別離のシルクロード、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

 

別離の シルクロード

 

サマルカンド砂漠の中に今も残るシルクロードの古廟群。

これらが作られたのは約1000年前。オアシスを中心にして真面目に働くオアシスの民。その農産物。築き上げた財産を奪い取る砂漠の騎馬部族。それに組する異国のキャラバン。まさに戦乱の世であった。この古廟群は大小多くの部族が殺し合あった“つわものどもの夢の跡”。

日本人はシルクロードと言えば何かロマンを抱くが、歴史の裏には、敗北した部族が錦の着物を裂いて分け合って、いつの日か再会を誓った別離の道であった。

私がシルクロードで知り合った友人に夕食を呼ばれた時、その後、家族と一緒にこの錦裂を見せてくれた。これに似た錦裂は法隆寺宝蔵倉にも眠っている。

 

2022年7月25日,月