The Lady Vanishes

バルカンから西に向かう特急列車。その中で教師の女性ミス・フロイがいなくなった。
アイリスはミス・フロイの行方を探すが、みんなはミス・フロイの存在自体を否定し、アイリスの頭を疑う。
ミス・フロイを発見し、無事に救い出すが、その後、列車は別の路線に誘導されて襲撃される。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1938、監督:Alfred Hitchcock、脚本:Sidney Gilliat、Frank Launder、原作:The Wheel Spins(1936、Ethel Lina White)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

アイリス・ヘンダーソン(マーガレット・ロックウッド)
ミス・フロイ(メイ・ウィッティ) 音楽の家庭教師
ギルバート・レッドマン(マイケル・レッドグレイヴ) 民族音楽の研究者
チャーターズ(Basil Radford) クリケット愛好家
カルディコット(Naunton Wayne) クリケット愛好家
エリック・トッドハンター(Cecil Parker) 弁護士
トッドハンター夫人(Linden Travers) 偽妻
エゴン・ハーツ医師(Paul Lukas) 脳外科医
クマー夫人(Josephine Wilson)
シニョール・ドッポ(フィリップ・リーヴァー) マジシャン
イタリア人(フィリップ・リーヴァー)

◆ 補足

本作はいろいろと詰め込まれており、そのまま紹介しても分からないので、ばっさりと圧縮して紹介する。

機関車は蒸気機関車。単線路線部分と複線路線部分があるがストーリーには無関係。

他路線と合流するところと、路線が分岐するところが一か所ずつある。ストーリーに関係するのは分岐するところ。

客室はコンパートメント形式になっているが、無関係の客同士の相席である。食堂車、荷物車、燃料車が連結されている。燃料車はストーリーに無関係。

私が本作を見たのはマーガレット・ロックウッド出演だから。アイリス(マーガレット)がアクションでわりと活躍する。ナイフを持っている手に噛みついてナイフを落とす。棒で敵の頭を殴るなど。

マーガレットが22歳の時の作品で、後年の彼女のイメージとはかなり異なる。

「バルカン半島」は「Balkan Peninsula」らしいが、神話にでてくるのは「Vulcan」らしい。どうもおかしいな。この記事では「バルカン」にしておくが、特にこだわりはない。地名ととらえれば「バルカン」が良さそう。
 


■ あらすじ

◆ 概要

舞台はバルカンの(架空の)小国バンドリカ(Bandrika)。ここから西に向かう列車が発車する。雪崩で止まっていたが、やっと発車となる。

乗客はアイリス・ヘンダーソン、ギルバート・レッドマン、ミス・フロイなど。この三人はイギリス人。他に10人くらい。

アイリスは結婚が決まった女性だが結婚前に旅行している。ギルバートは民族音楽研究者。ミス・フロイは家庭教師。

本作はスパイ映画。バンドリカの機密情報をイギリスに持って帰る。

スパイは実はミス・フロイ。スパイであることは、かなり後の方で判明する。

バンドリカ当局は機密情報を持ち出すことを阻止しようとする。

◆ ミス・フロイ失踪事件

出発前にミス・フロイを狙ったと思われる落下物がアイリスの頭に当たる。他にホテルにいたギタリストが殺害される。

アイリスは一応無事で、コンパートメントに入る。食堂車に行ってミス・フロイと話した後、落下物事件のせいか、自席で眠り込む。

アイリスが目を覚ますとミス・フロイがいない。気づいたアイリスが騒ぎ出す。だが、みんなはミス・フロイがいたことを認めない。アイリスがおかしいと言われる。

アイリスとギルバートはミス・フロイを探して回る。

停車駅で全身包帯の患者が運び込まれる。エゴン・ハーツ医師の患者。

ミス・フロイが食堂車の窓に指で書いた彼女の名前を発見する。注、アイリスがフロイのスペルが分からなかったため。

荷物室に行くと同乗のマジシャンの道具にミス・フロイのメガネが紛れ込んでいた。ギルバートとアイリスはマジシャンと格闘する。

このことからアイリスは自分が正常であることを確認する。

包帯の患者に付き添っているシスターの動きが怪しい。この時点でマジシャンやハーツ医師はバンドリカ側の人間であることが分かる。

患者は途中で入れ替えられていて、ミス・フロイが拘束されていた。

◆ バンドリカ部隊との攻防

西方へ行く路線と山中に向かう路線の分岐がある。その分岐の前で列車は途中から切り離されて、先頭部分(機関車、燃料車、食堂車と客車がいくつか)は山中に向かった。アイリスなどは先頭部分に乗っている。

間違った路線に来たことを乗客が気づき列車は森の中で停止する。

そこにバンドリカの治安当局部隊が現れて、列車の中と銃撃戦になる。

ミス・フロイは自分がスパイであることを明らかにして、列車を下りて、部隊とは反対側に下りて走りさる。うまく逃亡できたのかは不明。

銃撃戦をなんとか凌いた。ギルバートは機関車に行って、運転士を脅して、元来た方向に戻させる。

列車は本来の路線に戻って、線路を切り替え西方に走って行く。

◆ ロンドンで再会

ロンドンで二人はミス・フロイに再会した。

アイリスは待っていた婚約者と別れてギルバートとハッピーエンドとなった。
 


■ 出演作

マーガレット・ロックウッド
(1938)バルカン超特急/The Lady Vanishes
(1940)ミュンヘンへの夜行列車/Night Train to Munich
(1945)欲望の女/The Wicked Lady
(1954)笑うアン:嵐に叛く女/Laughing Anne
(1947)狂乱の狼火:ハングリー・ヒル/Hungry Hill
(1939)女の生存競争/A Girl Must Live