スーパーは夜の九時や十時まで営業するようになった。終夜営業も多い。しかし個人商店は相変わらず、七時ころには閉店しているところが多い。

店舗にとって営業時間をどうするかということは重要な経営方針のはずである。生活パターンが多様化しているので、それに合わせることは有効だ。利用者からすると営業時間は長いほうがよい。しかし営業時間を長くすることは、店舗にとってコストアップとなる。逆に可能性としては、顧客のターゲットが明確ならば、営業時間を短くすることも考えられる。

営業時間を調整する(主に言えば長くする)理由は、次のようなことが考えられる。

営業時間を長くして売上を上げる。
ターゲットの顧客の生活パターンに合わせる。
ターゲットの顧客を変える、あるいは増やす。

営業時間を調整する方法としては、以下のようなパターンが考えられる。注、他にあれば教えていただきたい。

1.後に延ばして営業時間を長くする。
2.後にずらす。営業時間はできるだけ長くしない。
3.前にずらす。営業時間はできるだけ長くしない。
4.営業開始または終了をずらすが、間に休む。営業時間はできるだけ長くしない。
5.開店はしないが、時間外に一部のサービスのみ提供する。

1.はよく行われている方法である。売上が上がり利益も上がるならば、これでよいが、営業時間が伸びたコストを吸収して上回ることができるかが問題。以前午前一時まで営業している書店があった。午前零時を過ぎても十分な数の顧客が入っていたように思う(というか昼間より混み合っていたと思う)。開店時間は午前十時だった。注、この書店は廃業し後は銀行となった。廃業の理由は知らない。

2.昔に比較して生活が夜型に移行して来た。特に若年者。扱っている商品によっては効果があるだろう。再び書店だが、12時に開店して24時まで営業している古書店がある。書店ならばありうる選択肢のように考える。

3.前にずらすのは、喫茶店によくみられる。魅力のあるモーニングサービスを提供し新聞でも一揃え置いておくと客は十分に来るようだ。営業時間はかなり長くなっているのが通例。

4.間に休むのは飲食店や医院でみられる。売上が減らなければ名時間を短くしても問題はない。ただ間に休んだからといってコストはあまり変わらないように思う。体を休めるためには有効かもしれない。

5.通勤客を顧客にする場合は有効。自治体の窓口に一部見られる。当地のクリーニング店では、ロッカーを利用して洗濯物を受け渡すサービスを行っていた。サービスの名称が「通勤快速」。今は止めている。止めた理由を知りたいところである。

ついでながら曜日によって営業時間が異なっている場合がある。たとえば医院など。これは顧客が混乱するように思う。行うならばきちんと周知する必要がある。住宅街、ビジネス街など立地の性格がはっきりしていれば検討する価値があるだろう。

営業時間を変えているのは、主に最寄品の店だろうが、買回り品、専門品の店でも検討する価値があると考える。

店舗の規模と営業時間。営業時間が長くなればコストアップとなる。大型店の場合はコストもよりアップするが、もともとローテーションの体制ができているので、コストのアップ率は低いように思う。小型店の場合は、長時間営業する体制を整えるのが大変である。たとえば家族だけで営業していたものをバイトが必要になるなど。しかし管理体制ができていないので、バイトに任せるにもマニュアルの作成や教育が必要になる。一般論だが小型店の方がコストのアップ率は高いと思われる。

競合店に対する考慮。最寄品では競合店の動向も考慮して決定する必要がある。そしてたとえば時点が営業時間を変えたとすると、競合店も、それを見て戦略を変更してくるかもしれない。状況はより複雑になる。

以下蛇足。「本日、定休日」と札を下げるのは止めて欲しい。この札は、前日の閉店時にかけられて定休日を過ぎて、定休日の次の日の開店時に下げられる。前日や次の日も定休日と誤解される。