食物繊維は大腸に届いて腸内細菌によって分解されてガスを発生します。しかし穏やかな発酵だとそれらは腸に吸収されます。
そのときに腸内細菌は酢酸や酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸をつくります。このような腸内細菌は善玉菌です。短鎖脂肪酸は腸に吸収されて利用されます。特に酪酸は蠕動運動のエネルギーや腸壁細胞の形成に使われます。
ガス発生の原因になるという理由で、食物繊維や糖質の摂取を制限する医師もいますが、それはむしろ逆効果です。
糖質を制限することは高脂肪高タンパク食になり、腸内の酸性度(pH)が上昇して、悪玉菌が優勢になります。そうすると先ほどの短鎖脂肪酸がつくられずに、逆に硫化水素やインドールなどの腐敗物質がつくられます。くさいオナラは腐敗物質の臭いです。
これがいわゆる腸内フローラのバランスが崩れた状態です。こうなると腸壁細胞が萎縮したり、腸壁のぬい合わせが緩んで腸内の腐敗物質や未消化物質が体内に侵入するようになり、免疫系に異常をきたすことがわかっています。
ジュリア(「おしゃべりな腸」の著者)もオナラと免疫異常のことを書いています。
遺伝性のグルテン過敏症をセリアック病といい100人に1人いるそうです。単にグルテンに過敏な人やグルテン不耐症の人はもっと多いはずです。
パンなどの小麦製品を1週間から2週間やめるだけで、おなかの調子がよくなったり、ガスが減ったり、頭痛や関節痛が和らいだりする場合はこの可能性があります。
このような不耐症や過敏症の問題が多く発生するのは、牛乳などの乳製品や果物に含まれる果糖などがあります。
その詳しいメカニズムについては残念ながらまだよくわかっていませんが、おそらくこれらの不耐症や過敏症の場合には、問題の物質を早く排出させようと小腸では消化せずに大腸に送り込む結果、大腸で一気に腸内細菌が発酵して、湧き出るようなガスの発生が起こっているのではないかと考えられます。
いずれにせよオナラを改善するには腸内フローラのバランスを改善する必要があります。
腸内フローラを改善するために、オリゴ糖や食物繊維などを摂取することは有効ですが、摂り方によってはここでまたガスが発生します。その原因はやはり同じ理由で、急激に発酵が始まるからです。
特に普段食べなれていない食物繊維などを摂り始めるとガスが発生しやすいのです。その場合は、数日から1週間程度で腸内フローラが慣れて、ガスを発生しなくなる場合が多いので、途中でめげずに頑張ることが大切です。
オリゴ糖の場合は1日摂取量が数~十数グラム必要ですので、ガスを発生しやすいのが難点です。その点、ライラック乳酸菌は腸内発酵が弱くなる遠位大腸で発酵するように設定してありますので、ガスを発生しにくいのが特徴です。