顧客対象の絞込みは、とても大切です。
商品設計の核になる部分ですので、
もう少し細かく、ご説明しておきましょう。
バリュー・プロポジションの設定をするときには、
物事の価値を、次の3側面から眺めます。
(1)自社が提供できる価値
(2)顧客が求める価値
(3)他社が提供できる価値
この3側面から眺めるときに、
必然的に顧客が求める価値を考えることになります。
たとえば、あなたが経理の仕事をしてきて、
会計業務が得意だとします。
そうしたら、あなたの提供できる価値として、
「会計業務」を挙げることができるかもしれません。
もっと細かく言えば「仕訳入力を行うこと」となるかもしれませんし、
「月次決算書を作ること」となるかもしれません。
そうしたら、その商品を求めている顧客候補を挙げます。
あなたの会計業務を求めるであろう顧客を想定するのです。
これは論理的に導き出されるものではなく、
試行錯誤によるものです。
最初に思いつくのは、
経理に重要度を感じない中小企業の社長かもしれません。
しかし、経理を重視していないのですから、
会計業務に専門家を雇おうとは思わない可能性が高い。
そうなら、誰なら会計業務を重視するでしょうか。
たとえば、売上が上がっているのに
利益が伸び悩んでいる中小企業の社長ならどうでしょうか。
売上の総量が増えても、割引をすれば、粗利は大きく減ります。
そのことに気づいていないから、
売上が上がっても利益が上がらないのだと言うことで、
中小企業の社長の関心を得ることができません。
もっと言えば、
売上は急成長しているが
利益が伸び悩むベンチャーなどはどうでしょうか。
もちろん、ベンチャーとなると、数が限られます。
顧客対象としてはかなり少なくなるのですが、
考慮の価値はあるでしょう。
ただ、ベンチャーとなると会計についての専門家を付ける人も多く、
ニーズが少ないかもしれません。
では、売上が増えているが、利益が伸び悩むことで悩む、
会計の専門家がついていない会社は、たとえばどこでしょうか。
それは、たとえば父ちゃんが社長で営業、母ちゃんが会計をしているような会社でしょう。
そのような会社はどこかを考えるのです。
案を挙げて、問題点を指摘し、それを改善する方法を考える、
この繰り返し、試行錯誤です。
このようにして、試行錯誤を続けていくことで、
顧客対象は自然と絞り込まれてきます。
顧客対象を絞り込むことの重要性については、
また別の記事で書きましょう。