■ 製品ミックス/製品ライン/製品アイテム
製品ミックスとは、企業が生産・提供する製品体系の全体。製品ミックスの決定は、企業全体の経営方針から行われるべきもので狭義のマーケティングの範疇ではない。
製品ミックスは複数の製品ラインから構成される。製品ラインは流通業で言う品種に相当する。例を出せばハミガキは一つのラインであり、洗濯機はラインである。
マーケティングの書籍では、より広い範囲、流通業で言うカテゴリをラインと暗黙のうちにみなしているものもあるが、かなりの大企業であっても複数カテゴリの製品を供給している企業は稀であり、多くの企業は一つのカテゴリの製品のみを供給している。したがってミックス・ライン・アイテムという体系を考えたとき、ラインは品種と捉えるのが妥当である。
アイテムはライン内の個々の製品である。多くの企業はラインの中に位置づけの異なる複数のアイテムを持っている。
通常、企業が供給する製品ラインは、ある程度の期間固定的に決まっており、マーケティングにおいてミックスを決定するとは、どのような位置づけのアイテムを出すかということと同一である。
アイテムを決定するには、次のような要素を考慮する必要がある。企業のイメージ、ライン構成との一貫性、セグメンテーション・ターゲットにマッチしたアイテムの企画、ライン内のアイテム数、個々のアイテムのライン内の位置づけとバランス。
製品アイテム、すなわち個々の製品の構成に、上位から下位にどのようなバリエーションを提供するのか、こちらも重要。高級志向か、大衆志向か、すべてをカバーするのか、それとも特定のセグメントを狙うのか。どの程度の密度でバリエーションを用意するのか、その構成は分かりやすく説明できるのか、消費者に受け入れられるのか。自社製品同士の競合はないのか?、収益性はどうか。また更には生産コスト、納期、流通コストからの検討も必要だ。検討することが山ほどもあり、それらのバランスが考慮されなければならない。しかしその検討において重要なのは、消費者に対するアピール力だろう。
当然ながら、ラインやアイテムの構成は、一貫性を維持することが常に必要であり、新製品を出すときには、一斉に切り替えたいのだが、複雑な構成では負担となる。技術革新の大きい製品は、体系の維持が、さらに困難。「下位機種」が「上位機種」の性能を上回ると言うような事態も想定される。
今回の画像はマラ・パワーズの「(1953)海底の大金塊:地震で沈んだ都市/CITY BENEATH THE SEA」。