小説『分岐点』:第4章「失神」 | 安浪蘭人には“愛”があるーArrow Land is “LOVE”.ー

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安浪蘭人(あろうらんど)です。人間ですが、作家、コピーライターもやってます。気ままにやりたいように生きられる幸せを噛み締めています。あなたに伝えたいコトは“ありがとう”!。これからも遊びに来てくださいね(^o^)v❣️

今夜も…、お逢いできて嬉しいです!

『分岐点』:第3章「対話」はいかが
でしたか?たくさんの方がおいでくだ
さって、本当に嬉しいです。ありがと
うございます!

では、第4章「失神」をお送りします。

お楽しみいただけたら幸いです
(^o^)v。





 『分岐点』 安浪蘭人


登場人物

 医大同級生の仲良し5人組
  武蔵野女子医科大学医学部出身の
  仲良し5人組で年齢は34~35歳。
    
  谷口 真由(たにぐち まゆ)
   大学内科の勤務医。独身。
   本作のヒロイン。
  吉田 奏 (よしだ かなで)
   クリニック経営者兼婦人科医。
   バツイチ。先日、潮吹きを経験。
   真由の初体験をプロデュース。
  山本 由美(やまもと ゆみ)
   公立病院の耳鼻咽喉科医。独身
   だが、恋人は居る。男にイカサ
   れたコトがない。
  西内 一美(にしうち かずみ)
   東京の地元医院で内科勤務医。
   結婚しているが…。行為後、グ
   ッタリ疲れ切って寝たコトがな
   い。
  王塁 未来(おうるい みき)
   大学眼科の勤務医。彼は何人か
   居る。失神したコトはない。

  古里 太一(ふるさと たいち)
   ひょんなコトから吉田奏と出逢
   う。本作のヒーロー。


 第4章 「失神」

私は戸惑っていた。これからの行為を
考えただけで、分岐から涎のような液
体が溢れてしまう。さっきまでとはカ
ラダが変わってしまった。いや、心が
変わってしまったのかも知れない。正
直なところ、34年間もセックスを知ら
ないまま、よく生きて来られたなあ…
と、今は思う。この行為は一度知って
しまったら、頭から離れなくなる…と
思う。少なくともしばらくは、頭の中
は今日のコトでいっぱいだろうと思う。

タイチはベッドの真ん中に顔が来るよ
うに足を曲げて横になると、仰向けに
寝て、私に言った。

「俺の顔を跨いで、マユ自身をよーく
見せて」

そうか!私は、まず見られるんだ。そ
れは考えてなかった。すごく恥ずかし
いコトに、今、気付いてしまった…。

私はタイチの顔を跨ごうとして足を開
くと、愛液がこぼれそうになる。少し
躊躇しながら、タイチの顔の上に跨っ
たから、両足が枕元についた瞬間、タ
イチの顔に涎のような愛液がたれた。

タイチは「おっ?あったかい…」と言
って、私を舐めた。恥ずかしい、等と
思う間もなく、膝の力が抜け、快感で
腰がグンと沈んでしまった。そうなる
と、タイチの顔が私自身とぶつかりそ
うな所まで接近する。彼の舌が容赦な
く私をべろんと舐める。私は羞恥と快
感が入り混じった声を漏らす。タイチ
の吐息さえ強烈な愛撫だ、と感じる。
吐息どころか、視線すら私の分岐点に
刺さって来る。見られながら愛撫され
る快感。どうしよう?何をされても気
が遠くなるような快感に変わってしま
う。もうすぐどうにかなってしまう…。
その様子を見て、タイチが囁くように
言った。

「あらゆる感触を快感に出来る自分の
感覚を褒めてあげて欲しい…。この素
晴しいカラダと感覚は神様からの贈り
物なんだ。自分を責めるコトはないん
だよ。マユは、どこかイケないコトだ
と思ってるよね?快感に貪欲なのは、
むしろ女性の美徳の一つだと思うんだ。
マユの心を解放してあげて…」

心を開放してあげて…。この言葉が私
の快感を増幅した。タイチの顔に私は
股間をゆっくりと押し付けた。タイチ
が胸に手を伸ばして来る。太腿の辺り
にあった手が肌の上を滑りながら胸を
掴んだ。股間に舌と吐息の快感、乳首
からは先を摘ままれる快感がサンドウ
ィッチのように私のカラダを挟み撃ち
にして来る…。

「ああ…」

「おおーっ!」

「いい…」

さっきから自分の発する声は「あ・い
・う・え・お」のバリエーションと、
「イク~ッ!」という喘ぎ声だけのよ
うに感じる。あ、もう一つ。それ以上
愛撫されるとおかしくなってしまいそ
うな時に「ダメ」っていうのが混ざる。

こんなに少ないボキャブラリーだと、
タイチは楽しくないんじゃないかしら
…。もっと、気持ちいいコトを伝えた
いなあ…と思ったら「気持ち、いい」
って言えた。それだけの言葉を言う間
にもカラダが何度も波打つのだ。

タイチは少し強く、太腿を下から腕を
巻き付けるようにしてガシッと抱えた。
私は逃げられなくなった。タイチの舌
が容赦なく私自身をまさぐる。もうダ
メだ…。この姿勢になってから、何回
イッたのだろう…。カラダを立ててお
くのがしんどくなって、上半身をタイ
チにかぶせるようにして、何とかタイ
チの舌から逃れようとしたが、離して
もらえず、快感はさらに強烈になった。
少し隙間が出来た分だけ、タイチの舌
の動きがダイナミックになって、イク
感覚がどんどん短くなって来る。タイ
チが、

「心のブレーキを開放して、アクセル
踏んでみようよ」

と言って、とうとうカラダを入れ替え
て私のカラダを仰向けにすると、上に
乗っかって来た。ヤバい。蹂躙される。
でも、カラダが蹂躙されるのを喜んで
待っている。全てソフトで私の感じる
所を何度でも愛撫してくれていたから
カラダは少し強めの刺激を待ち望んで
いたのかも知れない。胸をギュッと揉
みしだき、私の足をM字に大きく開い
て、タイチがゆっくりと挿入して来た。
もっと強引でいいのに…と思う焦れっ
たさが更に感度を高める…。

「あ…ああ…うう、いい…気持ちいい
…。あ、あ、ダメ、イッちゃう…」

タイチはゆっくり動いている。でも、
入ったまま、動いてくれたのが初めて
なので、気が遠くなるくらい気持ちい
い。肌を合わせると、世の中の悩みゴ
トはどうでもよくなる。ましてや、つ
ながっている時は、それ以外のコトは
頭から無くなってしまう…。

タイチは私の口を吸った。舌と舌を絡
めたキスをする。吐息が耳にかかる。
右手の中指と親指で乳首を摘まみ、少
し捻る。それが切ないくらい気持ちい
い。左手は背中に回っていたが、今は
お尻の辺りを触っている。腰の動きが
少し強くなって来たと思ったら、両手
が背中に回って、体重を支えながら、
胸や下腹部がピッタリ密着した。私の
呼吸が荒くなる。足を腰に巻き付ける
ようにしたら、奥まで届いて気持ちい
い。カラダの奥へ奥へと快感の波が押
し寄せて来る。タイチは同時に何か所
も気持ちよくして来る。

さっきから、カラダ全体がビクッとし
たり、細かく振動したりするのは痙攣
してるからだ。自分の意識とは全く別
の所で、快感がカラダを勝手に乗っ取
る。自分の思う通りにならないカラダ
が愛おしい。そしてタイチが愛おしい。

強く抱きしめられると、胸も乳首も背
中もお尻も同時に快感が押し寄せて来
る。もちろん私の分岐点を中心に快感
が渦を巻いて行く。

気がつくと、全身から汗が噴き出して
いる。細胞がつながり、シナプシスが
連結して行く。カラダ全体が快感の塊
になって行く。凄くハードな運動をし
たってこんなに汗をかくのだろうか?

唇、舌、耳、胸、乳首、尻、太腿、そ
して私自身。入り口も中も、Gスポッ
トも…。最初は1つ1つをハッキリ意
識させる快感だった。ところがいつの
間にか、どこがどう感じているのかが
わからなくなるように複合的な快感に
変わって行った。脳みそが痺れるよう
な快感…。あ、ダメだ。快感がカラダ
からこぼれ始める。受け止められる限
界を超える…。

声は何かを叫んでいるが、何を言って
いるのか、自分でもわからない。獣じ
みた声で吠えている私。腹から絞り出
すような叫び。タイチにしがみつく。
何でもいい。カラダがどこかへ行って
しまわないように。繋ぎ止めるように。
私の分岐点の内側から情熱の奔流が押
し寄せて来るような圧迫感を感じる。
彼の動きが速くなって、ふたりのカラ
ダが溶け合うような感覚が襲って来る。

「あ、つい、い、いっ、ちゃう…あ、
あ、あっ、あっ、ああ…ギャー」

……。目の前が真っ白になって、私か
らなにもかもが無くなって行く…。音
のない世界。白い静寂。ものすごく追
い詰められたような感覚の後は、全て
から自由になったような解放感。説明
しにくい感覚なのだが、何もない状態
って、全てがある状態と何が違うんだ
ろう…と感じていた、と思う。

後で訊いた話によると、その間5分く
らいだったそうだが、私は2時間くら
い経った気分で、意識が戻った。

タイチが腕枕してくれていて、背中か
ら胸の下を抱き締めてくれていた。そ
れが本当に気持ちよかった。きっと、
正面から抱きしめられていたら、もっ
と短い時間で目覚めたような気がする。

胎児になったような安心感、というの
だろうか?心から安らいだ時間だった。
私は、はっ、と我に返ると、どうなっ
たのか知りたくて、誰にともなく訊い
てしまった。その声は、自分の声だと
気付かない程、かすれた声だった…。

「私…、失神してたの?」

すぐ近くから未来の声が聞こえた。

「凄い声…。セクシーよ。真由いいな
あ…。とっても綺麗な失神だった。目
を閉じてて、叫びながらだらん…て脱
力して…。あたしが夢見てる失神だっ
た…。うらやましい…」

それを訊いて、確認した。

「ごめん…。どのくらい寝ちゃってた
の?2時間くらい?」

奏が笑いながら、答えてくれた。

「ん~ん。5分くらいよ。そうか、そ
んなに経ったような感覚なんだね。私
達の中で、1番いろんな経験を積んで
るのは真由になっちゃったね。さっき
までは何にも知らない子だったのに…」

私はタイチの顔を背中を反らして覗き
込んだ。

「すごいね、タイチって…」

そう言うとタイチはクックッと笑って

「セクシーなマユ姫の誕生だね。その
声はそそるよ。お水、飲む?」

と枕元に置いてあったミネラルウォー
ターのボトルを取ってくれた。失神し
ている間に由美が持って来てくれたん
だそうだ。一口飲むと、冷たくて美味
しい。カラダが、ほっ、とするのがわ
かる…。今、1番嬉しいのは冷たい水
を飲むコトだってわかってたみたい…。

「タイチって、何でもわかっちゃうん
だね。それに何でも出来ちゃうみたい。
私はどうして失神しちゃったの?」

タイチは、胸をイヤらしく感じないよ
うに、というか、優しく撫でながら、

「脳がキャパ・オーバーを起こすよう
に同時にたくさんの快感を与えたんだ。
うまく行ってよかった…。初めてだか
ら無理かな?と思ってたんだけど、と
ても感度がいい上に、最初の貫通式で
動かないままイケたから、少し動いた
段階で、ものすごくビビッドな感覚が
あって、もしかしたら…って希望が持
てたんだ。マユが自力でイッたような
もんだよ。俺は何にもしてない」

私はタイチにキスして、

「んーん。。タイチのおかげ。ありが
とう…」

と今度は最初に感謝を伝えられた。タ
イチが私に、

「これで4つのミッションは全てクリ
アってコトでいいかな?」

私は一瞬、何のコトかよく判らなかっ
た。が、そうだった、と思い出した。

①潮吹き
②性行為の後、疲れ切って一緒に眠る
③オトコにイカサれる
④失神する

と この4つのミッションを達成しな
がら、私の処女喪失を完遂するってい
う離れ業をタイチは目の前でやってく
れたんだ。

私は本当に幸せ者だ。こんな初体験を
したオンナはきっと居ないだろう。こ
れからは奏に足を向けて寝られない。

でも、次の瞬間、私は生まれて初めて
オトコに対する執着を感じた。このオ
トコを自分のモノにしたい。他の人の
モノだとわかっているのに、自分のモ
ノにしたいという気持ちに戸惑った。

どうして避妊なんかしてしまったんだ
ろう?結婚できなくたって、彼の子を
産むコトは出来るのだ。半日前と今の
自分は完全に別人になってしまった。

奏が私を見ながら、冷やかすように言
った。。

「避妊なんかしなければ良かった…っ
て後悔したでしょう?それ、私はそう
感じて悩んだんだ…。太一と知り合っ
て、今までの常識がとてもつまらない
モノだと思って悩んだから、初めてで
こんな体験したら、恋しくてどうにか
なっちゃうだろうなあ…って気がする
の。違う?」

私は何も言えなかった…。その通りだ
ったから…。奏は少し間をおいて、

「でもね。こんなふうに考えて自分の
気持ちを落ち着けたの。これからまた
誰かと出逢うよね?その人と向き合う
時、少なくとも太一とこういう時間を
過ごせた訳じゃない?だから、
『神様はロマンチストだ。子作りに両
親の愛情を籠める機会を用意してくれ
てるんだ』
って思えば、相手との時間を太一と過
ごした時間のようにお互いの気持ちい
いコトを詰め合わせた時間にして行く
コトだって不可能じゃないかも?って
思うコトにしたの。あんまり放ってお
かれると、オンナって強くなれるのよ」

そう続けた。ダメだ。奏には前の旦那
さんとの思い出がある。私にはタイチ
しか居ないのだ。決定的な差だ。

「奏より私は未熟だから、そんなに立
派な考え方なんて出来ないよ。私、タ
イチを私のモノにするためになら、何
だって出来るよ!」

これが私の口から出た言葉だった。や
はり、私は地球上で1番古い悩み事を
共有する一人へと仲間入りしてしまっ
たみたいだ…。





次回は、9月5日(日)に

 第5章 「気持ち」

を、お送りする予定です。

乞うご期待!



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