育休ってどれくらい取るのがよいの? | ジャカルタ駐在員ブログ! ~ここでも勝手にコラムニスト♪

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2012年2月、仕事の転勤で子連れ(1歳10か月)オンナ駐在員となる。インドネシアの生活、社会事情、教育環境、政治・経済、食などについて、独自の視点で情報発信。
*旧ブログ名:育休「明け」オンナの9か月 ~勝手にコラムニスト♪~

育児休業が、取れないよりは取れたほうが、選択肢が広がるという意味で、良いと思うが、ではどれくらい取るのがよいのか?

私自身もよくわからなかったし、今も良くわからない。そこで私の場合には、職場の「前例」の多いものに従う感じで、「約1年」仕事を離れる、という選択をしていた。

その後、海外で子育てしてる人や、美容院での口コミ情報などをもとに、いろいろ見えてきた産休・育休のさまざまなあり方が多少なりとも見えてきたので、ここに列挙してみる。

これから出産・育休を考えている女性たちの一つの参考になれば幸い!

0.産前休みなし、産後3週間で復帰。(日本じゃないです)

極端!と日本の方は思うだろう。が、アメリカではこれが割りと定型らしい。そもそも、産前休業という制度自体がない。しかし、その分、有給休暇を柔軟に取れたり、また職場の同僚が妊婦さんに有給を寄付するという制度があったりして、妊娠出産ということに限らず、一般的に「休みたい人が休みたいときに」、「制度」ではなく自分・上司・同僚という「個人」を頼って、休む、というのが慣例らしい。

女性の社会進出が進んでいるタイでは、計画分娩・帝王切開が大半であるため、こちらも出産前日まで働き、「明日出産(オペ)だから~♪」と職場を後にして、3週間後には、ベビーを田舎の実家に預けて、復職するという例が多いらしい。

ただし、友人が帝王切開出産をするまで、恥ずかしながら知らなかったのだが、帝王切開は基本的に「外科手術(メス!切ります!)」なので、産後の身体の負担が、自然分娩の場合と比べてつらい場合が多く、決して「帝王切開=楽なお産=仕事に早く復帰できる」ではないのだ、ということを書いておきたい。

1.産前6週間、産後8週間 (法定)の産休のみを取得、産後8週間で仕事に復帰。

産前の6週間は、妊婦からの求めに応じて職場が提供することになっている一方、産後8週間は、元妊婦を「働かせてはいけない」期間。なので、日本で雇われ人をしている場合、さらに最短では、「生まれる前日まで働いてました~」という時々いるツワモノの場合で、この8週間が最短の休業。ただし、自営やフリーランスなど、雇われ人でない場合は、この法定も関係ないので、自分の選択で、体力と相談しながらということになる。

留学中にお会いしたMBA留学中の日本人シングルマザーのOさんはこのパターンだったそう。日本の大手商社に勤めていたが、周りに育休をとった前例がほぼなく、自分としても「すぐ仕事に復帰します!」という意気込みを見せたく、仕事も楽しかったので、産後8週間ですぐに仕事に復帰。お会いした2008年当時で彼女は30代半ば、お子さんは5歳になっていた。

が、彼女の自分の選択についての後味はよいものではなかったらしい。「あせって復帰したことを後悔してるの。育児の時間て、そのときしか体験できない貴重なものだから、せめてあと数ヶ月か1年くらいは、思い切って子どもと向かい合ってもよかったな、って。前例がないことで、勇気が出なかったし、仕事が楽しかったけど、子どもはどんどん大きくなるから、その時間を満喫すればよかった。」「実は今、再婚相手を探していて、また子どもを産みたい。今度は時間をとって関わりたいな。」

2.産後8週間に加えて、育休を数ヶ月(1~6ヶ月)取る場合

日本の場合、何ヶ月育児休業を取るかは、保育園が4月入園が多い(公立・認可の場合)ため、赤ちゃんの誕生月によってほぼ決まるといっても過言ではないだろう。

(ただし、認証保育園のゼロ歳児だと、実は4月を過ぎても空きがあり、6月、7月、など不定期に入園可能という事実もある。日本では、「保育園に入れない」という報道ばかりがなされるため、もったいないことに、実はあまり知られていない。認証保育園もひとつひとつ電話をかけて、「今ゼロ歳児あきありますか?」と聞かないと、たとえばネット上のHPなどには空き情報を公開していないので、こうしたたいしたことないように思えるひと手間が、産後直後の母親には非常に大きな手間で、情報入手のハードルになってもいる。)

また、私のように、育休をいったいどれくらい取るのが自分や赤ちゃんや職場のために一番よいのか、まったく良くわからないという初産婦のためは、ある意味、盲目的に「4月」(もしくは半年というきりのいい数字で9月)というタイミングが用意されていることは、むしろありがたかったりもする。

知人で学校教師のMさんは、1人目は4月生まれだったので翌年4月まで1年弱の育休(というか実際は出産を機に退職、他の学校に転職したので、職場復帰というよりも、職業人という存在自体に復帰)を取ったが、今年生まれた2人目は8月生まれだったので、10月までが産休、その後5ヶ月程度の育休をもって、翌年4月に復帰予定だ。

2人目なので、育休をあまり長く取ると、「仕事をしていない自分」であることに息苦しく感じてしまう、という自分の性格も把握した上で、また赤ちゃんの育ち方もだいたいわかっている(ある意味、寝返り、はいはいなどを、大興奮せずに見守れるので、離れることがつらくない)ので、このくらいの期間での復帰をほどよく感じているという。

3.育休を1年前後取る場合

上記「2.」との類似で、赤ちゃんの誕生月が、4-6月ならおよそ1年の休業で、1歳未満で4月に保育園入園となる。年度の後半生まれの場合、たとえば11月生まれや2月生まれの場合には、直近の4月入園だと、それぞれ生後5ヶ月、生後3ヶ月で、もっと育児に関わりたいと思ったりする場合に、翌々年の4月まで休業する人がいたりする。「子が満1歳になるまで」というのが育休の最長期間と定められている会社も多いようなので、その場合このパターンは取れないことになる。もっとも、2-3月生まれの場合は、1-2ヶ月の延長で復帰できるわけなので、制度を柔軟に運用している職場もあるらしい。

4.育休を2年など長期取る場合

私が聞いた例では、小学校教師など、昔から女性が多く働いており、かつ仕事を続ける前例があり、また自分の子育て経験がそのまま仕事にもプラスになる職種で、あるようだ。ほかにも、ワークライフバランスの促進で有名な子ども教育関係の会社勤務の友人も1歳10ヶ月まで休んでいたという。ほかにも、たとえば保育士、看護士や幼稚園の先生(これも保育士?)なども、教師と同じく、子どもと接する子育て経験が直接的に生かせる上、仕事上のスキルも日進月歩というよりは対人コミュニケーションスキルが中核的になってくるので、可能性はありそうだ。(実態を良く知らないのだけど)

なかなか、他の職種では、いわるゆ「仕事の勘」が鈍る、人脈が途切れる、などの理由で、2年抜けることは躊躇する人が多いようだ。


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と、いろいろな例を見てきたが、どれが一番よい、という解はない。ただ、母親の体力、仕事の種類、職場の制度、子どもの生まれた月、母親が家庭好きか仕事好きか、一つのことに集中したいか複数同時に手がけるほうが生き生きするか、などの条件によって、ある程度、「このくらいがいいんじゃないか」というめぼしをつけることはできそうだ。

これまで、育休は制度ありきで、取る側に、どの程度取るのかという選択肢はあまり感じられていなかったように思うが、このようなパターンがあることが気づかれ、女性自身が積極的に自分にあったパターンはどれか、を選ぶことが増えてゆければ、良いと思う。それが、長い目で見た、女性の社会参加の継続にもつながるし、より生きやすい、働きやすい社会への変化につながってゆくと思うから。

PS 今回の比較では、パートナー(夫)の育休については触れなかったので、それについてはまた後日書いてみたい。妻の出産当日、直後、産褥期、子ども誕生後1年以内、といったパターンがありそうである。それぞれの時期によって、妻のニーズ、子どものニーズも異なってくるので、これもまたニーズおよび男性の性格にあった時期(世話が得意なのか、少し後の月齢になって外に連れ出して遊ぶなどの活動が得意なのか、など)に取れるようになってくると、ますますイクメンたちの活躍の場も広がりそうだ。