目次はこちらTOC(制約理論)は革新的なのか?

 


本稿は「TOC(制約理論)入門」をTOC(制約理論)の標準の書籍として参照しているが、スケジューリングについては、「革新的生産スケジューリング入門」も参照していただきたい。理解が深まることは保証する。

さて本稿ではボトルネック工程と制約条件工程(Capacity Constrainted Resource/CCR)を区別しないで「ボトルネック(工程)」という用語を使用してきた。が、次に説明する区別を前提にして説明しているのだということを理解していただきたい。

一つの製品を生産するラインを見れば、それぞれの工程での効率があり、最も効率が悪い工程がボトルネックである。一方工場全体では、多くの製品を生産しており、それぞれ上記の意味でのボトルネックがある。この時工場全体すなわち生産している製品全体を見渡した時のボトルネックはどこであろうか。

結論から言えば、状況によって異なる。例えばA製品が多く流れている場合は、A製品のボトルネックが全体のボトルネックとなるかもしれない。A製品とB製品が同じくらい流れていて、それぞれボトルネックが異なっているが、両製品が共通の工程を一つ持っていて、どちらのボトルネックでもない、その共通の工程が全体のボトルネックであるかもしれない。

簡単に見たように全体のボトルネックは「個々の製品の静的なボトルネックではなく、生産している製品全体の動的な状況によって決定される」ということが分かる。この意味での全体のボトルネックをCCRと言う。

注。じつはこの定義は「革新的生産スケジューリング入門」(226p)に拠ったものだ。(説明は変えてある)。「TOC(制約理論)入門」には「TOC(制約理論)ではボトルネックとは現在の需要を満たすには生産能力が足りない工程を指し、全工程がボトルネックである可能性もあります。これにたいして制約条件は、それが物理的な制約条件である場合、CCRと呼ばれ、注意深く管理しないと工場全体の生産計画に悪影響を与える工程や設備を指します」(27p)。前半のボトルネックの説明が若干曖昧だが、CCRについては同じように解釈できる。

注、この部分についての展開は要領を得ていない。著者はTOC(制約理論)のスケジューリングについて理解しているのだろうかという疑問が起こる。