古廟の中を行く、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

 

古廟のなかを行く

 

ウズベキスタン美術家協会の役員がこの古廟の中を案内してくれた。古廟群に使われているタイルは時の支配者が好んだという青色でサマルカンドブルーと呼ばれ、荒涼とした砂漠の中に建つ古廟は美しかったが、いまは崩れ落ちて歴史の古さを感じさせる。私にはそれらが時空の流れと共に移り変わる「滅びの美」に映った。

一般の観光客では入ることの出来ない部屋、回廊などを案内されて感じたのは、随所に命を守ってもらう「祈り」が見えた。

ここはイスラム教の世界。大きなドームは朝な夕なに祈りを捧げるコーラン祈りの場所。私も入れてもらって聞いていたが。独特のリズムを持って唱えるコーランはドームの天蓋にとどいてから入り混じって、再び天の声として地上に降りてくる。

 

※掲載した絵は、古廟群の中を歩きながらクロッキーした作品群。

 

2022年7月27日、水