角館で見た、異国情緒たっぷりの平福記念美術館の話を昨日書きましたが、あの建物(昨日コメントで知ったのですが、あの作風は「アナクロニズム」=時代錯誤と評されたりする由)の作者大江宏氏は、法政大学や国立能楽堂以外にも、乃木神社も手掛けているようです。
さらに戦時下に焼失してしまったおおもとの乃木神社の設計者は、父の大江新太郎氏だったとのこと。
明治神宮宝物殿、厳島神社宝物館、明治神宮大造営、伊勢神宮造営、連名で神田明神
(WIKIから一部抜粋)などにも新太郎氏は関与したといいますから、驚きです。
親子2代で乃木神社と縁がある大江家、、、、と思いきや
宏氏のおふたりの息子さんが乃木神社境内の宝物殿建築に携わったというダメ押しまであって、親子三代の共作だったんです。
(新太郎氏が手掛けたものがまだ部分として残っているという話も聞きましたが、いま乃木神社は工事中なので、あまり境内をうろうろできず、確認できませんが。)
本殿
<下左>の写真は、乃木会館に通じる部分です。
上述の通り掲題は今工事中で、境内の一部が封鎖。
本殿は開放されていますが、そこまでいくのに鳥居をくぐっていくことは不可。
乃木会館の中を通っていくしかありません。
乃木会館と乃木神社は、外から見ると分離していますが(下左の写真)、実際はこんなに緊密なつくりになっているんです。
あちこちに、四角を4つ配した意匠が見られて、和モダンといったところ。
おおっぴらではないものの、随所に模様が仕込まれていました。
さて神社に内部でつながっているというその乃木会館。
こちらも大江宏氏設計。
ヴェネチアのポルティコを彷彿とさせます。
以下は乃木会館内部。
既述の通り、神社が工事中で、乃木会館経由で本殿にアプローチします。
小ぶりながらピロティのこの存在感。
四角い意匠があちこちに。扉、エレベーター、電灯も。
本殿に通じる廊下。
風鈴が今の時期取り付けられ、優しい音色を奏でていました。
下の写真は宏さんの息子さんたちが手掛けたという宝物殿。
東京国立博物館などは谷口親子の競演ですが、乃木神社は大江親子・孫3代の競演。
身近なのに、意外に知らないことって無数にありますが、
知らないというより、気にも留めない、と言ったほうが正確でしょうか。
注意深く身の回りを見る目さえあれば、そして
街歩きをするうちにローマの石造建築の制作年代がなんとなくわかるようになったという須賀敦子さんのように鋭い感性があれば、
世の中の見え方も変わるんだろうなぁ。
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