10月上旬の軽井沢・高崎日帰り旅行で見た建築家アントニン・レーモンド作・群馬音楽センターの記事がなかな書かけずにいました。

 

なにしろこれだけの大掛かりな公共施設。

 

建築素人の私が、自分の言葉で書ける気がしなかったので。

WIKIの記事をコピペしたところで、そういうのは読めばバレバレで、薄っぺらい印象が残るだけ。

 

これまで家・美術館などは気軽に記事にしてきたけど、そういう日常生活でなじんだ場所や、単なる箱もの(といっては語弊があるけど)であればユーザー目線で言いたいことはあるし、教会建築は海外観光目的で一応勉強はしてきたと思ってる(まあ、言葉の意味レベルだけど)。

 

でも、群馬音楽センターほどの大きな機能を備え持つ建物は、図面を引いたこともない自分には荷が重い・・・

 

しかも手掛けたのは有名建築家。

加えて今年パナソニック汐留美術館の「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」を見るまでその存在すら知らなかった場所。ここで音楽を聴いたわけでもなく音響効果もわからなければ、建築ツアーに参加したわけでもなく。

 

自分にできる造形的な感想を書くだけでは、恐らく本質からかけ離れてしまうし。

 

 

・・・とまあこんな感じで迷った挙句、この音楽センターとの出会いを中心に、こんなのがあるよといったイントロダクションを書けばいいや、と腰を上げました。

 

 

上述通り、私がこの高崎にあるユニークなコンサート会場の存在を知ったのは、アントニン・レーモンドと妻のノエミの作品が紹介されていた「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」において。

 

とはいいっても、この建物のパネル解説はなく、サイド情報といった位置づけで、小ぶりの写真とプロジェクターによる投影で画像が出ていたのみ。

 

それでもインパクトは十分で、これは見てみたいなぁと思ったのが高崎行きのきっかけでした。

 

*写真撮影は、事前に許可を得ています。

 

(プロジェクターで映されたのは、このあたりの画像だったかと)↓

 

 

まず目についたのが、壁面のこの文字。↓

群馬音楽センターは1961年10月竣工ということですね。

山種証券が出資したのでしょうか。

 

設計Antonin Raymondと書かれていて、制作 石沢久夫 外(ほか)とあるので、壁面のフレスコ画は画家の石沢久夫氏などが手掛けたようです。

 

そしてこの文字・筆跡、もしかしたら画家の安田靫彦の揮毫ではないかと推測します。

調べたけど回答は得られず不明ですが、山種美術館のロゴの文字と瓜二つなので。

あのロゴの文字を手掛けたのは安田靫彦、というのは有名な話。

 

でも、ミステリーはほかにもあって、調べたところ山種美術館の開館は、本音楽センター竣工より後の1966年。

ということは、この文字は竣工当時に入れられたものではないのかも??

 

 

 

2Fホール入り口部分。壁の上方が時計になっていました。

 

 

 

左がホール2Fの時計、右は1F。

 

 

穴の開いた階段がこれまた存在感抜群で、

 

 

 

村野東吾が手掛けた現・目黒区役所よろしく、思わず宙に浮いた階段の裏側に見入ってしまいます。でも村野東吾ほど、裏面の美は追及していないようです。

 

 

 

2F部分。天井部分は断面図が三角になるような恰好。

このギザギザの造形は、外観にも用いられています。

 

 

 

この天井の板片が壁際でどのように処理されているのか見に行くことに。

 


 

階段を上り切り眺めてみると、なんだか意外に荒業?

 



 

ホール内では作業が行われているので、気を付けて撮影をしてくださいと言われたので、5枚ほど写真を撮っただけであたふた出てきました。

音響上の工夫など、私にはわかりません。

 

 

 

上記で、「ギザギザ」と述べた外観↓

 

全体的に階段以外は丸みのない、とんがった建物でした。

 

 

 

最初の写真は2F部分ですが、1Fも、模様は異なるものの、同じコンセプトで壁画が描かれています。なんとも昭和感がにじみ出ています。

パブリックアートで、似たようなのがなかったっけ、と考えてすぐに浮かんできませんが。

 

 

 

以前汐留のギャラリートークで聞いたところによると、パナソニック汐留美術館は、意識的に家の展示を定期的に行っているとのこと。

パナホームという住宅部門があり、企業としてゆかりがあるから、という理由です。

 

記憶をたどれば、2011年森美術館の「メタボリズム未来都市展」、汐留で行われた2013年「日本の民家一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点」や2014年「建築家ピエール・シャローとガラスの家」展などを見ましたが、当時建築展はいまほど多くはなく、目先の変わった展覧会だなぁという印象がありました。

 

 

正面入り口:

 

 

そしてこの後は、同じく高崎にあるレーモンドの自邸の写しを見に行きました。それはまた後日。

 

 

そうそう、先日触れたこのコントラバスの公衆電話↓は、この群馬音楽センターの正面玄関にほど近い場所に置かれています。

 

 

 

高岡’20/秋① 音楽溢れる城址公園 木立に佇むコントラバス
高岡’20/秋② 建築家A・レーモンドが手掛けた群馬音楽センター
高岡’20/秋③ 井上房一郎邸見学とTV番組「ノースライト」の椅子
高岡’20/秋④ 日本を愛したチェコ人建築家
高岡’20/秋⑤ アントニン・レーモンドの自邸のコピーが見られる場所