以前汐留のパナソニック汐留美術館で見た「子どものための建築と空間展」に、

池袋の自由学園に関する資料が展示されていました。

 

自由学園は、羽仁吉一氏・もと子ご夫妻が大正期に創立した学校法人で、

池袋の地にまず建てられました。

 

設計担当は、アメリカ人建築家・フランク・ロイド・ライト。

 

ほどなく手狭になり東久留米に移転したため

池袋にある建物はじきに使われなくなったのですが建造物としてはそのまま残り、

現在自由学園明日館、として一般公開中。

 

帝国ホテルを設計したライトの才がいかんなく発揮された

貴重な建築物を見ることができます。

 

 

ちなみにライトが設計した帝国ホテル(ライト館)は、

建築途中で膨大な費用増加など諸問題が勃発。

 

建設が完全に終了する前にライトは離日。

弟子の遠藤新氏が残りを担当するなど、すったもんだあったようです。

 

以前六本木森美術館で開催された「建築の日本」展の解説にも、

こうした経緯が書かれていました。

 

 

帝国ホテルの方は、平気で予算オーバーを重ねたロイドですが、

自由学園の方は、学校法人ということもあり、

また羽仁夫妻の高邁な教育理念に感銘をうけたせいなのか、

良心的価格で任務を遂行したように聞いています。

 

 

この自由学園では、毎年桜の時期に2日間限定で夜会が開かれています。

目の前に桜の木々があり、園内からお花見ができるのです。

 

 

夜会があることはずっと知っていたのですが、

せっかく建造物を見学するなら夜より昼の方がいいと思い、

いつか昼間に行こうと思っていました。

 

けれど、たまたま3月下旬に池袋で1日缶詰になることがあり

(池袋で尾崎豊お気に入りの喫茶店に行ったり、モネの庭に行ったりしたあの時です)

ふと、自由学園前を外から眺めてみようと思い立ちました。

 

夜だったのですでに閉館とは知りつつ、建物外観が外から見えると聞いたので。

 

すると、門のところに”近々夜会が開かれる”旨掲示があったのです。

夜の雰囲気も悪くないな、と知り、後日行くことに。

2日間だけですが、夜会の日は、夜21時までオープンしています。

 

 

というわけで、話は1ヶ月以上さかのぼりますが、

貴重な建造物で行われた夜会の風景を以下に:

 

 

大きな桜の樹の向こうに自由学園明日館が見えます。

塀が低いので、外からも見ることが可能。

では中に入ります。

 

 

 

垂直、斜めの線と黒い縁取りが印象的な窓の真正面に

桜の樹。

 

 

天井に桜模様が映し出される演出も。
 

 

 

教室の面影も多々残されていて、

幾何学模様があちこちで踊っています。

 

 

 

こちらのトリビアは、床の材木。

傷んだ床を入れ替える際、まだ使える床板を選別したところ、

ほんの僅かではありますが、耐久的に許容範囲のものがあったそう。

そうした使えるオリジナルの床板を残し、残りを新しいもので埋めています。

旧材と新しい床板の境目がくっきりわかるようになっています。

 

 

 

途中、オカリナの演奏会も。

単純な楽器のわりに、非常に豊かな音色を奏でます。

ドラマの主題歌含め、ノリのいい曲が続き、素敵な演奏会でした。

 

 

 

 

ドリンク・フードが販売され、

私は中庭に出された椅子で頂きました。

 

 

 

窓だけでもポップな形状で、部屋ごとに違うので、見ていてあきません。

 

 

 

 

電灯もしかり。

 

 

 

 

斜め使いも多用されています。