先日迎賓館のアフタヌーンティを書いた後、メインの迎賓館見学コースの話がまだでした。

以前洋館を見学したときは和風別館の方は改修中で入れず。

 

なので和風別館は今年3月が初体験。

洋館と違い、最初から最後まで一人の方が同行し、解説をしてくださるガイドツアー形式でした。

何も見ずにそらでスラスラ解説してくださる内容が濃くて、ひたすら感心していました。

 

明治後半に片山東熊が手掛けた豪奢なこちらの↓本館に対し、

 

 

和風別館のほうは昭和49年(1974年)完成とのこと。

時代の開きが予想以上にありました。

 

前面に水を配した風景が谷口吉生氏の設計かな、と思えましたが、実際は父・谷口吉郎氏の設計です。

キャリア後期の作品といえそうです。

今Wikiでチェックしてみたところ、吉郎氏最晩年の作品は出身地金沢の市立玉川図書館でした。

 

 

 

 

 

こちらの人口池には、エピソードがあります。

 

おおもとの谷口設計では水深20㎝の水盤設計でした。

ところがここで鶴の一声が。

総理大臣田中角栄氏が、「鯉は?」と質問したところから急きょ80㎝(最大90㎝)に掘り下げられたのですって。

錦鯉は、山古志村から運び入れたといいます。

3月6-9日に行われた池の掃除のときは鯉たちはビニールプールに移動させられたといいますから、さぞ壮観だったことでしょう。

なにしろ鯉は全部で120匹もいるそうなので。

 

 

 

 

内部は撮影禁止なので画像なしですが、ほんの一例として以下のような説明がありました:

 

・家具も谷口氏が手掛け、椅子の脚下は数センチほど透明になっていました。軽やかな浮遊感の演出らしいです。

 

・廊下などに六角行燈が取り付けられ、旧オークラや出光美術館を想起させます。いずれも谷口吉郎設計です。

 

・メインの和室で食事会が開催される折りには、ケータリングを依頼します。ホテルの料亭からトータルで仲居も派遣して任せるとのこと(!)

 

・和室はもちろん外国人向けに掘りごたつ。ただ、ここで踊りなどが披露されるときには掘りごたつのテーブルが床下に収納され、座敷がフラットになるような仕掛けがあります。

 

・これとは別に、少人数用のカウンターキッチンもあり。首相と主賓は横並びではなく、L字の配置で座るとのこと。

 

・カウンター内の床は一段下がっています。板前さんが賓客を上から見下ろさないための配慮です。

 

 

 

 

室内には書や美術品(絵画・陶器)などがありましたが、来賓の際には生花と盆栽が加わります。

盆栽のほうは、このように庭で、手入れをされ、いくつかみつくろって室内へ。

生花の方は、来賓者の国の国旗色を選んでアレンジするなど、来賓者は果たして気づくんだろうかと思うほど、繊細な心配りがなされるようです。