「や、踊るってもさ、いろいろあるじゃん」
「えぇと、まぁ、いろいろあるんですけど」
「うん」
「たかみなさん、ぜったい私みて、びっくりするんですよ。で、ほかにだれかを探してる感じで、目が……どっかに飛ぶ……」
「目が泳ぐってこと?」
「オヨグ……のかも」
「うん、で?」
「たぶん、前田さんを、探してるんだろうなあって、おもってですねえ」
はーっと音をつけて、遥香はその小さな肩を落とした。「私、ぜんぜん、だめだなあっておもって」
同じことを別のだれかからも聞いた気がする。
友美自身、以前に同様の悩みを抱えていたことがある。
(もう、あれから結構経つんだ)
メンバーの卒業とそれにともなうパート変更。そのときにくらべれば、今はまだ露骨には表に出ていない。そのとき、目のまえでうなだれている後輩と同じように、もしくはそれ以上に落ち込んだことが友美にはあった。
当時はまだ、同じグループではあってもどこかでオリジナルメンバーと各期の溝が埋まりきらずにいた。その心細さともどかしさは、多分、今の遥香たちの比ではない。
けれど同じ経験を経ているだけに、友美にはこの後輩が無性にいじらしく思えた。
「考えすぎだよ。ぱるるのこと、たかみな褒めてたし。ああ見えて、けっこう、なぁーんも考えてないとこあるから」
最後は蛇足かもしれないと苦笑しつつ、具体的にみなみの言葉を伝えると、とたんしぼんだ風船がふくらむように遥香は喜々として顔をあげた。そこでマネージャーが休憩の終わりを告げて、彼女は呼ばれるまま同期のもとへと走っていく。
みなみは、と視線をさまよわせると、鏡台のまえで読んでいた本を閉じている。栞をはさみ忘れたのかあわててページを探っているあたり、いつもの慌て者ぶりは健在のようで、とくに気になる様子はみられない。
「ほら、たかみな、いくよ」
声をかけながら、ふと思った。
たまには会わせてみるのも、いい薬かもしれない。
「えぇと、まぁ、いろいろあるんですけど」
「うん」
「たかみなさん、ぜったい私みて、びっくりするんですよ。で、ほかにだれかを探してる感じで、目が……どっかに飛ぶ……」
「目が泳ぐってこと?」
「オヨグ……のかも」
「うん、で?」
「たぶん、前田さんを、探してるんだろうなあって、おもってですねえ」
はーっと音をつけて、遥香はその小さな肩を落とした。「私、ぜんぜん、だめだなあっておもって」
同じことを別のだれかからも聞いた気がする。
友美自身、以前に同様の悩みを抱えていたことがある。
(もう、あれから結構経つんだ)
メンバーの卒業とそれにともなうパート変更。そのときにくらべれば、今はまだ露骨には表に出ていない。そのとき、目のまえでうなだれている後輩と同じように、もしくはそれ以上に落ち込んだことが友美にはあった。
当時はまだ、同じグループではあってもどこかでオリジナルメンバーと各期の溝が埋まりきらずにいた。その心細さともどかしさは、多分、今の遥香たちの比ではない。
けれど同じ経験を経ているだけに、友美にはこの後輩が無性にいじらしく思えた。
「考えすぎだよ。ぱるるのこと、たかみな褒めてたし。ああ見えて、けっこう、なぁーんも考えてないとこあるから」
最後は蛇足かもしれないと苦笑しつつ、具体的にみなみの言葉を伝えると、とたんしぼんだ風船がふくらむように遥香は喜々として顔をあげた。そこでマネージャーが休憩の終わりを告げて、彼女は呼ばれるまま同期のもとへと走っていく。
みなみは、と視線をさまよわせると、鏡台のまえで読んでいた本を閉じている。栞をはさみ忘れたのかあわててページを探っているあたり、いつもの慌て者ぶりは健在のようで、とくに気になる様子はみられない。
「ほら、たかみな、いくよ」
声をかけながら、ふと思った。
たまには会わせてみるのも、いい薬かもしれない。