星に決まっているじゃないですか!



さてさて、展示だけでなく、

展示品自体も、もちろん良かったです。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-学生服



こちらは、学生服。

麻で出来ています。

今でこそ、綿より高級なイメージのある麻ですが、

寒冷地である青森では、綿は育たず、麻しか育たなかったのだそうです。

寒い地方なのに、風合いの涼やかな麻しか育たないなんて。

皮肉にもほどがある話です。



寒さと云えば、こちらの 《ドンジャ》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ドンジャ


重さにして、約15kgほど。

もちろん着るものではありません。

ドンジャとは、青森の方言で、 “かいまき” のこと。

つまり布団の代わりですね。


これは、館長さんから伺った話なのですが。

寒い寒い青森では、少しでも温まるため、

ドンジャの中で裸になって、夫婦・親子で寝たのだとか。

そのため、夜は夫婦喧嘩や親子喧嘩は無かったそうで。

大変心温まるエピソードではありましたが、

じゃあ、寒いからと言って、

 

「自分の親とこのドンジャで寝れるか?」

 

と問われれば、それはまた別の話です。

そんなの絶対に無理です (笑)



ここまで紹介した展示品は、当然のことながら、全て手作業の品。

しかも、プロの仕事ではなく、

一般の人々がこれだけのものを作っていたというのだから驚きです。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ボロ


この帯も、また然り。

使い古した着物をほどいて、

それをまた織り直して作った帯なのだとか。

美しさを感じただけでなく、

何というか、敬虔な気持ちになりました。


ユニクロやしまむらで、

安く服を手に入れられるようになった今の時代が、どれだけ恵まれているのか。

よ~くわかりました。

とりあえず、ゴムが緩くなったからと、パンツをすぐに捨てるのはやめます。




さてさて、この他にも、アミューズミュージアムには楽しさがいっぱい!

古民具や石器・土器があったり、

浮世絵のシアターがあったり、

オシャレなカフェやバーがあったり、

織物を実演してくれる “織り姫” という女の子のチームがいたり、

6階から、スカイツリーが見えたり。

(ついでに、オリコも見えてます)


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-スカイツリー



浅草で遊ぶなら、花やしきもいいですが、

これからは、アミューズミュージアムの時代ですね。





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