EDLPは、マーチャンダイジングの書籍には、「小売業者が主張する低価格ではなく、消費者が認める低価格を、しかるべき割合の商品について、毎日継続的に実現すること」といったような説明がなされている。EDLPは、次のような課題を通して実現する。

    * 本部コストの低減
    * 低コスト業態の開発・実現
    * ローコストオペレーション
    * 低価格かつ安定した仕入先の開拓
    * 仕入先との共同商品開発
    * グローバルな商品調達

しかし、このようなEDLPの説明は、私にとって満足のいくものではなかった。意味不明である。

ではEDLPとは何か。

ご存知のように、EDLPはウォルマートのキャッチフレーズである。

企業は自らの方針・戦略を「お客様の言葉」で表現する。役所などは例えば「振り替え納税を推進しよう」などと自分の言葉で語ることが多いが、企業はお客様の言葉で表現する習慣がある。

EDLPもこのように考えると、どのようなことが分かるか。EDLPとして表現されたウォルマートの方針・戦略は何か。

EDLPとは、ずばり「特売をしない」ということだ。

この視点からEDLPの意味を考えてみよう。

まず「特売が効果があるのか」ということだ。特売を定期的に続けていると消費者は特売慣れしてしまう。インパクトがなくなってしまう。また「特売の日だけ、なぜ安いのか、普段の価格のほうが高いのではないか」などと勘ぐられかねない。私の近所のスーパーのみを観察しての結果だが、最近は「朝市」と称して、月に一度か二度早めに開店して特売を行っているだけのようだ。以前は、特売のコーナーがあってほとんど毎日特売を行っていたように記憶している。

次に「特売は、小売業者に大きな負担を強いる」という事情がある。以下、その理由を列挙する。

    * 利益の圧迫
    * 特売計画の作成
    * 価格、対象商品、期間などの卸業者との交渉(注、特売は、卸業者にも協力してもらうため)
    * 宣伝
    * 売り場の設定、商品の陳列
    * 売り場、レジでの対応

前述のように、特売の効果は疑問だ。そして、このような負担がある。それならば「毎日同じ価格で、できるだ低価格にした方が、消費者にも喜ばれるし、小売業者のためにもよいのではないか」という発想である。これがEDLP。

特売を行わない、すなわちEDLPを行うことにより、 売上の山や谷をなくし在庫管理や商品供給の問題点を減らすことができる。これも非常に大きい。