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腸から健康を考えるアテリオ・バイオ社長のブログ

健康の要は腸内フローラ。自身の体験をもとに、おなかから健康問題に取り組む活動をお伝えします。

アスリートに必要な条件は、状況に左右されずに、安定して力を発揮できる準備です。
そのためには、
①柔軟な筋肉
②エネルギーの供給と排出
③精神面の安定
が必要です。

筋肉を鍛えるために、プロテインやアミノ酸を大量に摂ったりしていませんか。
朝食代わりに、牛乳にプロテインを入れて飲むとか、さらにヨーグルトで腹持ちさせるとか、やっている人いるんじゃないですか。

タンパク質や脂質(乳製品にはけっこう脂質が入っています)ばかりを摂っていると、腸内フローラが悪玉菌優勢になってしまいます。
つまり大腸、特に大腸の奥ではいわゆる腐敗状態になってしまうのです。
肉ばかり食べても同じことが起こりますので、糖質オフダイエットは危険です。

3年間、ブタで実験をしてみました。高脂肪高タンパク飼料を与えて育てると、脂肪に臭みがついて、赤身(筋肉)が固くなりました。
この飼料に、さらにある乳酸菌を加えて育てると、脂肪から臭みが消えて、柔らかい赤身になったのです。
それは高級ブランド豚を超えるやわらかさでした※1
※1 具体的には、破断応力が84,000から34,900(gw/cm2)に改善された。(2012年日本認証サービス(株))

高脂肪高タンパクの飼料では、腸内が腐敗状態になります。
腸内でできた腐敗物質が血流にのって全身に回ったために、臭みがついたと考えられます。
腐敗物質には硫化水素やインドールなど、非常に臭い物質があります。つまり豚の獣臭さはウンチの臭いなのです。

乳酸菌を与えて腸内発酵を促進すると、筋肉が柔らかくなる理由としては、次の2つが考えられます。
①腸内が腐敗状態だと、大腸のバリア機能が低下して異物が体内に侵入して炎症を起こします。腸内発酵で酪酸ができると大腸のバリア機能が向上して、体内への侵入を阻止します。
②腸内発酵で酢酸ができると、血流が増して、疲労物質である乳酸の排出が進みます。酢酸は筋肉のエネルギーとして利用されます。

当社の社員がよくいく整体の先生が、この乳酸菌を飲んでいる人はみんな筋肉の質がいいと言っていました。筋肉の質というのは「筋肉に張りがある」という表現を使っていました。ほかの人とは全然違うそうです。

私は、以前は腰痛持ちで、半年に1回はランニング中にひざや足首の関節を痛めていましたが、最近は腰痛もひざ痛も起こりません。
これも腸内発酵のおかげではないかと思っています。

腸内発酵は、筋肉へのエネルギー供給と排出をスムーズにして、よい状態を保つことができると考えられます。

アスリートにとって、腸内発酵が重要なのはセロトニンの生成についてです。
セロトニンは脳内の神経伝達物質で、精神面の安定に貢献することから「幸せホルモン」といわれています。
不足するとうつ病にもつながる重要なホルモンの一つです。
体内のセロトニンの90%は腸管粘膜にあり、脳内には2%しかありません。
腸管にあるセロトニンが脳に行くわけではありませんが、セロトニンを合成するビタミンは腸内細菌がつくっています。

さらには腸と脳は双方向的なネットワークで結ばれており(脳腸相関といいます)、相互に影響し合っています。
メンタルヘルスのカギは腸内フローラにあるかもしれないのです。

腸内フローラ対策はこれからのトレンドになりそうです。

腸内フローラの研究が進むにつれて、腸内発酵や炭水化物の重要性が見直されています。

江戸時代の飛脚は、江戸~大坂間550kmを4人のリレー方式で、4日で走り抜いたといいます。このようなパワーはどこから来るのでしょうか。

腸内フローラは、大雑把に善玉菌と悪玉菌に分けられます。一般的には、いい菌と悪い菌がいるというように思われていますが、実際には善と悪の両方の顔を持った菌が圧倒的に多いのです。

善玉菌としての役割は、炭水化物を分解して、乳酸などの酸をつくるのが第一段階。ここで活躍するのが乳酸菌やビフィズス菌です。腸内を酸性に保って病原菌から守り、腐敗を起こさないようにします。しかしこの段階が続くと酸性になりすぎて下痢になってしまいます。

次に乳酸を使って、短鎖脂肪酸をつくる段階。乳酸を利用することで適度な水分になり、ヒトが利用できる栄養に変換します。

短鎖脂肪酸というのは、善玉菌がつくる体に良い物質で、具体的には酢酸、酪酸、プロピオン酸などをいいます。酪酸は腸の栄養となって、腸の蠕動運動や腸壁の細胞をつくるのに使われます。酪酸不足になると腸壁がスカスカになって、いろいろな物質が体内に流れ込んでアレルギーなど様々なトラブルを引き起こします。

酢酸とプロピオン酸は、大腸から吸収されて肝臓や筋肉で使われます。ヒトのエネルギー消費の2~10%が短鎖脂肪酸でまかなわれているといわれています。また酢酸には血管拡張作用があり※1、疲労物質である乳酸が速やかに排出される効果もあるそうです。

※1http://www.mizkan.co.jp/company/newsrelease/2005news/050114-00.html

短鎖脂肪酸をつくる原料は食物繊維ですが、米などの穀物や芋類には、大腸まで届く難消化性成分が含まれています。レジスタントスターチがそれで、米でいえばアミロースや米タンパクですが、残念ながら最近のおいしい米では、減らされてしまっています。

江戸時代の飛脚は、レジスタントスターチたっぷりの米のにぎりめしをほお張りながら、走ったのではないでしょうか。

腸内発酵は燃料であるレジスタントスターチが続く限り、短鎖脂肪酸を供給し続けますので、長距離走のエネルギー供給には向いています。

腸内フローラは変えることができます。あなたが食べているもの、
それが腸内フローラを決めているのです。
自分の中の他人。思い通りにならない「おなかの主は、何かを私たちに伝えたいのかもしれません。

善玉菌と悪玉菌。そのバランスが良いと腸は元気になり、病気の予防にもなります。
しかしバランスが崩れると、便通が悪くなるだけでなく、肥満や糖尿病、ガン、腸疾患、肌荒れやアレルギー、うつなど様々なトラブルを引き起こします。

また腸内フローラは自分の中の気難しい召使のようなもの。
いつもはきちんと仕事をしてくれますが、食事が気にくわないととたんに悪さをしてしまいます。
上手に働かせることができるかはあなたしだいです。

最新の研究がNHKスペシャルなどで報道されるなど、腸内フローラはいま最も注目されている分野です。

善玉菌と悪玉菌の勢力は、猫の目のようにくるくる変わります。
しかもそれはあなたが何を食べるかによります。
この「おなかの主」が思い通りにならない場合は、あなたが食べているものが気に入らないのです。

腸内フローラが良いか悪いか、決めているのはあなたです。


アテリオ・バイオ