シングル「美しい鰭」の必然性とCDジャケットデザインについて(考察) | 好きこそものの。

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大好きなバナナマンやマンガ、映画など日常も含めて書いてマス。

今回のブログを書くにあたって簡単な自己紹介から始めます。
読み飛ばしていただいても、問題ありません。

■コナンファン歴?年

「名探偵コナン」は、小学生の頃にTVアニメ放送がスタートしてて
毎週見ていました。
※殺人シーンの犯人が毎度黒いシルエットで
 子供ながらに本当に怖くて、夢に見る位トラウマだった

あと、初めてカラオケで歌った曲は、小松未歩さんの「謎」だった(今思い出した)。
好きなキャラクターは、

「京極真さん」と「怪盗キッド」そして「灰原哀ちゃん」でしたが
「純黒の悪夢」を観てからは「降谷零さん」も加わった。

劇場版は、主にキッドが出ている作品と「ゼロの執行人」あたりから最新作までは観ています。

■スピッツファン歴27年(にわか歴14年/ガチ歴13年)

物心ついた頃に、生まれて初めて音楽と認識したのが「スピッツ」。
それ以来一番好きな音楽は毎回「スピッツ」と答えている。

2011年、「死ぬまでに一回はスピッツのライブに行きたい」と思い
初めてスピッツのライブを見にいく。
その結果、「死ぬまでに一回でも多くスピッツのライブに行きたい」と思うようになる。

以上、自己紹介終わり。

「劇場版 名探偵コナン 黒鉄の魚影」を観てきました。

近年の劇場作品に関しては
「ゼロの執行人」あたりから「ハロウィンの花嫁」まで観ていたのですが
登場キャラ、とくに女性陣にそれぞれ活躍シーンがあって内容が盛りだくさんなのに
本筋のストーリーにまとまりがあり、素直に面白かったなぁと思う作品でした。

終盤のあのシーンおよびラストの展開は「万人受けか?」と問われると「それは分からん!」なのですが
にわかながらも灰原哀ちゃんが好きな人間側なので
まさかここまでやってくれるとは、という感慨がデカかったですね。

あと、蘭姉ちゃんの扱いがここ数年で一番良かった気がする。
私は、哀ちゃんが好きな人間なので、蘭にやや複雑な思いがあるのですが
そんな自分が今回の映画で蘭姉ちゃんの魅力を再認識したというか、素敵な子だなって思いました。

そんでもって、予想外のラストシーンで高ぶった感情の整理がつかないままエンドロールに突入して
「美しい鰭」が流れだしてしまって
今回の映画本編と楽曲の親和性というか、共鳴にさらに感動してしまい
この作品に「美しい鰭」ってピッタリだなぁとファンびいきながらも感じている次第です。とにかく余韻がすごい。


さて、ここからは、ブログタイトルにあるとおり
スピッツのシングル「美しい鰭」の必然性とCDジャケットデザインについて
いちスピッツファンとしての考察を書かせていただきます。

あくまで、個人的な考察となりますので、その点どうぞご了承ください。

私はスピッツのファンなので、
映画公開前に発売されたシングル「美しい鰭」
シングルのカップリング曲「祈りはきっと」 「アケホノ」の3曲を
映画を観る前に聴き倒しておりまして・・・

正直、、、全曲「灰原哀ちゃん」の曲に聴こえる。三部作なんかってレベル。

個人的には、「アケホノ」がめちゃくちゃ灰原哀ちゃんじゃん!?と思っていた。

映画を観た後だと
この映画の主題歌はまさしく「美しい鰭」一択!って感じなのですが
ほかの2曲、とくに「アケホノ」が実は主題歌候補でした。と言われても納得できる。

(まだ聴いていない人は聴いて欲しい)。

ちょっと話がそれましたが、私は映画を観たことで
「美しい鰭」の歌詞以上に
タイトルが「美しい鰭」である必然性をとても強く感じたんですよね。

スピッツの楽曲は、ボーカル兼ギターである草野マサムネさんが
作詞作曲をほぼ全曲手がけています。

普段は、シングルでも仮タイトルを本採用したりする(歌詞の内容と関連のないタイトルつけたりする)こともある方なのですが
今回の「美しい鰭」は、草野マサムネさん比でタイトルの表記を含めてこだわりを感じています。

■歌詞の内容と関連のないタイトル例

「ロビンソン」 「チェリー」
 

■歌詞の内容と関連のあるタイトル例

「空も飛べるはず」

「美しい鰭」に関しては、「美しいヒレ」にすると
お肉のヒレ肉が連想されるかも、、、と心配して
漢字の「鰭」にしたとか(その結果、「鰭」と「鮨」の空目が大量発生)。

あと、過去楽曲との歌詞の比較で言うと
スピッツって辞書で引かないといけないような難しい言葉をあまり使わないんですよ。

日常的に使われている言葉を
今までにない組み合わせで使う、時に相反する言葉を組み合わることで
新しい表現、解釈を作り出していくのが、草野マサムネさんの歌詞の魅力のひとつだと考えています。

■今までにない言葉の組み合わせ例

「さわって、変わって」:天神駅の改札口で 君のよれた笑顔 /さわって 変わって 春が忍び寄ってくる心地


■相反する言葉の組み合わせ例

「スピカ」:幸せは途切れながらも 続くのです/ふり向けば 優しさに飢えた 優しげな時代で

過去のインタビューで、草野マサムネさんは、
メロディはいくらでも作れるけど(スランプに陥った経験がないっぽい)、歌詞はすごく悩む。

という話をしていて、
メロディと一緒にフレーズが浮かんでくることもあれば、
使いたい言葉のストックから広げたりもするし、小説を書くつもりで書いている、ということも話していました。

あと、タイアップ曲の方が作りやすいとも。

草野マサムネさんって、タイアップ楽曲を作る上での下準備をしっかりする方で
時間があれば現地に赴いて、その土地ならではのモノやコトを盛り込んだりするんです。
※なんなら、地方でのライブ公演のMCネタのために
 わざわざ前乗りして、現地散策し話のネタを考えるマメな人です

今回、「美しい鰭」の楽曲制作にあたり、どの程度の下準備をしたのかは明らかになっていないので
過去のタイアップ曲関連のインタからの憶測になりますが、
おそらく映画の脚本は読んでいて、哀ちゃん関連のエピソードもひととおり
頭に入れていそうだな、と。

そうじゃないと、「美しい鰭」の歌詞は書けないと思うし、
なにより「美しい鰭」というタイトルを付けられないと思うからです。

ここから先は、原作でのキャラクター設定や
映画本編の内容に踏み込んだ考察になるので、まだ映画を観ていない方は
個人の判断で続きをお読みください。

すでに多くのコナンファンの方が

あのシーンを揶揄しているのでは?と指摘していましたが
原作では、灰原哀ちゃんが
蘭姉ちゃんを「人気者のイルカ」で自分自身を「意地悪なサメ」と口にするシーンがあります。

そして、今回の映画本編では、八丈島での「ホエールウォッチング」に
少年探偵団と博士、蘭と園子、小五郎のみんなで遊びに行く。

という目的があり、博士おなじみのクイズが「クジラ」に関するものだったり
エンドロールでも「クジラ」の尾鰭が出てきたり、おまけ映像で「イルカ」の置物が出てきたり
と「鰭のある海の生き物」が要所要所に出てきます。

ここに関しては脚本を手掛けた方(櫻井武晴さん)が
原作を踏まえて意図的に差し込んでいるんだだろうな、と思いました。

その上で草野マサムネさんは、とにかく生き物が好きな方なので
原作および映画に出てくる「イルカ」「サメ」「クジラ」に共通する「鰭」に着目するのは至って自然な流れであり、
その中でも生きていくために必要不可欠な「尾鰭」を指しているのであろうと私は考えています。

 

【4/22 追記】
黒鉄の魚影2回目を観ました。2回目も面白かった。
「美しい鰭」の考察が甘かったので、
どうして「鰭」なのか、どうして「鰭」が漢字表記なのかを追加考察しました。

鰭は英語で「fin」、ちなみにフランス語で「fin」は「終わり」という意味になります。
※フランス語に置き換える理由については、映画見ている方ならお分かりになるはず

映画の主題歌は必ず最後に流れるので
物語の締めくくりとして「鰭(fin≒終わり)」を指しているのかも(フカ読み)。

そんでもって、2回目を観たことで

映画の展開が部分的に「人魚姫」をモチーフにしているぽくを感じたので

人魚の尾鰭を指して名付けたのかもしれない。

漢字表記の部分については、
鰭を分解すると「魚」編に「老」と「日」という構成になるので
映画のキーとなる「老若認証」とかけているのかもしれないと個人的に考えています。


また、スピッツの歌詞の世界では
「傷」「汚れ」「過ち」「弱さ」「愚かさ」といった生きていく上で避けられなかった痕跡や失敗、その姿について
肯定してくれるような歌詞がとても多く
それを自覚して一歩前へ進もうとする不完全な弱い生き物たちの賛歌が沢山あります。

それゆえに、スピッツファンの私は、「傷」「汚れ」「過ち」「弱さ」「愚かさ」の肯定表現として
「美しい」という言葉を選択し
「美しい」+「鰭」という組み合わせが生まれたのではないかな、と勝手に解釈しています。

なお、草野マサムネさんは、歌詞の解釈を一切明かさない方なので
これが正解!ということではありません。
スピッツファンの私はこのように個人的に解釈し、すごくグッと来ているというだけです。

私の中では、ここまででも十分に「美しい鰭」の必然性を感じているのですが、まだ続きます。

ここから更に、シングル「美しい鰭」のジャケットデザインに当初感じていた違和感と
映画を観た後で発見した(と思っている)デザインの意図について
めちゃくちゃ独断的な考察を書かせていただきます。



私がこのシングル「美しい鰭」のCDジャケットデザインを見た時、

(なんだか、青くて大きな魚の鱗の上に楽曲の演奏で使っている楽器が並んでいるみたいだなー)

とすごくときめいたのですが、

(美しい鰭(ひれ)なのに、ジャケットは鱗(うろこ)なんだ)

とも思ったんですよね。

あと、過去の主題歌では、「名探偵コナン」の原作者である青山先生が
アーティストとコナンのイラストを手掛けたCDジャケットでリリースされていたりするので
そういうコラボはないのか・・・という点も。


※ここら辺はスピッツサイドの意向かも(同じ楽曲を形態違いで出すことの忌避感)と思ったり

以上のちょっとした違和感を個人的にかかえていたのですが、今回の映画を観て
その謎が解けたというか、、、そういうことか!と思いまして。

少し、原作と映画本編の話に戻るのですが、今回の映画の物語は
原作で登場する灰原哀ちゃん関連のエピソードだったり
彼女のキャラクターをベースにしたリンク部分がすごく多いんですよね。

その最たるものが、灰原哀ちゃんが大好きな「フサエブランド」です。

もしかしたら、ここでピーン!と来ている方もいらっしゃるかもなんですが、
映画の冒頭とエンドロール後のおまけ映像にも印象的に出てくる

「フサエブランド限定ブローチ」



コナンファンは当然知っていらっしゃるでしょうが、
「フサエブランド」は「イチョウ」の葉がモチーフの哀ちゃんお気に入りのブランドなんです。

そう、「イチョウ」の葉がモチーフなんですよ・・・

そのことを改めて思い出した時に思ったんですよね、

「イチョウ」の葉と「鰭(尾鰭)」って、形が似てません?

なんなら、ピクトグラムにするとデザインほぼ一緒なのでは・・・と。

そのうえで、

改めて「美しい鰭」のジャケットをよくよく見返したんですよ。

 



いやーーーーーー、見つけました。



そして気づきました。

魚の鱗じゃない・・・これは「鰭(尾鰭)」であり、

そしてきっと「イチョウ」の葉のデザインなんだって。

しれっとシングルCDジャケットデザインで、

ちゃんとコナンとコラボしてるじゃん!!!

というか、このジャケット考えたの誰!?
って思ったら、スピッツではお馴染みの木村豊さんでした。

木村豊さん、あなた絶対狙ってデザインしたでしょ。
コナンと灰原哀ちゃんにまつわるエピソードを把握した上でのデザインでしょ。

と私は昨日結論付けて大興奮してこのブログを書いているわけです。

ここまで書いておいてなんですが
ぶっちゃけなんの裏取りも出来ていないし、今後公式で
ジャケットデザインについて明かしてもらえるのかも分かりません。

しかし、とても偶然には思えない。

これを必然と呼ばずに、何を必然と呼ぶのだろう。

原作も映画も主題歌もジャケットデザインも全部がつながっていて、

こんな風にタイトルや歌詞に落とし込み、デザインの中に潜ませることができる
そんな天才たちに慄きつつ、どれも無駄がなく昇華されていることに驚くばかりです。

スピッツがもっと好きになってしまったし、
この先の名探偵コナンをしっかりと見届けるぞ。

という気持ちになってしまいました。

 

いやー、良い映画体験でした。

願うことならば、灰原哀ちゃんメインの映画主題歌を
スピッツにお願いすることになった経緯を知りたい。

ここに関しては、名探偵コナンの製作スタッフの方々
誰かうっかりでもいいから口を滑らしてほしい。

それだけで、あと90年は生きられる。