写本~いとも優雅なる中世の小宇宙~ | 湯浅玲子 An die Musik~音楽に寄せて

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音楽学・音楽評論に関する執筆活動と、
杉並区阿佐ヶ谷の楽典とソルフェージュ、楽曲分析のための音楽教室「アルス・ノーヴァ」をご紹介しています。

こんにちは。

気になっていた展覧会、猛暑になる前に行ってきました!

 

国立西洋美術館で開催中の

「写本~いとも優雅なる中世の小宇宙~」

内藤コレクションの大規模な展覧会で、13世紀から16世紀の中世の写本が展示されています。

 

聖書や詩篇集、聖歌集、祈祷書など、信仰に関わる書物がコレクションされています。印刷技術のなかった当時は、羊や子牛の皮を薄く加工して「紙」を作ったということです。

 

貴重な紙なので、そこに書かれた字や装飾はとても緻密で華やかなものです。時に贅沢品でもあったことが窺えます。

 

本物の金を施した絵や、細部まで工夫を凝らした装飾は、見ていて飽きません。現在、本の1ページにここまで労力を捧げることはあるでしょうか!

 

私のお目当ては、ネウマ譜が書かれた写本でした。

学生時代には、ネウマ譜が読みたいと思って、「記譜法」を履修したこともありましたし、レッスン室にネウマ譜カレンダーを飾った年もありました。

 

館内は、ほとんどの作品が撮影可能ですが、フラッシュ禁止。どうしても暗くなってしまいます。そして、意外とコレクションは小さいです。

 

館内で撮影した写本

4小節程度の旋律ですが、装飾が素敵ですね。

Sのイニシャルの中に描かれているのは「水中から神に祈るダヴィデ王」とのことです。

 

館内の撮影だとこのような色になってしまのですが、図録ではクリアに見えます。

館内で見た時と印象も違います。

 

増やさないように・・と心がけていたつもりの図録ですが、購入して明るい照明のもとで見たら、もっと素敵でした。

図録。装丁も素敵です。

 

楽譜もこのように美術品のような価値を与えられた時代があったのですね。このほんの数日前にパソコンでパチパチと楽譜を入力していたことが、なんだか雑な作業だったように感じられました。

 

図録はレッスンでもぜひ使いたいと考えています。

「昔の楽譜だよ」と見せると、なかなか面白い反応が返ってくるのです。楽しみにしています。

 

展覧会は8月25日までです。