暫く振りのブログで緊張しています。

気が付けばこのブログも放置して数年経っているんですね(^_^;)
初めてから10年ほど経ってますが、自分から消さない限り消えないブログが未だにネットの海をさまよっているのは結構恐ろしいものです。

久しぶりにログインしたので思い切って削除しようかと思ったのですが、折角なのでこれからちょいちょい日記的な感覚でまた始めようかと思います。

小説の方はどうするかまだ決めてませんが、需要があるのでしたらそれもスローペースで書いていこうかと。

というわけで、今日はこれくらいで。



また更新します。
注目を集めた玄関には、小柄な女性が立っていた。傍らには、かりんの物とは形が異なる銃。そこにいる全員が固唾を飲んだのが分かった。
「こんなとこを隠れ家にしてたら、見つけてくださいって言ってるようなもんだ」

靴も脱がずにずかずかと入ってくる女に、誰もが注目した。

「昼間っから電気は点いてるし、話し声だって外に漏れてる」

女は一番手前に居た七瀬を一瞥してから、順番に全員を見回した。テーブル手前のスープのスプーンを手に取ると、おもむろに口に運んでから「お、美味い」と、その時だけ表情が柔らかくなる。

「もし私が殺し目的だったとしたらどうすんの? あ、これおかわりある?」
「え? あ、はい」

空になったスープ皿を七瀬に差し出して、口を拭った。そのまま椅子に腰を下ろすと、床にバッグを放り投げる。

「にしても……、六人か。他に誰か居ないよね? 居るわけないか、食事中だもんな」

新しくテーブルに置かれたスープを口にすると、女はそのまま全部を飲み干した。
その姿を、ただただ見つめる全員の瞳には、同じ疑問が浮かんでいた。

ーーこの人は、一体なにしに来たのだろう?


「……くはぁっ。美味かったよ、ごちそうさん」

全てのスープを飲み干した女が、コップの水もこれまた飲み干してから、再び立ち上がった。

「さて、ここに居たら見つかっちゃうって分かったろ? 行こうか?」
「え……?」

戸惑いを最初に口にしたのは、かりんだった。この女(ひと)は何をしたいのだろうか。そんな疑問だけが浮上する。
手にしている銃は無駄に大きかったが、不思議と恐いとは思わなかった。

「やるんなら相手するけど、あんたらそのタイプじょないよね? 現実逃避してまで楽しそうにしてんだし」

全てを見透かされてる気がしたが、かりんは、初めて同じ意見を口にする人に出会えたことに嬉しく思った。

「嫌です」

先口を切ったのは深川だった。その目はいつもの優しさはなく、鋭く険しく真剣な面待ちで女を見ていた。

「逃げるってことは、メンバーを信じていない証拠じゃないですか。貴女から逃げるんなら、まだ分かりますけど、メンバーから逃げるだなんて出来ません」

その言葉に清羅と七瀬も頷いた。女は呆れた表情でかりんを見る。

「重症だね、こりゃ……」

床に投げたバッグを拾い上げ、軽く首を傾げた女が「来たい人だけ来れば?」と言葉を投げた。

その中で、かりんが意を決して口を開こうとした時、その横から日芽香が「あたし、行きます」と口を開いた。

その言葉に一番驚いたのは、かりんであり、日芽香の横顔を三倍くらいに開いた瞳で見つめた。

「ううん、行かせてください。 大島優子さん」

溌剌とした声に、優子は、にっと微笑んでから、「ああ、来いよ」と笑った。













「あ、きたきた。二人とも遅いよ」 

テーブルを離れて、歩み寄ってきたのは西野七瀬だ。かりんの背中を押して、テーブルに着かせてくれる。

この家屋の大体の構図は、キッチン兼リビングのキッチン側の扉を開けると、玄関までの廊下となっている。その廊下のすぐとなりに二階へと続く階段があり、廊下を玄関のほうへ少し進むと、右側にバス・トイレ、反対側に小さめの寝室がある。
リビング側の扉を開けると、大きめの寝室が二つ。二階には子供部屋が二つあった。そして大きめのバルコニーが一つ。

「じゃあ、食べようか?」

深川麻衣が野菜スープをテーブルに運ぶと、椅子に座る。 

「これ、作ったんですか?」
 
かりんが珍しいものでも見るかのように、まじまじと料理を見る。そこに日芽香が遮るように割って入った。
 
「あたしも手伝ったんだよ」自慢するように笑顔を作る。 

「ひめたん、火加減見てただけじゃん」

畠中清羅が笑いながら茶化すと、日芽香がぶーと頬を膨らませて不機嫌な振りをした。 

「いいから早く食べよ。あー、お腹空いた」
「うん。さあ、食べよ」

樋口日奈がスパゲティを皿に盛り付け、テーブルに並べてから、椅子に座った。

「みんなも食べよ」深川麻衣の合図でいただきますをした。 

思いの外、食欲はあった。堅いパンと味気ない缶詰だけではどうしても食欲は沸かなかったのだろう。スープを啜る度に、栄養が身体中に染み渡っていくようでもあった。

そんな中、かりんが手を止める。

「あの……」

様子を伺うように目を泳がせた。他の五人の手も止まり、一斉にかりんに視線を向けた。

「どうした?」

七瀬がスプーンを皿の上に戻して、かりんに「?」を投げかけた。 

「さっきの銃声、やっぱり気になりません? 今までに比べて近くで聴こえたし、もしかしたら、もうこの近くに誰かが……」

銃声が鳴った時、ここにいる全員が不安の色を隠せずに、動揺した。今までとは違い、音は大きく、近くで誰かが死んだかもしれない、誰かが殺したかもしれない、という恐怖を身に纏っていた。

なのに、その事実を無かったことにするかのように、かりん以外の五人は、いつものように振る舞い始めた。それは、恐怖からの逃げでしかないのではないのかとかりんは思う。若しくは、メンバーの誰かが他の誰かを殺すだなんて事を、未だに信じていない現れなのか。

「このまま、ここにいると……」

言った後、清羅がわざとらしく、持っていたフォークを強めにテーブルに叩きつけた。

「今、ご飯食べてるから」
 
口調もやや強めに、そう放つ。

「すいません……」

申し訳なさそうに、かりんが目を伏せると、隣の日芽香が背中を優しく叩いてくれた。

「そういうのは考えないようにしよ。見張りをしてくれるのは嬉しいけど、そんなことされると、メンバーが人殺しだって疑ってるみたいじゃん」

日芽香の言葉に七瀬と日奈も頷く。かりんは、その異様な様子に違和感を持ちながら、再びスープに口を付けた。

集団催眠にでも掛かったかのように、全員が現実から目を背けようとしている。疑いたくない気持ちが先行し過ぎているだろう、深川もまた、かりんから目を逸らし、キャベツとベーコンのパスタを啜った。

「ごちそうさま。私、ちょっと部屋に居ます」

かりんの武器、サブマシンガンを手に取る。

その瞬間、玄関から激しい炸裂音が鳴り響いた。