希う 源生ハルコ | しもりえにっき
 「希う(こいねがう)」と題された源生ハルコの個展に行ってきた。源生は当教室講師の村尾香代子の美大時代からの友人であり、一貫して鉛筆によるリアルな具象表現を続けているアーティストだ。

 今回の展示は、作品にその矩形とぴったりに合わせたスポットライトを当てている。それはあたかも作品そのものが光を放っているかのような神秘的な雰囲気を醸しだしていた。



 モノトーンで描かれた乳児達の顔の周りを、ほのかに色づいた百合が囲む。それはまるで棺の中を見ているかのようで、死を連想させる。しかしながら乳児達の瞳には光が宿り、生気がみなぎっていた。
 フロイトは、人間には本能としての生と死が存在していると言った。これを彼はエロス(生の本能)とタナトス(死の本能)と呼んだ。エロスとタナトスは表裏一体である。源生の作品はまさにそのことを感じさせた。

 自分にとって大切な人の死というプライベートな死と、今回の大震災で大勢の方々が亡くなったというパブリックな死を乗り越えた作者は、作品にどのような思いを込め、そしてなにを希うのだろうか。

 静謐な画廊の空間を抜け出し、外の生ぬるい風を浴びた瞬間、急に生気を取り戻したような錯覚を覚えた。
 
 百合の花言葉は純潔と無垢。みなさんは源生ハルコの作品の前に立った時、何を思うのだろうか。

源生ハルコ個展
希う(こいねがう)
2011.8.12(金)~9.11(日)
OPEN:木金土日(月火水…休廊)
12:00-19:00
TOKIO OUT of PLACE
港区南麻布4-14-2麻布大野ビル3F
アクセス/Access
日比谷線広尾駅1、2番出口より徒歩7分。
南北線、三田線 白金高輪駅4番出口より徒歩13分。
都バス 渋谷・新橋駅より天現寺橋下車
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Tel/Fax:03-5422-9699
入場無料


絵画教室 下落合アトリエ www.shimorie.com
講師 村尾 成律