真アゲハ ~第96話 張 孝英7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



帝「ぐぅうっ…!」


張から頭突きを喰らった帝は、当然ながらフラつき出す

鐘の音が鳴ったような大きな音が、頭の中にも響くようだ


帝「…!」


額から血が流れ出す

それを見た張は、微笑む


張「…普通の人間なら失神するか、死ぬレベルですがね。血を流すだけで済むとは、流石です」


張の額には、血なんて流れてなかった

傷も無いところを見て、鍛えてあると見る


張「流石の長男も、頭蓋骨を殺られてしまえばもう戦えないでしょうね。そろそろ息の根を止めて差し上げますか…」


帝「……ボソ……」


張「ん?何です?よく聞こえませんでしたね」


帝が何か口を開く

張は耳を向けると、帝の声がハッキリと聞こえた


帝「……まさかだと思ったが、“生き残り”だったとはな。会えて光栄だ、“白亜一族”」


張「…!」


その名前を聞いて、張は止まった

先程までの笑顔も消えた


張「…貴方、どこでその名前を?」


帝「先程から放たれる技に、見覚えがあった。思い出したんだ。亡くなった父上の遺品を整理していた事があって、その日記に書かれていた」


帝は話しながら、自身の服の袖を噛み、引っ張る

ビリビリビリ…!と包帯ほどの太さに破くと、頭の止血のため、巻き付ける


張(父上…龍 王静か)


帝「……そこには父上自身の生涯のすべてが書かれていた。生まれた時から、家族が出来て、去年死ぬまで全てだ。もちろん1冊では収まらない。50冊以上あった。その1冊に書かれていたんだ。“龍の一族”より、ずっと昔に存在していた一族がいたと」


張「…!」


帝「“白亜一族”は、中国全体に存在していた巨大な一族だった。だが…」


張「それ以上は困りますね」


帝「…!」


父親の龍 王静の日記に書かれていた通り読もうと思っていたが、張の台詞で止めた

張からただならぬオーラが放たれる


これは、怒りのオーラだ


張「あの男がどこまで知ってて、日記に記していたか分かりませんが…私は許せないんですよ。貴方達“龍の一族”が、我々“白亜一族”を裏切らなければこんなことにならなかったんですからね…!」


帝「なんだと…?」


張「私の秘密を知ったからには、もう生かしておく必要はありませんね」


張はそう言うと帝に再び飛びかかる


張「“古竜絶拳 古翼ノ刃”!」


飛ぶ斬撃が帝を襲う

だが帝は、七星剣で斬撃を受け止めて、横に移動し出す


張「逃がしませんよ!」


その帝を追いかけ、また頭を向ける


張「“古竜絶拳 古鎚ノ頭”!」


帝にもう1発入れれば、今度こそ帝は死ぬ

そう思って額を狙うが、帝は直前になって張の後頭部を七星剣の鞘で下に叩く


張「っ!」


後頭部に痛みが入り、一瞬怯んでしまった

倒れそうになるくらい姿勢が低くなった張を、帝は抱えて、そのまま進んでしまった

進んだ先にあるガラス張りの壁を破り、バリィンッ!と言う音の後、2人は斜めに屋上から飛び落ちてしまう


だがその先には、スポーツジムがあった

屋上から落ちた2人は、そのスポーツジムのガラスを突き破って侵入した


バリィンッ!


「きゃあぁぁあーーーっ!」

「な、なんだぁ!?人が…!」

「ヤバイ!逃げるぞぉ!」


そこはスポーツジム専用の温水プールだった

温水プールを利用していた会員達は、張と帝が入ってきたことに驚く


帝「…フンッ!」


張「おっと…!」


帝が張を離すように蹴り、張は離れる

第2ラウンドと行くが、今度は先程と違って、床は大変滑りやすい


帝「獣人術 “獅子”型 獅子ノ爪!」


先に仕掛けてきたのは帝だ

七星剣も向けてきて、組み合わせ技だ


張「ふぅんっ!」


張はバク転をして避ける

老人とは思えないキレだ

床が濡れている事は、関係なさそうだ


帝「水の場所でも慣れているとはな…」


張「当然ですよ、我々の“一族”は…水に耐性を持っていますからね」


帝「何?」


張「今度はこちらからです」


バク転を止めると、近くにあったビート板を持ち、帝に向けて投げつけた

だが帝は七星剣で切り刻む


帝「こんなもの…」


張「“古竜絶拳 古転ノ背”」


帝「!」


なんと次々にビート板を投げつけてくる

まるでそれは円状の凶器に感じた

負けじと帝は七星剣で切り刻むが、正面ばかりを見過ぎて


…ドゴンッ!


帝「っ!」


足元に飛んできたビート板に気が付かなかった

それによりビート板の攻撃を喰らってしまう


帝「ぐあっ…!」


ドパァンッ!と体勢を崩して、温水プールに入ってしまう

それを見た張も、温水プールに入る


帝(…!?血迷ったか?なぜ自ら…)


張『水に耐性を持っていますからね』


先程の張の台詞を思い出す

その台詞の通り、張は水の中でもスイスイと泳ぎ出す

帝は体勢を整えようとするが、服と七星剣が邪魔をして動けない

その隙に張は、帝の背後に回り込み、帝を押さえ込む


張(“古竜絶拳 古海ノ牙”)


帝「ぐぼぉっ!」


水中で押さえつけられ、呼吸がままならない

一気に帝の肺から空気が抜ける


張(…これで終わりだな、“龍の一族”…!)