復員すると妻が浮気している。妻と喧嘩して出ていく。その後に妻が殺される。自分も疑われる。
製作:1946年、脚本:レイモンド・チャンドラー、監督:ジョージ・マーシャル
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
ジョニー・モリソン(アラン・ラッド) - 主人公
ヘレン・モリソン(ドス・ドウリング) - ジョニーの妻
エディ・ハーウッド(ハワード・ダ・シルヴァ) - ブルーダリアの経営者
ジョイス・ハーウッド(ヴェロニカ・レイク) - エディの妻
バズ・ワンチェク(ウィリアム・ベンディックス) - ジョニーの親友
ジョージ・コップランド(ヒュー・ボーモント) - ジョニーの親友
ニューエル(？) - キャヴェンディッシュコートの警備員
◆ 補足
キャヴェンディッシュコート。ヘレン＆ジョニーの自宅があるところ。(私が持っているDVDの)字幕では「ホテル」と表記されているがホテルではない。本映画のヘレン殺人事件事件の現場であり、これをホテルと誤解すると、事件の状況が分からない。実際に映画を見れば分かるが、解説だけを読むと誤解する。
キャヴェンディッシュコートは、複数の戸建て住宅が同一敷地に纏まっている構造。全体が塀に囲われている。フロントの建物があり、みんなここを通って出入りする。またフロントの建物には売店やバーなどもある。
グレナダタワー。エディ＆ジョイスの自宅があるところ。こちらはホテル風。一階にフロントがあり、そこを通って出入りする。
ブルーダリア。エディが経営するクラブ。
ダリアの花。クラブのブルーダリア(のオフィス)とヘレン＆ジョニーの自宅にはダリアの花が飾ってある。
バズの状況。バズは戦傷がもとで、大きな音や強い刺激を受けると、記憶や感情が乱される。今回はダリアの花を毟っているのを見て記憶が乱される。
エディとジョイスは別居状態。
■ あらすじ
◆ ヘレンとの再会
ジョニー、バズ、ジョージは海軍を除隊した。ジョニーは元の自宅(キャヴェンディッシュコート)に戻る。独身者のバズとエディは二人でアパートを借りる。
ジョニーが自宅に戻ったところ、バーティが開かれており、どちらかと言えばどんちゃん騒ぎ状態。妻のヘレンはエディと仲良くしている。ジョニーはエディを殴った。
みんなが出て行った後、二人は話すがヘレンは居直り・逆切れ状態。ヘレンは酒におぼれている。息子のディッキーの死亡原因はジフテリアと聞いていたが、実は飲酒運転事故であった。ジョニーとディッキーの写真があったのでバッグに入れた。
バズから電話がかかってきてジョニーと話す。ジョニーはバズの電話番号を聞いてメモした。注、そのメモは、そのまま置いてある。後でヘレンがそれを見て電話する。
ヘレンがまだくどくどしているので、ジョニーはバッグから拳銃を取り出して脅す。しかし「殺す価値もない」と言って拳銃をソファに投げおいてキャヴェンディッシュコートから出て行った。
◆ バズとヘレン
バズがジョニーに電話をかけるが不在でヘレンが出た。「喧嘩して出て行った」と聞き心配になったので、キャヴェンディッシュコートに出かけた。フロントで聞くとヘレンは不在。バーで待つことにした。
実はヘレンもバーに来ており、偶然バズと隣同士になった。二人で飲むことになりヘレンの自宅に行く。注、ここではジョニーの妻のヘレンであるとの認識はない。また自宅で一緒にいる場面は表示されない。
その後、ヘレンはエディに電話をして、こちらに来るように言う。エディはジョニーの存在があるので、いったん躊躇するがヘレンが「一晩に二人も失うなんて嫌」と言うので、またヘレンの元へ出かける。注、こちらも二人が会っている場面は表示されない。
◆ ジョニーとジョイス
ジョイスは車を運転していた。雨の中を歩いているジョニーを見つけて乗せてあげた。ジョイスは「行先はマリブ・ビーチ」と言うものの無関心に通り過ぎてしまい、当てもなく車を走らせているようである。
ジョイスが電話をするというので車を止めると、ジョニーは立ち去ろうとする。ジョイスは、まだ一緒にいたいような表情をするが、ジョニーは「誰でも君を知っている、探せないだけだ」と謎めいた言葉を残して立ち去る。
ジョニーがホテルのレストランで朝食を取っていると偶然ジョイスも近くの席にいた。ジョイスが気が付く。ジョイスがまた一緒にいたそうにするが、ジョニーは断る。しかし別れる前に二人で海岸を散歩することになる。
ジョイスは靴を替えに戻り、ジョニーはチェックアウトする。しかしジョニーはフロントでヘレン殺人事件を知り、さらに自分が疑われていると報道されているのを見た。ジョニーは、自分が来ていた海軍のコートを衣類を寄付するボックスに投げ込んで姿を消した。注、コートを持っていると疑われるので。
ジョイスは、コートを捨てて立ち去るジョニーを見て殺人事件との関連を認識した。
◆ エディとジョイス
ジョニーは、バズとジョージのアパートに電話するが不在。他の人間が応答する。実は二人は殺人事件のために聴取されており、電話に出たのは警官。
ジョニーはホテルに泊まろうとするが「満員」と断われる。それを見ていた怪しげな二人組に案内されて安ホテルに来る。そこで泊まることにするが、新聞記事とジョニーを見てホテルの主人は電話をかける。かける相手はエディ。
ジョイスはグレナダタワーにエディを訪ねて行った。エディはうれしそうだったが、ジョイスは冷静に「元気そうでよかった」と言うだけ。まだ自分の写真が飾ってあるのを見る。そしてフロントに出て行った。
そこでジョニーが訪ねてくるのを目撃。慌てて隠れる。エディとの関係を知られたくないからである。中二階でフロントを見ているとジョニーがエディを呼び出しているので、フロントに電話をかけて「危険よ。すぐにホテルを出て」と忠告する。
ジョニーがフロントを離れるとすぐに警察がエディを訪ねてくる。
ジョイスがホテルを出て、自分の車に戻るとジョニーがいた。ジョイスはすでにジョニーの事情を知っているが「私にも決着をつけたいことがある」と事情をほのめかす。注、ここでジョニーがエディとジョイスの関係に気が付かないのは変だが、なぜか気が付かない。
ジョイスは別れた後、エディに電話をかける。「気が変わったの」。この後またジョイスはエディのところに行く。
◆ 監禁事件
ジョニーは、安ホテルの主人が自分のバッグを調べているの発見し殴り倒す。そしてグレナダタワーに出かける。
そしてエディとジョイスが一緒にいるのを発見した。ジョニーはエディとジョイスの関係を知った。エディには分からないようにジョイスは(事情を話さなかったことを)謝った。そして「ここは危険」と言う。
続いてジョニーはバズとジョージを訪ねる。二人はジョニーを歓迎するが、「ヘレンを殺したのはジョニー」と思っている(とジョニーが感じた)ので、怒ってジョニーはアパートを飛び出す。
しかし道に出たところて、二人組にに拘束された。車に乗せられて運ばれていく。ある場所に連れ込まれて縛られたが、なんとかやっつけて手を縛られたまま脱出した。
外で縄をほどいていると誰かが来た。エディ。エディは中に入って手下二人が倒れているのを発見した。そこに縄を解いたジョニーが現れた。
二人が話していると、倒れていた手下の一人が息を吹き返して拳銃を構えた。ジョニーは素早く身を翻して手下に飛び掛かり拳銃を奪おうとした。手下は引き金を引いた。エディに命中して倒れた。
◆ ブルーダリア
エディとジョイスがブルーダリアで飲んでいると来客があった。エディがオフィスに行くとバズとジョージ。二人は「ジョニーがさらわれた」と言っていると、エディに電話がかかってくる。エディは出かける。注、この後で上に述べたようにエディは射殺される。
ジョイスがオフィスに入ってくる。ジョイスはバスとジョージをジョニーの知人であると認識する。ここでジョイスがダリアの花びらを毟り始めた。バズの感覚が刺激される。
刑事とニューエルが入ってきた。依然としてバズは混乱している。
そしてジョニーが入ってきた。注、本当はここでエディも入ってくるのがベスト。なんでそうしなかったのかは疑問。エディがいれば関係者・容疑者がすべてそろうことになる。
ここで決着がつけられる。残念ながら結末は省略する。失礼。
その後ジョニーとジョイスは車に乗って出発する。
■ 疑問点、補足、謎
ヘレン(＆ジョニー)の家にあったジョニーとディッキーの写真の裏に「ジョニーへ。私に何かあったら、エディを調べて。彼の本名はバウアー。殺人歴がある。ヘレン」とある。これはストーリー上は意味はないが、エディがどのような人物かを描くためだろう。
ヘレンの死体が発見されたときに、掃除係は、まずエディに電話する。これが非常に変。まあ、ヘレンとエディの関係を知っているからだろう。
最後の場面で、ジョニーがマッチ棒を手にもって、みんなの前でバズに「拳銃で撃って火をつけろ」という場面がある。意味不明。ここはバズが事件の時の記憶を思い出そうとしているところで、火がつくとジョニーは「ちゃんとできるじゃないか」というような顔をする。
最後の場面にエディを登場させない理由を推測すると、エディとジョイスは夫婦であり、最後にジョニーとジョイスが一緒になるというストーリーが実現しない(しにくくなる)ためと思われる。
ニューエルはなぜバズの住所が分かったのか？ジョニーが訪ねてきたときに、バズから電話がかかってきて、電話番号を聞いてメモしている。これだけでは住所はわからないが、その電話にかけて住所を聞いたのだろう。
警察はバズがヘレンと会ったことをなぜ知ったのか？1.ニューエルに聞いたか、2.メモにあった電話番号から調べた。おそらく後者。ニューエルへの聴取はバズと同じタイミングなので。
ニューエルはエディとバズ＋ジョージから金をせしめる。エディに対しては脅しであるが、バズ＋ジョージに対しては脅しではない。「ジョニーがグレナダタワーにいた」という情報提供をする見返り。金をもらった後に「バズをキャヴェンディッシュコートで見た」と言う。
